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12月1日(金)
いよいよ12月。お給料の支払いを忘れるなんてことは金輪際あってはならない。気をひきしめていきたい。 本阿弥書店の社主である本阿弥秀雄氏の第2歌集『スローな日夜』が出来上がってくる。装丁は三嶋典東氏。ふらんす堂としては2冊目の三嶋氏の装丁の本となる。今回は本阿弥氏の希望によって依頼をしたものであるが、素晴しい出来栄えとなった。 白のカバーに白の帯、イラストは黒の印刷、タイトルは黒メタル箔というシンプルかつストイックな本となる。 用紙はあたたかな白で、横に不規則な線がはいって細かな波うち模様があり「スローな」というゆったり感の表情をうまくあらわしている。 表紙も墨一色刷り、こちらの用紙はベージュ系で細かな砂模様が奥行きのある手触りを感じさせる。ストライプ模様が本阿弥氏の短歌がもっている都会感を表現している。しかしである、見返しがすごい。三嶋典東氏の本領発揮というべきか。華やかな美しい色彩にあふれているのだが、すばらしく上品。表紙はカバーに隠れていて見えないのでカバーとともに本をひらくと読者はこの見返しに眼をうばわれることになる。 いっしゅん目もくらむようなこの不意打ち感は、本阿弥氏のこのたびの歌集がもっている不意打ち感と響きあっている。日常を優しく細やかに詠う一方、この歌集は最終部分においてその歌の世界を一転させる。「ざしきわらしー遠野物語十七〜十九」と見出しのついた一連の作品、それは多分柳田國男の『遠野物語』の「ざしきわらし」からインスパイアされたのか、「ざしきわらし」の世界が一連の短歌をとおして絵巻物語のように現出するのである。それは読み手を日常とはまったく違う異次元の世界へと誘っていく。わたしはドキドキしながら読み進んだのだった。 今朝、三嶋典東氏と電話で話しをしていて、三嶋氏もまったく同じように言われていた。本阿弥氏のこの奥行きのある作品をいかに装丁において表現するか、情熱をこめてお話しをされたのだった。コンピュータを駆使して装丁をする装丁家がふえていく一方、三嶋典東氏は北見俊一氏とおなじように人間の手を大切にする装丁家であると思った。 うれしいことをおっしゃった。 「ぼくはほとんどのお金を本に使っちゃうくらい本が好きなんです。ふらんす堂さんの本はいいですね。あのふらんす堂文庫、あれは沢山買って持ってます。うちのが(奥さまのこと)俳句をやるんですが、ふらんす堂さんのファンなんです。わが家では、ふらんす堂はメジャーです」 まあ、なんて光栄なことでしょう。
by fragie777
| 2006-12-01 19:27
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Comments(2)
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