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4月14日(月) 虹始見(にじはじめてあらわる) 旧暦3月17日
![]() 写真は奈良・吉野である。 今の吉野ではなく、2015年4月11日12日と友人たちと吉野で遊んだときのもの。 今日の新刊紹介の本の作者に敬意を表して、ふたたび写真をすこし紹介してみたい。 すでにあれから10年が経っている。 吉野はその後、変わったのだろうか。 いや、大きくは変わってないはずとおもいたいのだが。 今日の山口素基句集『吉野百景(よしのひゃっけい)』の新刊紹介をしたい。 四六判ソフトカバー装帯有り 三句組み(総ルビ) 222ページ 著者の山口素基(やまぐち・そき)さんは、昭和24年(1949)奈良県吉野町に生まれる。俳誌「堅香子」「風」「万象」「りいの」を経て、現在は「運河」の同人。俳人協会会員。いろいろな俳句の賞を受賞しておられる。本句集は、前句集『山口素基の三百句』 につぐ六番目の句集である。帯文は「運河」の谷口智行主宰が寄せている。 本書は吉野讃歌でも名所案内でもない。絶妙の間合いで句文が織り成す物語絵巻である。「題箋(だいせん)」吉野百景――小文は「詞書(ことばがき)」、俳句は「絵巻」、帯は「巻尾(まきお)」といったところか。 お父様は熊野、お母様は吉野の人と聞いた。素基俳句の根源には、産土に対する懐かしさと有難さがある。 帯文がこのように語る「吉野百景」について、作者である山口素基さんは、本句集にどのような思いをこめたか、「あとがき」を紹介しておきたい。 本句集は、ふるさと吉野の名勝を百景にしぼってまとめ、俳句で綴る『吉野百景』といたしました。 吉野は、吉野町のみならず広く吉野郡部を「吉野」として捉え、編集いたしました。吉野郡は、日本列島のほぼ真ん中にあり、その臍のあたりが吉野であると言っても過言ではないと思います。 「吉野讃歌」ではないと、谷口智行さんは書いておられるが、作者・山口素基さんの根底にはふるさと・吉野へのこころから讃仰がある。その思いが「吉野百景」となって結実したのではないかと思う。 そしてそれがひとつの吉野の四季をめぐる「絵巻物」となってわたしたちの前に展開されていくのである。 「詞書」の小文と谷口さんが書かれているのは、吉野のそれぞれの名勝を紹介している短文のことである。 地名を配することによって、絵巻物はがぜん時空のたしかさを獲得するのである。俳句の背後に流れる時間のはるけさと、土地の匂いや音や色をかもしだす。 俳句はそのような時空を背負いながら、つぎからつぎへと展開していく。 詞書(名所の紹介)をもつページを俳句を抜粋して紹介したい。(以下俳句につけられたルビは省略させていただく) 西行庵/吉野山最奥の金峯神社のさらに奥の小さな台地にある。武士を捨てて法師となった西行が三年間ここで幽居していたという。近くに苔清水がある。 さへづりに口笛をもて加はりぬ 花の雲庵に白湯すする 日雀聞く西行庵の切株に 西行と夢路に逢はむ山紅葉 立冬や白湯かみしめかみしめつ 七曲坂/七曲坂は、吉野山の代表的な桜の名所。 ふるさとは花曼陀羅となりにけり 父が曳き母が荷を押す花の坂 終着の七曲り坂花月夜 葉桜や七曲りゆく郵便夫 斑鳩(いかる)群れ木々に雪舞ふ七曲り 故郷の吉野の地にたてば、なつかしい景が立ち現れてくる。過去の自分と今の自分は、ふるさと吉野の坩堝のなかで溶融されていく。そしてそこにただ懐かしいばかりでない新たな景として展開されていくのだ。まるで眼前のリアルのように。 「吉野」という地名が『古事記』や『日本書紀』に登場し、かつては離宮が置かれました。飛鳥時代の大海人皇子が近江の都から吉野に逃れ、その後飛鳥浄御原宮を置いて古代律令国家を築きました。また、役(えんの)小角(おづぬ)が大峰山を開き修句験道を創立した「吉野」はいつの時代にも度重なる災難に耐えて、その都度不死鳥のように蘇っています。 集中には一部を除いて平成元年から令和五年十二月までに作句したものの中から百景を独自に絞り、五百句を自選し収めることにいたしました。 配列はおおよそ年代順とし、「明滅(めいめつ)」「天地(あめつち)」「峰入(みねいり)」「鼓動(こどう)」の四つに分けて入集いたしました。なお、名勝には参考までに簡単な説明をいたしました。 ふたたび「あとがき」を抜粋して紹介した。 本句集の装釘は、君嶋真理子さん。 編集担当は、文己さん。 山口素基さんは、もちろん、吉野の景にこだわられた。 桜を感じさせる色合いで。 句集『吉野百景』をお読みいただき、一緒に「吉野」を愉しんでいただければこの上ない喜びです。(あとがき) 山口素基さんは、ひとえにこの思いにつきると思う。 担当の文己さんの好きな句のほかに数句紹介をしておきたい。 万緑の中や滝音近づきぬ 若竹の一本にして輝けり どんど焼まで隠しおく黴の餅 天然の鮎を嗅がせて吉野びと たましひのこぼれては浮く花筏 陀羅尼助呑んで又酌む花の酒 螢のこゑもたざれば明滅す そして、本句集におさめられた山桜の句をいくつか、かつての吉野の写真とともに、句を紹介したい。 見てゐても見てゐなくても桜咲く 花のころ花の吉野に泊まらんか みよしののどの径ゆくも山桜 遠山の白きはすべて山桜 みよしのの花寂光をまとひけり 山桜たつた一人のために咲く この一句はとりわけ好きな一句である。 この日、山桜はわたしのために咲いてくれていたのだった。 アマゴと呼ばれる吉野の魚。
by fragie777
| 2025-04-14 20:56
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