8月8日
今日は立秋。
どことなく秋の気配がただよって…、いやあ、そんなことは断じてない。どうよ、この暑さ! わたしはすでに朦朧として、人生の意味を半分失いかけている…。今日の夜は仕事で出かけることがあると白いスカートなどはいていささかめかし込んで出社したところ明日の間違いであったことに気づく。わたしの気合いはむなしくあたりの熱をふくんだ大気のなかに霧散していった。お昼に食事を買いに出かけたスーパーで、さんざん迷ったあげく、ジャージャー麺をレジ台にのせて、「お箸も添えてくださいな」と言ってから、お財布を忘れたことに気づいてコソコソと帰って来た。(もうカッコわるいったらない)
そうだ、嬉しいこともあった。スタッフの渡邊がオーストラリアへのハネムーンから帰ってきたのだ。朝仕事場のドアーをあけて、その穏やかないつもの笑顔を見たとたん、「ああ、おかえりなさーい。どうだった。旅行は?」と聞けば「とっても楽しかったんです。帰ってきたくなかったほど」と。(か、帰ってきてくれてよかったよ)とわたしは胸をなでおろす。渡邊のかわりにDTP作業を一手に引き受けていた加藤は、もう渡邊にピタッとすりよって「わたし、もう朝から渡邊さんにこうして甘えてるんですう」とべったりとニコニコしている。やっぱりこうしていつもの場所にマキさんがいなくちゃね。とみんな嬉しそうである。しかも今日のおやつは2回あった。渡邊のオーストラリアみやげの魚のチョコレートをまず食べて、夕方にはやはりおみやげの象のチョコレートをみんなで食べた。「魚のつぎはこんどは象でーす」と言ってバイトさんの原見がくばってくれたのだった。魚も象もたべた立秋の一日となったのである。
今日の坪内稔典氏による
「船団」ホームページ「今日の一句」は、中原幸子さんの句集『以上、西陣から』(ふらんす堂刊)より。「新聞の天地ぎざぎざ今朝の秋」が紹介されている。