10月1日(月)
とうとう10月になった。この間までの暑さを思うと、昨日今日のこの急なる寒さは冬の女神の突然の目覚めによるものか…まだでございます、女神さま。冬はもうしばらく先でございます。ころも替えなんてする時間などもとよりありはしないので、タンスの奥のほうに頭をつっこんで、なんかあったかそうなものを取りだして着るしかない。どうやら珍しく風邪をひいてしまったみたいである。いま必死に葛根湯を飲んでいるが、いまひとつすっきりしない。
ミセス川口、ミスター山嶋コンビで、どうにか『桂信子全句集』の寄贈分の代送を終えることができた。別室でやっているこの寄贈作業を渡邊や、中井が助っ人に行ったりして、今日はみんなで一致団結してがんばったのである。夕方代送を終えたスタッフたちはいただきものの美味なる葡萄で疲れをいやしたのであった。いまはおおかたのスタッフは帰り、中井も川口も帰り支度をはじめている。「川口さん家(チ)今日の夕飯なあに?」と中井が聞けば、「ウーン、なんにしようかなあ」と川口。「さんまですよ、今の季節は…」と中井。こんなふうに昼間の猛烈なテンションで仕事をしていたスタッフたちもやわらかな表情をとりもどしつつある。
中原道夫句集『巴芹(ぱせり)』ができあがってくる。おおかたの代送をおえて、そろそろ寄贈先に届きつつあるとおもう。間村俊一氏の装幀によって斬新でありながら、重厚感のある出来上がりとなる。作品は相変わらずの大胆な詠みぶりであるがそこに成熟さを加え芳醇な世界が展開していく。まさに道夫ワールドである。
今日の
増殖する歳時記は、清水哲男さんによって田中久美子さんの句集『風を迎へに』より「秋灯目だけであくびしてをりぬ」が紹介され、「秋灯(あきともし)といういささかとり澄ましたような季語に、遠慮なく眠さを持ってきた作者の感性は鋭くもユニークだ」と評する。そして「かつて自由詩を書いていた田中久美子が、このような佳句をいくつも引っさげて戻ってきたことを、素直に喜びたい」と。
写真はふらんす堂近くある紫式部の実。秋の色である。