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1月1日(月)
新しい年がはじまった。空はおだやかな明るさだ。朝から「マタイ受難曲」を聴いている。素晴らしい悲しみにみちている。2007年の初めをこのはらわたをつかんで身体がゆすぶられるような哀切さにどっぷりつかってすごすというのもステキだ。 さて、ふらんす堂のHPのトップを新しくしてみたのであるがどうだろう。昨夜はこのことで明け方まで、担当のYとあれこれ対応し、悪戦苦闘したのであるが。まだ、環境がととのっておらず、ここ数日で環境をととのえていくつもりである。 あたらしく始まった「俳句日記」「芭蕉の一句」「短歌日記」はどうだろうか。担当の池田澄子さん、高柳克弘さん、東(ひがし)直子さんが力をそそいでくださって、この一年連載をしてくださる。わたしはとても魅力的なものになっていくと確信している。池田さん、高柳さん、東さん、どうぞよろしくお願い申し上げます。 今朝の「朝日新聞」の大岡信氏による「折々のうた」は、芥川龍之介の俳句である。 元日や手を洗ひをる夕ごころ わたしが何よりも嬉しかったのはこの出典が「『夕ごころ 芥川龍之介句集』(平五)所収」となっていたこのなのだ。これはまさしくふらんす堂刊行のふらんす堂文庫『夕ごころ』のことなのである。つまりふらんす堂文庫が、市民権を得たということなのだ。ふらんす堂文庫は最初の高柳重信句集『夜想曲』を刊行してから今年で17年間すこしずつではあるが刊行しつづけている。文庫サイズのフランス装という採算を度外視した贅沢な本作りから出発したゆえに、版元としてはたいへんであったが、これまでのかなり多くの方がこの本を買い愛蔵してくださっている。 しかし、多くの方に買われ読まれるということと、その存在が単なる便利なものだけでなく、ある資料性をもった信頼できる書籍として認められるということはちがう。そこのところが、きっちり評価されて来なかったのである。だから、この今日の「折々のうた」のように、きっちりとその出典として記されると本当に嬉しい。新聞をもってわたしは「やったあ」と叫んだ、猫のヤマトに向かって「嬉しいよう」と言ったらきょとんとしていた。わたしは言いたいのだ、永田耕衣の自選の精選句集が『生死(生死)』以外にどこで読めるというのか。『夕ごころ』だってそう、いい句集名ではありませんか。これは亡くなられた編者の草間時彦氏がつけられたものである。芥川の俳句の世界をひとこで言いえるような句集名だとも。草間時彦氏が懇切にとりくんで下さった芥川の句集なのである。 2007年の初頭にふらんす堂文庫がこうして記されたということ、たぶんこのことを喜んでいるのは地球上にわたしだけかもしれない。が、わたしは本当に嬉しい。ブラボー!
by fragie777
| 2007-01-01 15:03
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