8月28日(火)

今日は装幀家の間村俊一さんのところに行って、いま戻ったところ。仕事場にもどるやいなや、雨が降りだしてその音を聞いているだけでもわたしの住んでいる世界はにわかにすずしくなったようである。でも、弱ったな、今日は自転車で来たので…、あらいやだ、雷まで鳴りだしたわ、帰りはどうしよう。歩いてかえるのはちょっと辛いぞ…。さて、中原道夫さんの句集『巴芹』の装幀が出来上がったということで、夕方に急遽神楽坂の間村さんの仕事場まで装幀を受けとりに行く。神楽坂は、すこし前までお芸者さんたちがいて、三味線を売るお店があったりしていまもその坂をあるけばその情緒がかすかに残っているわたしの好きな街である。間村さん、いいところでお仕事してますね。というわけではじめてたずねた間村さんの仕事場は、すこしむかしの丁寧につくられたマンションの2階で、いごこちのよい空気に満ちていた。きょうはひとつ装幀家の仕事場をご紹介しましょう。

どうです。雑然としたなかにもある雰囲気があるでしょう。(ひやあ、わたしのちかくで雷が落ちたみたい! こ、こっわい!……ひえー、、またよ!)まっ、とにかく、この部屋には間村さんがなさった仕事の本でみちみちていて、ああ、この本の装幀も間村さんでしたの! という具合に沢山の本がならべられてあったり無造作に積み重ねてあったりしているのだが、とても満ち足りたものがそこを支配しているのである。筑摩書房から刊行された『宮澤賢治全集』に気づく。

「これも間村さんのお仕事だったんですね!」といいながらパチリと写真にとれば、間村さんはそういうわたしを見てフフッと笑っている。さて本命の、できあがって目のまえにある中原さんの句集の装幀は…と…。フーム…、やはりこちらが期待していたとおりのものになりそうである。ある重厚感をたもちながらスマートな現代感覚がある、間村俊一本領発揮の装幀となった。中原さん、出来上がりまでもうすぐです。楽しみになさって下さいませ。間村さんは明日から花巻に行かれるという。「間村俊一作品展」が宮澤賢治イーハトーブ館で開催されているからだ。写真はその案内状。ここに描かれているのはエンピツ画。「いいですね、誰の作品ですか?」と聞けば「ボクのです。昔のものなんですが…」そこには、わたしの好きな世界がある…。