9月21日(金)

今日の
「船団」ホームページ「今日の一句」は、最近ふらんす堂より句集を刊行した和田耕三郎さんの『青空』より。「椅子ひとつ廊下に出され虫の夜」。廊下に出された椅子について、坪内さんはあれこれと想像をたくましくする。いろいろと想像することによって「虫の夜の情緒がしみじみとしたものになろう」と結んでいるのであるが、さて、この廊下。思うにこの頃の家に廊下のある家はすくなくなったように思う。廊下って部屋と部屋を結ぶものでもあるから、廊下のある家というのはそれなりに大きな家を想像してしまう。すこし昔の洋館だったり、たとえば江戸川乱歩の小説の世界に出てくるような、それぞれの部屋に重たいドアーがついていてそのドアの真鍮の把手はにぶいひかりを放ち、廊下はうす暗く、絨緞がしきつめてあって足音も聞えないような…もうきっかいな犯罪の匂いがただよってきますね。ブルブルッ…。それとか、純日本家屋のお屋敷だったり、こちらも暗い廊下の隅になにかがひそんでいそうな、そうわたしの愛読している漫画、今市子の『百鬼夜行抄』の妖怪たちがふりかえるとふっと立っていそうな、ああ、コワッ、…でも良かった!わたしん家(ち)狭い家なので廊下とよべるようなものが無くって…。そんなわけで廊下はこわい…、そう思いません。今日の写真の杜鵑草(ほととぎす)も廊下のある家に似合いそう。庭のちょっとじめじめしたひとむらにかたまって咲いていたりする…、これも情緒のある花です。
四十代の男性の句集が二冊出来上がってくる。白濱一羊さんの句集『喝采』と掛井広通さんの句集『孤島』である。白濱さんは、俳誌「樹氷」(小原啄葉主宰)の同人で盛岡在住のかた、朝日新聞「いわて俳壇」の選者をしておられる。片山由美子さんが栞を寄せて下さった。学校の先生をなさっているようで、「もう声の届かぬ遠さ卒業子」などの作品がみられる。掛井広通さんは、俳誌「沖」同人(能村研三主宰)で、静岡にお住まいである。とても無口なかたであると、掛井さんに会われたかたは口をそろええ言うが、(わたしはまだお目にかかったことがない。白濱さんにも…)作品は「太陽ははるかな孤島鳥渡る」など、こころに大きな時空をかかえておられる方なのかもしれない。こちらは谷口摩耶さんが栞を寄せて下さっている。
さて明日は、伊丹市で開かれている柿衞文庫秋季特別展覧会「女性俳句の世界」に行く予定である。桂信子の資料を中心に長谷川かな女から細見綾子までの女性俳句の足跡とたどるということでさまざま資料の展示と講演会や特別講座がある。わたしは明日の記念講演の宇多喜代子氏による「桂信子とその時代」を拝聴するつもり。ふらんす堂で刊行した『桂信子全句集』も一冊飾ってあるのでございます。そこであらためて手にする『全句集』もきっとわたしには眩しいものに思えるでしょう。間に合って良かった……。いらっしゃるお客さまに、全句集を手にして、「これ、わたしがつくったの!」ってさけびたくなってしまうかもしれないな…、しかしわたしはちゃんとした大人だからぐっとこらえます。館長の今井美紀さんによると明日の記念講演は申し込みが殺到しているということで盛況なによりです。今日電話をもらった「俳句研究」の編集長の石井隆司さんは、このオープニングの開催式にはちゃんと出席されたということであった。