11月29日(木)
谷保・城山公園に咲いていた「しろだもの花」。この時は実もつけて咲いていた。最初はなんの花かよく分からずに、そばに「青木の実」もあって、葉っぱが良く似ているのだけれど違っていて、植物にくわしい人に教えてもらったのである。この「しろだもの花」を俳句に詠んでいる人はいるのだろうか。ちょっと調べた限りでは見当たらなかったけれど、俳人おそるべしである、きっと誰かが詠んでいると思う。
11月も月末ともなれば、にわかに寒くなった。今日は自転車で出社したのであるが、このくらいの寒さになるとかえって歩いた方があたたかくなる。ほんとうは歩くはずであった。しかし、やすらかな眠りから目をさましたとき、時計の長針と短針がいつもとは見慣れない位置と角度をもっていたのに驚き、わたしの腕のなかで熟睡していた猫(あくまで猫よ!)と一緒にすみやかに起き上がり、もう一匹にも「朝よ」って声をかけ、彼女らとドタドタと階段を駆け降りて、まず猫たちに食事をあたえ、それからすみやかに豆乳を飲み林檎をかじり、すみやかに歯をみがき、それから洗濯をして、すみやかに着替えをして自転車にまたがったのである。ああ、その前に口紅をざっと塗って、髪をムースでガシャガシャとして、その時間約8秒。ともに生活をしているものたちには声もかけずに一心不乱にすみやかに自分のことと猫のみのことをした私なのであった。このすみやかさはどうだろう……どうやらわたしは寝坊というものをしてしまったらしい。それをばん回すべくすみやかに頑張ったのであった。
頑張って自転車をこいで、仕事場に行って「おっはよう!」って挨拶をすると「おはようございます」って新しい顏が…。(ああ、忘れずに来てくれたのね!)今日から新しいバイトさんが来てくれることになっていたのだ。だからわたしも遅刻をしないように「すみやかシリーズ」で頑張ったわけ。K.恵子さん。楚々とした女子大生さんだ。実は昨日、カトさんをはじめ、スタッフたちに「くれぐれもお手やわらかに親切にね」と頼んでおいたのだ。なにしろ、ふらんす堂は精悍な野武士ぞろいなもんで、ヤマジマ君もタジタジのつわものばかりである。「なんですかあ、いやだなあ、わたしたちみんな優しくて親切ですよう」とカトさんは笑いながら抗議するが、いやいやいや、わたしなどたえず突っ込まれてもうボロボロよ。しかし、あと数ヶ月もすれば、新顔の恵子さんもすっかり野武士のひとりとなることでしょう。その成長(?)をひそかに楽しみにしているわたしなのである。