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1月8日(木) 初薬師 旧暦11月20日
椿だろうか、山茶花だろうか。 いまちょっと迷っている。 散り様を確認していなかった。 しかし、 たぶん、 八重椿 凜とした咲き方だと思いません? 新刊紹介をしたい。 四六判フランス製本カバー装。 96頁 著者の丸山由木子(まるやま・ゆきこ)さんの第2詩集である。丸山由木子さんは、1950年東京・杉並区生まれ。詩誌「銀曜日」2025年まで所属。1977年に第1詩集『木苺祭』を上梓されてから、48年ぶりの詩集刊行となる。 一九七七年に第一詩集『木苺祭』を出版してから、日々の忙しさにまぎれ、気が付いたら実に四八年もたってしまった。 心身の変化、衰退、穏やかならざる世情に、もはや目を瞑ってもいられず、ようやく一歩を踏み出した。 故藤富康男先生のもとで始まった詩誌「銀曜日」は、いくつかの変遷を経たが、今年二〇二五年五月の五五号まで続けることができた。 「あとがき」を紹介した。 詩集のタイトルは、「銀曜日」よりの「銀曜座で」である。 20代で第1詩集を上梓され、途中おやすみはあったものの、詩を書くことをやめることがなかった丸山さんである。 本詩集は長い歳月が籠められたものなのである。 編集担当はPさん。 まず、詩を紹介したい。 春の先へ きりきりきり、と 内側の皮膚が削られてゆく夕暮れには きまって何かの貌が見える 緩やかな川の流れが急に作る小さな渦 微笑みを一枚そよがせるわけ知りの風 腕には懐かしい気配を抱きとって 振り向くと草の舞台では いくつもの椅子が積み上げられ うねりながら天へ昇る そのひとつひとつに不在を乗せて さりさりさり、と 震えながら壊れてゆく花の家の中 探していた記憶たちが 一斉にあざやかな色彩をまとい 積もるものと 彫られるものとが互いに境界を消しあう するとまた貌が見えるのだ 新しい傷を蔓のように這わせた貌が 見上げると空中では 無人のブランコがいつまでも弧を描き 脱ぎ捨てられた一日が ゆっくりと手の中で忘れられる わたしの好きな詩である。 1行目の「きりきりきり、と」 そして、11行目の「さりさりさり、と」 の措辞がこの詩にある緊迫感のようなものを与えており、わたしをかすかに不安にさせる。 「春」ではなく、「春の先へ」と題された詩であることを思う。 もう一つ詩を紹介したい。 新しい闇 その闇はもう充分に発酵して さっき翳(かざ)された手の形そのままに やわらかなゼリーが窪む 腰かけているのは 誰の時間のほとり 足首は温かな流れに洗われ 絶望さえもなんなく 抱きとってゆく 一陣の手馴れた抱擁 許すこと 見つめること 振り向くこと 詰(なじ)ること 愛することは 何と多くの姿で地上に降り立ち いきものはいきものの流儀で 繰り返す こっけいで濃(こま)やかな堂々廻り 手の形の溝から 滴る果てしのない旋律 を聴くために心を澄ます人々 闇をわたる者と闇を思う者との 約束はやがて満ちて 傾いては重なる 二つの天体の軸 本詩集の装丁は、山根佐保さん。 鮮やかな紫を差し色とした装丁となった。 タイトルは銀泊。 スミ刷りのみにみえるが、紫がさりげなくおかれてある。 表紙。 装画の天使は銀刷りに。 見返しの紫がかすかにのぞく。 見返し。 扉。 私を育んでくれたあの濃密な忘れがたい日々。〝銀曜座〟にいま一度出演してもらい、やっとあの時間に礼を尽くした思いでいる。(あとがき) 上梓後のお気持ちをうかがった。 (1)本が出来上がってお手元に届いたときのお気持ちはいかがでしたか? ホッとして、やはり嬉しさが込み上げて来ました。 (2)この詩集に籠めたお気持ちがあればお聞かせ下さい 古い詩は25年くらい前のものもあり、はぁこんなことを感じていたのか、と改めて自分を知ることとなりました。 しかし、とにかく自分の分身?を世に羽搏かせてやった責務が終わったという思いです。 (3)今後の執筆活動への思いなどありましたらお教えください。 初めて詩のグループに属さない生活をしていますが、もともととんでもないスロータイプ。ふつふつと湧き出る泡を取り逃がさず、アンテナは磨いておこうとキアイを入れています。 丸山由木子さん。 昨年の8月8日にご来社の時。 なんとも頼もしいお言葉である。 本詩集上梓を契機に、詩人としての腕にさらに磨きをかけていただきたい。 丸山さんは吉祥寺ちかくにお住まいである。 「消えた店」という作品には、わたしも良く知る店たちが登場する。 また「あとがき」で書かれているように「穏やかならざる世情」を読んだ作品もある。 後半よりもう一つ詩を紹介する。 境界まで 脳内の踊り出す思いをなだめ 幾枚もの夜ごとの仮死を脱ぐ 起き上がる朝の大仰な儀式 人型の楽器の鼓動を調律し つれない今日へ挨拶をしたいので どうか扉を開けて 私が続いてゆくわけを 知ることができるなら 何を売り渡せば 誰と取引きをすれば どうか教えて 祈りの正体 絶望の陰謀 すべてを解読するパスワードは (バタフライエフェクト) ある日帳尻を私に突きつけようと 黙々と累積する 小さな蝶の微小な羽搏き 美酒の泡に恋を溶かし 花束は抱かれたまま枯れ 戦火の映像を一瞥して 甘い焼き菓子を食べた そして パンデミックから逃げ惑い 肝心な言葉を聞き過ごした 傍らを会えなくなった人たちの 列が過ぎる 見たことのない光の微笑に包まれて 境界が近い これは山茶花である。
by fragie777
| 2026-01-08 19:34
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Comments(2)
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
sinamonさま
お誕生日おめでとうございます! 92歳ですか。。 すばらしいです。 今年もお元気で、yamaokaを励ましてくださいませ。 (yamaoka)
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