ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko

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三十五歳の頃から句作を始めましたが、定年退職後その面白さを実感するようになりました。

6月10日(水) 時の記念日 旧暦4月25日


三十五歳の頃から句作を始めましたが、定年退職後その面白さを実感するようになりました。_f0071480_16295426.jpg

「あれっ、浜木綿(ハマユウ)かしら」
友人が指さした。

「百合ともちがうし、浜木綿よね」
なんていう会話を友人とかわしたが、
すこし浜木綿ともちがう気がしてしらべてみた。


三十五歳の頃から句作を始めましたが、定年退職後その面白さを実感するようになりました。_f0071480_16300503.jpg

浜木綿の一種ではあるらしい。

「ハマユウ」なんて、名前のひびきもやさしくていい。
楚々としたきれいな花である。

「ハマユウのような人」なんて言われてみたいが、金輪際、ないな。。。

言われてみたいなんて書いたけど、いまふっと思っただけで、まあ、どうでもいいことだわ。




新刊紹介をしたい。

田中信爾句集『春遊(しゅんゆう)』


三十五歳の頃から句作を始めましたが、定年退職後その面白さを実感するようになりました。_f0071480_16481248.jpg
四六判ハードカバー装 164頁 一句組

著者の田中信爾(たなか・しんじ)さんは、1947年、京都福知山市生まれ、神戸市在住。現在「古志」同人、「街」会員。これまでに詩集2冊、句集⑵冊、写真詩集1冊、詩画集を一冊、上梓されている。今回は三冊めの句集出版である。

此度、句集『春遊』を上梓することとしました。三十五歳の頃から句作を始めましたが、定年退職後その面白さを実感するようになりました。本句集は二〇二一年以後俳誌「古志」、 二〇二四年以後俳誌「街」に入選したものを中心に編集したものです。

「あとがき」を紹介した。

本著は一句組である。

句集名の「春遊(しゅんゆう)」は、調べてみたところ、「春、花をもとめて山野を歩いたり、花のそばで宴を張ったりして楽しむ遊び」とある。
本句集も春の句からはじまっている。
担当は優子さん。
好きな句をあげてもらった。

 冬の雨つきて旅客機疾走す
 小漁港春潮みちて波立てり
 金物の町を流れて秋の川
 デッサンや冬の林檎に影入るる
 朝食のコーヒー淹れて春ここに
 帰宅せし妻のこゑして夏の暮
 ものの芽を巻き込みにけり牛の舌
 青大将通り切るまで立ち尽す
 冬蝶に別の冬蝶近くゐて

 金物の町を流れて秋の川

秋の句である。「金物の町」とは、「金物」をたくさん作っている町のことである。金物とは「金属製の器具」のことであり、むかしは「金物屋」さんと呼ばれる専門の店があったりしたけれど、いまはなかなか金物屋さんは見当たらない。この町は、金物をつくるばかりではなく、きっとそれを売っている「金物屋」さんが何軒も軒をつらねていそうな気配がある。そのたくさんの店舗に平行するように川が流れている。秋の季節はとりわけ空気が澄んではりつめている。金物のひとつをたたいたら、キーンと澄み切った音がしそう。川は四季をとおして金物の町をながれているが、とりわけ秋の季節の澄んだ川の水は金物を美しく見せる。その秋の川に作者の心は止まったのである。

 デッサンや冬の林檎に影入るる

デッサンをしているのだろうか。それともデッサンをしている人を見ているのだろうか。なんのデッサンかといえば、林檎を描いているのである。そしてその林檎は「冬林檎」なのである。「冬の」とあることによって、空気が引き締まった感がある。デッサンをしながらいれる影もシャープな陰影が想像される。モノクロの景に林檎の赤が際立ってくる。

 ものの芽を巻き込みにけり牛の舌

この句はわたしも好きな一句である。景がよくみえる。春の長閑さもある。なんといっても牛の舌がこうぐうっと伸びて、芽吹きの芽をくるっと巻き込んで食べてしまったのである。その一瞬を一句にした。なんともうららかな一日。

 地には鳩手ぶらの吾に冬日あり

おもしろい一句である。好きな句でもある。鳩も吾もあたたかな冬日の恩恵をうけているのである。鳩はといえば、地面をぐるぐると歩き回っており、われは鳩に対して垂直に立っている。そして手には何ももたず。地という平面をうごめく鳩とその地にむけて腕をたらして立っている吾、平面と垂直という構図がみえてくる。そして恩寵のようにふりそそぐ冬日。癒やされる一句である。

 桔梗さく数学問答して二人

これはわたしが面白いとおもった一句。ふたりの人間が、数学について語りあっている。日常的にそう目にする光景ではない。数学にめっぽう弱かったもんで、数学について語っていると聞いただけで尊敬をしてしまう。しかも問答をしているのである。高尚な空気がただよう。そんな問答をしているふたりのかたわらに「桔梗」が咲いているのだろう。桔梗がいい。桔梗って庶民的な花ではない。品格があって毅然としている。色も奥ゆかしい紫か白。濁世とは無縁そうなお二人にはなかなか似合うんじゃないって思う。

校正スタッフのみおさんは、〈星形の枯葉があまた木に残る〉の句が好きです。「星形」というだけで、枯れ葉が風に鳴る音も、少し特別に感じられます。



本句集の装丁は、君嶋真理子さん。

シンプルにという著者のご意向を反映させながら、春らしい駘蕩とした趣のある一冊となった。


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句集上梓のご感想をいただいた。


1 本が出来上がった時の気持
内容に自信はありませんが、全体として良い仕上がりだと思いました。

2 句集に籠めた気持ち
最近句会で時々入選するようになり、一大決心をしました。
さらに影響をうけた俳人としては俳人の今井聖さんと同じく俳人の森田峠さんです。自分としてはその時が来たのだと個人的には思っています。

3 今後の句作への思い
もう少しやることが残っていると思っています。


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田中信爾さん。



田中信爾さま
句集のご上梓おめでとうございます。178.png178.png178.png178.png178.png

更なるご健吟をお祈りもうしあげております。

  





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浜木綿とおなじ畑に植えられていたズッキーニ。

すごいとおもいません?





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by fragie777 | 2026-06-10 18:47 | Comments(0)


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