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11月29日(土) 十日夜 旧暦10月10日
おびただしい落葉である。 水の世界のほうが鮮明な冬木と空。 今日も宿題の原稿をもって、カフェのひとつに潜り込む。 そう、潜り込む、そんな感じでとうとう原稿を読み終えたのだった。 読み終えたときは、頼んだモンブランのまずさに辟易していた。 ここのカフェは住民らしい人影はなく、健全なる(?)出入り状態である。 次に来るときは、モンブランは頼むのはやめようと心に決めてわたしはそのカフェをあとにしたのであった。 今日は、俳人・川崎展宏(かわさき・てんこう)(1927~2009)の忌日である。 ふらんす堂からは、『春 川崎展宏全句集』 などを刊行している。 展宏先生には、出版社勤務時代からいろいろとご縁をいただいた。 忘れられない俳人のひとりである。 好きな句はいろいろと頭をよぎるが、今日は、展宏先生からいただいた著書『虚子から虚子へ』(有斐閣刊)の一文を紹介してみたい。 師系としては、加藤楸邨・森澄雄につらなる俳人であるが、高浜虚子についての論が多く、ほかに評論集『高浜虚子』がある。 子規はかつて「虚子の草木を見るは猶有情の人間を見るがごとし」と評したが、もともと虚子は、子規にいう「理想」の人、つまり、その句に色濃く主観の出る人であった。たとえば「春雨の衣桁に重し恋衣」(明治二十七年)などのように、虚子の主観は、古典的な美意識から発していて、その美意識は主として謡曲に育てられたものであろう。虚子が子規から学び、弟子に説いたのは、自分の古典趣味も含めて、身についている美意識など一旦捨てて客観に即せということであった。ところで子規の写生は、眼前の客観に即するという精神のはたらきに重点があって、いきいきとした近代人の目という意味で、その活気を、時代の活力とともにするものであったが、「客観」に即していえば一重(ひとえ)ものである。虚子は、この一重の客観を事こまかに写すことと、その喜びを弟子に説いたが、ーー大正期の客観写生ーーそれは主観を制御して客観の大きさを知らしめる修業の一段階であって、自分を矯正することで客観(自然)が近づいてくるというので、主体は客観(自然)の方にあるのである。次に、客観に即するというかたちで、おのずからそこに個々の作者の主観が出てくる段階で、昭和初期に秋桜子、誓子、素十、青畝のいわゆる四Sを推したが、主体が客観にあるということを銘記させるために、特に素十を大切にしたのである。だが、虚子はここにとどまるものでなかった。「大自然に接し、常に心を流動の姿に置く」(「写生主義」昭和四年三月)境地であって大自然のように自在な域である。近代の進歩とは、人間が次第に大きくなってくる。わがままになってくることだが、虚子はこの逆を逝くのである。その方向は反近代であり、方法は古典芸能の修業の段階を思わせる。近代とは自由の方向が逆であって、その自由ーー自在といった方がいいーーへ花鳥を通して至ろうとするのが、俳句だというのだ。自然は花鳥を通して俳人の前に現れる。俳人は花鳥を通して自然の自在を得ようというのだから、ここに人事界の対立葛藤を持込む余地はないので、また、持込まぬことをこの文芸の特色とし、この特色をもって自ら侍すべきであると説く。 (略) 花鳥とは、花鳥風月のことで、大自然が四季の変化によってそのときどきに示す季のものである。しかし、それを「花鳥」といったところに虚子の俳句に寄せた願いがこもっている。「芸術の極意はやはらか味」(「玉藻」昭和二十七年十月)という、そのやわらかみ、温かさが「花鳥」という言葉のニュアンスにこもっている。 (略) 諷詠とは、虚子のよれば心の調べであり、ささやかにも、大らかにも、花鳥を通して大自然に呼びかけるのである。虚子の呼吸は、ときに天地とともに大きい。(『虚子」の章より) もう一つ、『春 川崎展宏全句集』の栞によせた金子兜太さんの文章を抜粋して紹介しておきたい。タイトルは「知的でわがままな透明体」 川崎展宏が十一月二十九日午前二時、他界した。次は樫の木になりたい。と私に言っていたことがある。仏教では四十九日で生まれかわるということだから、それでいくと来年の梅の咲く頃には樫の木になって立っているかもしれない。(略) 朝顔は水の精なり蔓上下 いろいろあらーな夏の終りの蟬の声 など、好き嫌いを別に展宏俳句の面目躍如と見る。滑稽諧謔の現代版、その抒情、真面目なものほど滑稽、という言い方を思い合わせている。 我がままな透明体、川崎展宏が逝った。 白息のゆるゆる読むや虚子句集 川崎展宏 今日の上空を飛んでいた飛行機。
by fragie777
| 2025-11-29 19:50
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