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5月23日(金) 旧暦4月26日
![]() オリーブの花。 仕事場へむかう途中の古本屋さんのまえの鉢植えのもの。 一見花が咲いているように見えないのだが、よく見ると可愛らしい花が咲いていた。 「おっ、オリーブの花」って呟いて撮った一枚。 執筆は、俳誌「円虹」主宰の山田佳乃(やまだ・よしの)さん。母・弘子についてひとりの俳人としてその作品に向き合ったものである。鑑賞には、娘でなくては書けないエピソードなども織り込まれて興味ふかい。 一句鑑賞のいくつかを紹介したい。 人襲ふ雪片の性ありにけり 『螢川』(昭和五十三年作) 弘子の兄、谷本和夫は京極杞陽の弟子であったので、弘子も俳句を始めるとすぐに杞陽の「木兎」に投句を始めた。 掲句は〈人慕ふ雪片の性ありにけり〉と共に句集に掲載され対句のような表現となっている。 京極杞陽もこのような対句をよく詠んでいたし、杞陽の敬愛する高濱虚子もまた対句を詠んでいた。 師系に受け継がれたものを感じさせる雪片の句である。 羅に包みきれざる好奇心 『こぶし坂』(昭和六十年作) 前書にある田畑美穂女は「ホトトギス」で活躍した作家で大阪の道修町(どしょうまち)の薬問屋で育ち、昭和十一年より高濱虚子に師事した。以来、高濱年尾、稲畑汀子の三代にわたり師事。平成十三年五月二十八日に逝去された。 弘子は田畑美穂女を敬愛し、よく美穂女の色々な話を聞かせてくれた。古きよきなにわの文化を大切に、幅広い知識を持ち、普段は着物で過ごしておられた。まさに羅に包みきれざる好奇心を持つ魅力あふれる方だった。 この句を読む度に美穂女の「いろんなもん見て勉強しなはれや」という言葉を思い出す。 放心をくるむ毛布の一枚に 『懐』(平成七年作) 平成七年一月十七日五時四十六分、阪神・淡路大震災の激しい揺れ(マグニチュード7・3)が襲った。神戸を中心に甚大な被害が発生したのである。 突然、家を失い家族を失った人々は呆然としていた。寒い避難所に逃げてきたその姿は俳句に描くにはあまりにもつらいものであった。 しかし俳句どころではない状況でも母は俳句を詠み続けた。それは記録していかねばという使命感のようなものであったのかもしれない。 何も持たず命からがら逃げだした放心状態の被災者をくるむ毛布。被災者の厳しい状況が今もリアリティをもって読者に迫ってくる。 セーターの闇くぐる間に一決す 『月の雛』(平成二十一年作) 角川「俳句」平成二十二年四月号の特別作品二十一句「一決」の中の一句。逝去後の掲載となった。 年末多忙の中、「丹波に俳句作りに行ってこようと思う」というので、私は寒いし遠いし大変だからと止めようとした。それでも行かなくちゃいけないのだと出掛けて行って作った二十一句だった。逡巡の末やはり行こうと思ったのはセーターを着た一瞬だったのだろう。 そんな事情はさておき、決意というのはこんな日常のさりげない一瞬にあるのかもしれないと思わせる一句だ。 巻末の解説からも抜粋をして紹介をしておきたい。 「客観写生」とは何かという永遠のテーマを追求していくということについて弘子は次の様に述べている。 「はじめ教えられた通りに見たまま正直に写し取ることを実践していたのが、句は選に入らないし、少しも面白くない。なんでなんだろうと悩んだ」そして「ものを客観的に描写するということが本当にできるのだろうか」という疑問を持ち始める。 そこで虚子の教えを再度繙いてみると 「俳句は客観に重きをおかねばならぬ」「俳句はどこまでも客観写生の技量を磨く必要がある」「その客観写生ということに努めて居ると、その客観描写を透(とお)して主観が浸透して出て来る。作者の主観は隠そうとしても隠すことが出来ないのであって客観写生の技量が進むにつれて主観が頭を擡げて来る。」という言葉に出会う。 大切なのは、「もの」をそのまま描写するということではなく、自身の主観が滲み出るようなところまで客観写生の技量を磨くことであり、こうして現れて来る「世界」なのだと納得したのだ。 秋の虹消えたるのちも仰がるる 山田弘子 昨日のこと、 写真のオリーブの花を撮っているときに、うしろからやってきた颯爽としたカッコいいマダムに声をかけられた。 「リュックについている白い骸骨、すてき!」って。 「ええ!、あっ、これ」とわたしは一瞬おどろく。 「どこで買われたの?」と聞かれ、 「ええっと、たしか、はっきりしたことは覚えていないんですけど、どこかの美術舘だったかとも」と。 「あら、そう」って笑いながらその人は去っていった。 気にいっているけど、へんなモノなので、そんな風に褒められるなんておもってもいなかったのだが、 それが、これ。 さしづめ、「メメント・モリ」というところだろうか。
by fragie777
| 2025-05-23 20:07
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