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8月30日(土) 旧暦7月8日
新涼の仙川の鴨たち。 朝早い時間ということもあって、鴨たちの表情もやさしく、ゆったりと過ごしていた。 今日は、田中裕明・森賀まり共著『癒しの一句』より、8月31日づけのものを紹介したい。 今年の6月11日に亡くなった辻桃子さんの俳句である。 田中裕明さんの鑑賞より。 梨食うてすつぱき芯にいたりけり 辻 桃子 「この句は恋の心を詠んだのよ」と作者は言う。 梨を食べていて初めは甘いのだけれど、だんだん酸っぱくなってきて、芯の所は本当に酸い。恋というのも同じだと言うのですが、さあどうでしょうか。 食べ物をモチーフにした詩は、日本ではそれほど大きな流れではなかった。王朝の和歌では特にそうであった。俳諧になってはじめて、食べ物がよく詠まれるようになった。明治になればさらに。「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」などが正岡子規の代表句の一つとしてあげられるのだから。 作者辻桃子は昭和二〇年(1945)横浜生れ。一〇代から俳句をはじめ、昭和六二年に「童子」を創刊主宰した。この雑誌名は芭蕉の「俳諧は三尺の童子にさせよ」という言葉による。俳句は上手でなくとも楽しくやろうという主張が新鮮。(梨・秋) 辻桃子さんとのご縁は、出版社勤務時代に第1句集『桃』を編集担当したのがはじまりである。 お目にかかったとき、ショートカットでほっそりとして少年のようであった。 ご冥福をこころよりお祈りもうしあげます。 虚子の忌の大浴場に泳ぐなり 辻 桃子 ほかにも好きな句はいろいろあるけれど、まっさきに浮かぶのはやはりこの一句。 美味しい梨をたくさんいただいたのであるが、 この梨は最後のひとつ。
by fragie777
| 2025-08-30 22:14
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