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10月29日(水)
今日の一日は、詩人にはじまり詩人に終わった一日となった。 写真の白コスモスを、その男性詩人たちにこころをこめて贈りたいと思う。 まずお一人目は、ふらんす堂からかつて詩集『秋の余白に』というすぐれた詩集を刊行された岩切正一郎(いわきり・しょういちろう)さん。新しい詩の原稿をもって来社くださった。わたしには「詩を書く人」としてしか、ご自身を語らない方であるが、ある大学で教えておられ、「現代詩手帖」の今月号には「飼い慣らされない人間の罪深い真実」と題して、ベルギーの詩人ウィリアム・クリフの詩を紹介されている。昨年は、蜷川幸雄演出のお芝居の戯曲翻訳をふたつ手がけられた、ひとつは、松たか子主演で話題よんだジャン・アヌィの「ひばり」、もうひとつはアルベール・カミュの「カリギュラ」、こちらは小栗旬が熱演して、もちろん小栗ファンのわたしは観に行ったもの。(小栗さまは、それは素敵でございました。)岩切さんは、この二つの戯曲翻訳で湯浅芳子賞を受賞されている。 「こんな賞があるなんて、ぼく、知りませんでした」とおっとりとおっしゃる。 お帰りになるとき、仙川を探索したいというので、天然酵母のパンやさんをお教えして、 「まだ、パンが残っているようでしたら、その場ですぐ買ってください。そうでないと売り切れてしまいます」と申し上げたら、あとでメールをいただき、 「パンを買って帰りました」と。 ああ、良かった! このパンわたしたちでもいまはなかなか手に入らない、それほど人気がでてしまったのだ。 二人目は、杉本徹さん。 昼過ぎにまったりしていると、電話がはいった。 「ふらんす堂通信、とどきました。しかし…、大いなる誤植があります」 まったりが吹きとんだ……「ええっ…」 杉本さんの連載ページに、あるお知らせを出した。 「西脇順三郎を語る会」である。11月29日(土)午後2時より駒沢大学世田谷校舎にて、杉本徹さんが、詩人・西脇について講演をなさるのだ。その時間が「2時半」となってしまっている。 「ああ、ごめんなさーい!」(好意があだとなってしまった……) (これはあとで調べるとわたしの原稿がまちがっていた。校正を3人もしたのだが、みんなわたしの原稿と付け合わせをしたのだ) 「ホントにごめんなさい。今日のブログでも訂正します」(シュンとしてわたし) 杉本さん、電話の向こうで苦笑いをしながら 「お願いします。でもyamaokaさん! また2時半なんて書かないでくださいよ!」 って、杉本さん、イタイところをついてくるわね。わたしならやりかねないから。ホント…。 三人目は、たなかあきみつさん。こちらは、国立市から、2時間ちかくかかって自転車でやってきた。岩切さんに応対しているときに、電話があった。 「詩集のことで相談にこれから自転車でいきます」 「ええっ、ちょっと待ってください。自転車だなんて、すごい時間がかかりますよ。それに甲州街道はあぶないですよ」 「いいや、慣れてるから大丈夫…」 その電話の応対をそばで聞いていた岩切さん、 「いやあ、ぼくも実は自転車で来ようとおもったんですよ」って、 いま男性詩人の間で自転車はトレンドなのか……。 ということで、たなかさん、約束の2時をだいぶまわったところで、玄関にのっそりと現れた。 たなかあきみつさんは、ロシアの詩人の翻訳者として、詩人たちの間で評価の高い人だ。 さきほどの杉本徹さんをはじめ、手塚敦史さん、鳥居万由実さん、みな口をそろえてその翻訳を賞賛する。わたしも、この度、書肆山田刊行のニコライ・コーノノフの『さんざめき』、イヴァン・ジダーノフの『太陽の場所』などをはじめとする訳詩集を何冊かいただいた。 どうやらわたしより若干年上で、大学が同じだったらしい。そのことを申し上げると 「いやあ、ぼくは中退です。というかいつの間にか除籍になってしまって…」と大きな身体を小さくなさった。なかなか面白い方だ。帰られてから、スタッフの愛さんが、 「なんだか、ちょっと疲れた古谷一行みたいな、おもしろい味のある方でしたねえ」と。 そりゃ、延々自転車を道にまよいながらこいできたんですもの、疲れるってことよ、愛さん。 この三人の詩人の方それぞれに、わたしは白いコスモスをお贈りしたい。 岩切さんには、受賞へのおくればせながらのお祝いの気持ちとして、 杉本さんには、こころからのお詫びとして、 そして、たなかさんには、自転車で頑張ったその労苦へのご褒美として…。 さて、今日は俳人協会にて、小澤實さんが「万太郎について」講演をなさった。協会主催の秋の連続講座のひとつである。『万太郎の一句のご縁により、ご招待をいただいたのだ、あいにく上記のような状態でうかがうこともできず、失礼をしてしまった。スタッフの川瀬がかわりにうかがった。 会場は満席だったということ、小澤さんはとても熱心に講演をなさったということである。 小澤實さま、お疲れさまでした。 今日の「増殖する歳時記」は、土肥あき子さんによって、本郷をさむさんの句集『物語山』より。 歩きまはればたましひ揺らぐ紅葉山 「この風変わりな名を持つ山では、きっと魂を閉じ込めておくのが難しいほどの美しい紅葉をみせてくれるのではないかと思うのだった」と土肥さん。 「たましひ揺らぐ」がいいなあと思う。 そんな思いがするまで、「紅葉山」を歩いてみたい…。 もっちろん、徒歩、 断じて自転車ではありません! これは、岩切さんの名刺の裏に印刷されていた素敵な挿画。
by fragie777
| 2008-10-28 19:42
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