カテゴリ
以前の記事
最新のコメント
検索
画像一覧
|
9月29日(土)
秋冷の一日となる。お昼ごろ仕事場へ行くとすでに誰か来ている。あれ、おやすみなのに…。スタッフの川口がいる。「あらどうしたんですか?」「つぎからつぎへと代送があるんで少しでも前にすすめておこうと思って…」と。そうなのだ、ふらんす堂はいまどうにもならないほど、あれこれと仕事が密集してしまって全体がすこしパニック状態なのである。真面目で几帳面なミセス川口は、休みを返上して頑張るつもりらしい。(申し訳ないなあ。)こちらがわの部屋でわたしが仕事をしている間、黙々とあちら側の部屋で仕事をつづけていたのだが、お仲間からの誘いの電話がきて、さっきいそいそと帰って行った。ご苦労さまでした。わたしはミセス川口のことをこころから頼りにしているのです。川口さん、このブログ読んでね。わたしのいつわりのない気持です! 有働薫さんによる「詩人のラヴレター」は今回はボードレール。いいですね。ランボオと並んで好きな詩人だ。大学時代に読んだフランスの詩人たちのなかでその授業をおぼえているのがこの二人だけっていうのはどうよ、って思うけど、ボードレールの『パリの憂鬱』のなかの「異邦人」を読んだときのことは忘れられない。加藤民男先生だったと思う。フランス文学者として活躍されている高遠弘美さんもきっと同じ教室だったのではないかしら…。「異邦人よ、おまえは何を愛するのか」という問いかけに、最終行で「雲を、あの流れていく雲を愛する…」と答える異邦人…。すべての愛は幻影であると絶望する異邦人が見いだした答え……。あの時の教室の明るさも、静かさも、淡々と解説する加藤先生の声も覚えている。なにかがわたしの心に舞い降りた、そんな甘美な時間が過ぎていったのである…。このときのことは今でもときどき思い出す。わたしにとってランボオもボードレールも青春というまぶしい時間のなかで色あせることなく屹立している詩人たちなのだ。有働薫さんは『悪の華』より「秋の歌」第2部の出だしの4行を紹介しておられます。堀口大学の訳で。いいですね!「ボードレールとランボーは詩人としては父と子のように思えます」という解説が新鮮です。
by fragie777
| 2007-09-29 20:05
|
Comments(5)
Commented
at 2007-10-01 13:54
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
fragie777 at 2007-10-01 19:11
新庄嘉章先生に学ばれたとは羨ましいです。
わたしたちの頃にも新庄先生はいらしたらしいのですが、講義は受けたことはなかったです。 高校生のときに新庄嘉章訳のジイドをたくさん読みましたので、 わたしには忘れられないフランス文学者です。 コメントをありがとうございました。
0
Commented
by
高遠弘美
at 2007-10-04 12:24
x
名前をお出しくださつて有り難く存じます。拝読するのが遅くなり、申し訳ありません。「異邦人」「酔ひたまへ」などを加藤先生の教室でならひ、すぐに暗記しました。いまでも全部を云ふことができます。「秋の歌」も全部覚えた詩です。若い頃に覚えたものは忘れません。ランボーは村上菊一郎先生のクラスで教へて頂き、やはり何篇かを覚えました。
新庄先生は四年の時に「アドルフ」の授業で教へて頂きました。すばらしいお授業でした。
Commented
by
fragie777 at 2007-10-04 18:57
コメント有難うございます。
わたしも村上菊一郎先生のランボオはようく覚えております。 しかし、フランス語を暗記するまでには至らなかったことが、 やはり、学ぶものとしてのツメの甘さを思いました。 「異邦人」は今からでも遅くないので、暗記をすることに いたしましょう。 新庄先生に教えていただくチャンスがあったのにそれを 外しているというのも、やはりちゃらんぽらんな学生だったと いまさら思う次第です。 (yamaoka)
Commented
by
高遠弘美
at 2007-10-04 19:17
x
山岡さんがちやらんぽらんなどととんでもないことです。
あの頃は選択制で、たとへば古典演劇でしたら、モリエール、ラシーヌ、コルネイユからひとつ選択。私は岩瀬孝先生のコルネイユを選び、登録わづか三人、大抵一対一といふ授業を受けました。新庄先生のお授業も選択だつたと思ひます。 そのかはり、窪田般彌先生のの授業には出ませんでしたし、川本茂雄先生のご講義にも参りませんでした。あのとききちんとしてゐれば、ラテン語でいまほど苦労しなかつたのに、と反省しきりです。
|
ファン申請 |
||