ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko

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出てゆく男。(俳句のうえでです)

12月29日(月) 旧暦11月10日


出てゆく男。(俳句のうえでです)_f0071480_19011977.jpg

今朝の仕事場へいく途中の空。



出てゆく男。(俳句のうえでです)_f0071480_19012247.jpg

いつもとは違う道をとおる。

人の姿がない。
この通りをつきあたれば、賑やかな通りにでる。


朝から仕事場でずっと仕事。

同じ体勢でいたので腰がつかれてしまった。

明日もまた、やり残したことをするつもりである。




今日は、田中裕明・森賀まり共著『癒やしの一句』より、今日の日付けのものを紹介したい。田中裕明さんの鑑賞である。

 炬燵出て歩いてゆけば嵐山    波多野爽波

嵐山は京都市の西部にある。歴史を背負った地域である。藤原定家が小倉百人一首を編んだのも、この地である。京都の行楽地の一つとして、春、秋のシーズンにはたいへんなにぎわいとなる。最近では今様の土産物を売る新しい店も増えて、若い人のスポットにもなっている。しかしながら、暑い夏の日盛りや、北風の吹きすさぶ真冬には、人通りも絶えて寂しい表情を見せる。
さて、掲出句は、普段着の男との姿である。じっと炬燵に入っていた主人公が、ふらっとでて歩いていけば真冬の嵐山がある。あたりに人影もなく、川に百合鷗がたくさん浮かんでいるのが見える。さりげない俳句ではあるが懐が深い。
じっさいは、男は出てゆけば嵐山があると思いながら、その蕭条とした景を思い浮かべるだけで、炬燵にうずくまったままだったのかも知れないが。
掲出句は昭和五五年作。句集『骰子』所収。(炬燵・冬)


爽波の代表の句の一つであるが、弟子の田中裕明さんの鑑賞を知ることができる。
「男」は出てゆかず嵐山を思いうかべるだけかも、という鑑賞が面白い。




 寒オリオン鍵を掛けずにゆくポスト  後閑達雄


こちらは、ポストまで実際に出かけたのである。爽波の句の「嵐山」という地名がもたらす趣とはずいぶんちがう。
去る25日は、後閑達雄さんの忌日だった。
去年、54歳で急逝。
掲句は、最後の句集『カーネーション』より。
悲しみはまだ新しい。





出てゆく男。(俳句のうえでです)_f0071480_19012732.jpg
家にやってきた猫。


出てゆく男。(俳句のうえでです)_f0071480_19013059.jpg
出てゆく男。(俳句のうえでです)_f0071480_19013392.jpg

出てゆく男。(俳句のうえでです)_f0071480_19013685.jpg

出てゆく男。(俳句のうえでです)_f0071480_19013867.jpg

いつでも見下ろされている。




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by fragie777 | 2025-12-29 19:37 | Comments(2)
Commented by kaikoma at 2025-12-30 09:12
炬燵出て歩いてゆけば嵐山が昭和5年とあります。
大正末生まれの作者にとって幼年になります。
間違いと思います。
0
Commented by fragie777 at 2025-12-30 10:08
kaikomさま

ご指摘ありがとうございます。
昭和五五年の間違いでした。
修正いたしました。

(yamaoka)
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