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6月6日(金)
![]() 朝のミーティングのときに、「ええと、今日は6日、芒種(ぼうしゅ)ね」と偉そうに言ったら、スタッフのみんなに「いいえ、芒種は昨日でした」と言われ、昨日の日付にそっと芒種と書き加える。カッコわるかった…。 武蔵野の蛇苺。 六月の武蔵野の雑木林は、白い花と赤い実と緑の葉の三位一体の美しさである。 歌人の穂村弘さんが、ふらんす堂の新刊書籍である黒瀬珂瀾さんの短歌入門書『街角の歌』を女性雑誌『Grazia(グラツィア)』で紹介してくださった。 その記事を手に入れるため近くの啓文堂書店まで行く。最近とんと女性雑誌に興味がなくなってしまい、これでもむかしは、「アンアン」や「ELLE」や「マリ・クレール」などを買って読んだりしてもいたのだが、女性雑誌のコーナーに行ってまずその数の多さにおどろいてしまった。(いったいこりゃどうしたことか…)その圧倒的な華やかさに目がクラクラとしてしまう。このゴージャス感はどうだろう。派手な化粧をした美女たちがのきなみこっちを向いて、「どうよ!」オーラをはなっている。 目をしばたたせながら、やっと見つけた『Grazia(グラツィア)』……、最近この手の雑誌を買うのがひどく恥ずかしいんだけど、勇気をふりしぼって買う。(レジの男性が、なんだよ、てジロッと見そうだよな…)なんて自意識過剰になってる。 しかし重いよこの雑誌。なになに、「35歳からが女は本物」だと。ええっ、わたしなんて、もう35歳をはるかにとおりこして、銀河系のかなたくらいまで歳をとっちゃったけど、本物の女なんて考えたことなかったよ…っていうか、本物って何よ? いやいや、誰も本物の女なんていう幻想を信じているわけではなくて、つまりこの雑誌にいやというほど紹介されているブランド商品をあの手この手で紹介し、「ブランド(本物)を身に着ける=本物の女になる」という企業戦略を展開していくっていうことなのね。フン、その手にはのらないことよ! そんなお安い女じゃありません!!と、ページをくれば、なになにこの美しい目をうばうようなモノタチは… ええっ、(カ、カルティエだ! わあ、この宝石すっごい。!ウームなんと、シャネルって相変わらずカッコいいじゃん! これってグッチのバッグ、おっしゃれえ! なんだかわたしに買ってほしいって訴えてるよ…)とこんな具合で、(これのどれか一つでも身につければ、こ、こんなわったしでも、「本物の女」になれるかも…と思わせちゃうところが、すごい。というか、そう思ってしまうわたしが、安い。(欲しい!…、でも買えない…)それを頭の中で30回くらい繰り返し、そして静かに雑誌を閉じて、「本物の女」になることをあきらめるのだ…。 ……………… どこかおかしい、わたしはなにゆえ『Grazia(グラツィア)』を買ったのだろう? そうでした! 黒瀬さんの『街角の歌』でした。 270ページに写真つきで紹介されている。 おお、わたしの撮った写真をコラージュして装幀につかった『街角の歌」が…。 猫がかわいいな。 いやいや、そんなことではなくて、記事の内容でした。 穂村弘さんが、ずいぶん丁寧に紹介してくださっている。 たとえば、 定職のない人に部屋は貸せないと言われて鮮やかすぎる新緑 松村正直 という4月25日の短歌をとりあげて「『定職のない人に部屋は貸せないねえ』と云われて不動産屋を出たとたん、目に飛び込んできた『新緑』。その鮮やかさが痛いように心に沁みる感覚、わかる気がする」 と。 そして、いくつかの短歌を紹介したあと、「いずれも短歌たちが都市の外側ではなくて中身を捉えた写真のように機能していると思う。僕たちはこんな場所で生きているんだなあ、と改めて教えられる」と結ぶ。 都市をテーマにした短歌がいかにわたしたちの生活に密着しているか、穂村さんの書評をよみながらさらにふかく思った次第である。
by fragie777
| 2008-06-06 20:24
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