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10月22日(水) 旧暦9月2日
金木犀(キンモクセイ) ![]() 今日も金木犀の香りのなかをあるいてきた。 わたしが鼻の穴を精一杯ひろげて香りを吸い込んだので、きっとそのあたりは金木犀の香りがうすまったと思う。 アシカラズ。 雨あとの金木犀はとてもよく匂う。 新刊紹介をしたい。 四六判ペーパーバック装 84頁 2句組 水木ユヤ(みずき・ゆや)さんは、2013年にふらんす堂より第1詩句集『カメレオンの昼食』を上梓されている。詩と俳句作品を収録したものである。今回の『カメレオンの朝食』は、俳句のみ。しかも厳選である。いまは、「窓の会」(坪内稔典代表)に所属されている。本句集に、坪内稔典さんが、跋文を寄せている。 本句集は、「はる・なつ・あき・ふゆ」の4章立てである。坪内さんはそれぞれの四季から一句ずつを抜き出しての感想である。 抜粋して紹介をしたい。タイトルは「ユヤさんの四季の句」 名古屋に水木ユヤさんという俳人がいる。ずいぶん前から知っていたのだが、このところ、彼女の句が急に面白くなった。たとえば次の春の句。 東風吹かば我はちくわの磯辺揚げ 「東風吹かば」ときたら菅原道真の飛び梅を連想するが、それを連想させながらも、不意に「ちくわの磯辺揚げ」へ転じるのが面白い。飛び梅とちくわの磯辺揚げがぶつかるというか相互に交響して不思議なおかしみを生じる。そのおかしみが俳句という定型詩の生む詩に違いない。 こんな夜は雪でなけりゃ象が降る これも嘘、しかも大嘘であるが、象ってどんなふうに降るのだろうか。雪のようにふわふわと降る? それとも尻もちをつく感じでドスンと降る? いずれにしても、そんな夜があって、もしかしたら、ボクもそのような夜に出くわすかもしれない。 水木ユヤさんの句に向き合うときは、常識というヤツを武装解除して向き合わなければならないのかもしれない。 この句集にはすてきな頁があって、「窓の会」のお仲間がそれぞれ『カメレオンの朝食』より、「『窓の会』メンバー一句選」として好きな一句を紹介しているのである。その句をまず紹介してみたい。 かき氷あたしの中の鍾乳洞 小西雅子選 早春のカリアゲちょっと触らせて 谷 さやん選 この枝垂れ桜が銀河まわします 津田このみ選 凩や丸いわたしが三角に 原 ゆき選 ひとつぶを外し葡萄の城に入る 山本純子 これらの句を選んだ方々に鑑賞をうかがいたいところである。どれも坪内さん言うところの「不思議なおかしみ」がある。 この句集を担当した文己さんが好きな句をあげてくれていた。 紹介したい。 アスパラガス君の帽子は空の色 雨上がりゆるやか坂のゼラニウム サンダルの紐切れ火星に隕石がっ すれ違う地下街の冷えクミンの香 紅葉ふる円筒形の静けさに アスパラガス君の帽子は空の色 君の帽子が空の色っていうのはまあ、わかる。普通にいえば空色の帽子だ。けれど、この句はそうじゃない、といまおもった。空色というわたしたちに約束された色がさきにくるのではなく、この一句で感じるのは、かぶっている帽子の色がまさに目線をあげたところにあるただ今の空の色なのである。そう思うと視界がひらけて、帽子が空へとつながっていく。そんな風によむこともゆるされる一句である。なにしろ、上5に「アスパラガス」があるのだから。。なにゆえに「アスパラガス?」理屈をみつけようとしてもだめ。ただ、この「アスパラガス」というカタカナの野菜がすまして一句の上5を占領しているのがおもしろい。この一句、声にだしてよむと、とても調子よく読めるのある。「アスバラガス」は「君」にかかる枕詞のようだ。 サンダルの紐切れ火星に隕石がっ 「がっ」に思わず笑ってしまった。「サンダルの紐切れ」と「火星に隕石がっ」間には一億光年くらいのひらきがあるけど、それをこう一句にいれこんでしまっても読めてしまう。この飛び方が面白いのだ。サンダルの紐が切れることは、まあごくたまにある。そこから火星におちた隕石の音まで飛躍してしまうのがすごい。音まで教えてくれている。「がっ」って。五七五の定型でものすごい時間と空間をとりこんで済ましている一句だ。俳句の定型の包容量はハンパじゃない。 すれ違う地下街の冷えクミンの香 この句は、俳句として自然体(?)であるとも。わたしも経験できそうな一句である。「クミンの香」がいい。クミンはカレーなどを作るときに用いる香辛料だが、異国の人の香りとすれ違ったのだろうか。地下街であるので、解放された空間ではない。冷え冷えとしてあたりに人はすくない。そんなときにすれ違った人にクミンの香りがしたのか。あるいは、残り香がただよっていたのか。冷気とクミンの香の地下街。 クラクション‼1 0 0 0 0 0 0 匹の鰯雲 気持ちのよい句だ。鰯雲がひろがる秋空。こまかに鰯たちが100万匹ひしめいている。広い空がみえてくる。その天の下、クラクションが鳴った。澄み切った秋気、よく響くクラクション。そらには鰯たちが。。。こんな秋もある。 まっさらな句のない句集へ散る紅葉 この一句はすきな一句である。これから俳句が書かれていく句集なのだろうか。いや、そうじゃないように思える。なにも書かれていない、そして書かれることのない句集なのである。その白い頁に散りかかる紅葉。もうそれで充分である。 校正スタッフのみおさんは、〈ついきみを責めて歩いた夜の桜〉の句が心に残りました。 「こんなことを言うつもりはなかったのに……」という苦い気持ちが伝わってきます。 本句集には、「あとがき」はなくて、「謝辞」がある。 それを紹介しておきたい。 坪内稔典先生 一句選の小西雅子様、谷さやん様、津田このみ様、原ゆき様、山本純子様、「窓の会」常連の方々 そして この本を「見た、持った、開いた」皆さまに心より感謝します。 装丁は『カメレオンの昼食』とおなじにということで和兎さん。 こんなカットをあしらった頁もある。 若い身空の空ってなーにハルジオン ハルジオン結婚しよんヒメジョオン ユヤさんは二〇一三年に第一詩句集『カメレオンの昼食』を出しているが、ボクにはその句集の印象は薄い。この第二句集において彼女の句は俄然開花したのではないか。そして今、名古屋には水木ユヤという俳人が画然といる。(坪内稔典/跋) 上梓後のお気持ちをうかがった。 (1)本が出来上がってお手元に届いたときのお気持ちはいかがでしたか? 12年前の「カメレオンの昼食」に比べ、華やかで凝った造本にして頂きました。 内容も、読んでくださる方、を考えたものに変化したと思います。 坪内稔典先生、1句選にご協力いただいた小西雅子様、谷さやん様、津田このみ様、原ゆき様、山本純子様、ありがとうございました。 (2)今回の句集に籠めたお気持ちがあればお聞かせ下さい。 所属する「船団」が「窓の会」に進化して2年、自分も進化したい、という気持ちがやっと芽生えました。 自分の句を知って頂きたい、俳句を作り語り合う場を作りたい、ネンテン先生はじめ、素晴らしい「窓の会」の俳人たちとその俳句を広める一助になりたい。と、芽生えが野望に育ちつつあります。(人見知りなんですけどね) (3)句集を上梓されて、今後の句作への思いなどございましたらお聞かせ下さい 11月8日(土)に第1回なごや窓句会が始まります(世話人 水木ユヤ・二村典子)。 会場は名古屋駅から徒歩。年4回の予定です。皆様のご参加を心よりお待ちします。 HPよりお問い合わせください。窓の会ブログ にも掲載されます。 →https://madonagoya.jimdosite.com 水木ユヤさん。 「なにゆえ、カメレオン? カメレオン好きですか?」 蟻また一歩カメレオンの朝食へ 水木ユヤ 序句としておかれた二句のうちの一句。
by fragie777
| 2025-10-22 19:41
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