ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko

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句集を編むなら短編小説のようなストーリー性のあるものにしたい、、、

2月19日(水) 土脉潤起(つちのしょううるおいおこる) 旧暦1月22日


句集を編むなら短編小説のようなストーリー性のあるものにしたい、、、_f0071480_15554215.jpg
雀。

かしこそうでいい顔をしている。



今朝食事をとりながら、ガラス越しに庭をみたところ一羽の山鳩がさっとアラカシの木影から飛び出した。
しばらくすると、同じ山鳩か、あるいは違う山鳩かもしれないが、またやってきてこんどはヒメシャラの木にとまって、木をたしかめるように枝うつりをしている。
その姿は、巣づくりのための物色をしているようにもみえる。
そっと近づいてカーテン越しに伺おうとしたところ、さっと飛び去ってしまった。
気づかれてしまった。
へんなR女の姿がみえたので、早々退散したのだろう。
鳥の恋の季節がはじまりつつある。



新刊紹介をしたい。


竹岡佐緒理句集『帰る場所(かえるばしょ)』


句集を編むなら短編小説のようなストーリー性のあるものにしたい、、、_f0071480_15555859.jpg
四六判ソフトカバー装帯有り 182頁 二句組。

著者の竹岡佐緒理(たけおか・さおり)さんは、1986年愛知県うまれ。巻末の俳歴によれば、2013年「鷹」入会。2014年「蒼穹」入会。2021年「鷹」新人賞受賞。現在は、「鷹」同人、「蒼穹」同人。俳人協会会員。本句集は、第1句集であり、「鷹」の小川軽舟主宰が序文を寄せている。
軽舟主宰の序文や竹岡佐緒理さんの「あとがき」によると、竹岡さんの句歴は高校時代からはじまり俳句甲子園にも登場し、その後の2005年から2008年までの大学時代は、「俳句研究会」に所属し作句にはげんだという。銀座の「卯浪」でアルバイトをしたこともあるということ。その後、教員となり忙しくなり俳句から遠ざかったが、2013年に「鷹」に入会したのをきっかけに再び作句をはじめられたのである。
『帰る場所』は高校の部活動として句作を始めた二〇〇二年から就職、結婚し、一児の母になった二〇二四年までの二九四句を収めた私の第一句集である。編年体ではなく、章ごとに物語を感じるような配置にした。
と「あとがき」は始まる。

私は佐緒理さんの俳句の飾らない明るさが気に入っている。俳句における明るさは、甘さになったり、子供っぽさになったりしがちだが、そういう弱さは見せない。どこかでこの世を達観したような醒めたところもあって、一人の表現者として大人びてすらいる。その上で身につけた文体としての飾らない明るさなのだ。

軽舟主宰の序文より抜粋してみた。編年体ではなく等身大の作者によって再構成された句稿におどろきつつ、軽舟主宰はそのテーマごとの章から丹念に俳句をとりあげ、鑑賞をほどこしている。ちなみに、各項目は「Ⅰ学校」「Ⅱ何もない町」「Ⅲ約束」「Ⅳ暮らし」「Ⅴ旅」『Ⅵ帰る場所」の六つからなる。
軽舟主宰がとりあげている句を各項目一句ずつのみ紹介をしておきたい。

 学校に来ない子と居る秋の川
 冬うらら何もない町だけど好き
 短夜を逃げろとテレビからなのか
 炎暑のフェス推しの登場まで五秒
 はじめてのさくらはじめてあるく足

掉尾のⅥは句集名と同じ「帰る場所」。恋人が人生の伴侶となり、やがて子供が生まれる。佐緒理さん自身の現在地で結ばれる章である。(序)

本句集の担当は、Pさん。好きな句は、

 短日の黒板うつくしく消され
 泡立草揺れる家族を待つやうに
 休日の午後の黄色のカーディガン
 庭濡れて朝明るしや春の鳥
 花時の眼鏡曇らせ足湯かな
 色鳥や水の匂ひの切通し 


 短日の黒板うつくしく消され

教員である竹岡さんにとって、黒板は日常的に見るものであり、日々文字がかかれ消されていくことの運命にあるものだ。消されることはすこしも珍しくないが、この日作者の目をとらえたのは、「うつくしく消され」た黒板である。生徒が消したのだろうか、すでに夕暮が迫っている時刻なのか。そのうつくしく消された黒板は、もはやあたりに人影もなく暮れて行く日にただただその文字の跡形もなき面(おもて)を晒しているのだ。人間が消したという行為もすでに「たんじつ」という音のいさぎよさによって、その気配すらもなく、うつくしい黒板のみが作者の眼前にある。やがて漆黒の闇のなかに黒板はうつくしいまま沈んでいくことだろう。わたしも好きな一句である。
 
 泡立草揺れる家族を待つやうに

泡立草は、秋の麒麟草と背高泡立草があるが、(区別がつきがたくよく間違えてしまう)、いずれにしても野趣に富んだ逞しい花である。民家の庭などで育てていることなどはまずなく、雑草として郊外の荒地などで逞しく群生している。その泡立草が風にゆれているのをみて、作者は、「家族を待つやうに」と捉えた。泡立草は、小市民的な暮らしとはもっとも遠いところに咲く野草であるとわたしなどは思ってしまうが、作者は、荒地に昂然と咲く「泡立草」の揺れに家族をもとめる姿を見出したのだ、これはある意味、家族をもとめる作者の思いが反映したのではないだろうか。風にゆれる泡草草に作者自身が投影されている。

 休日の午後の黄色のカーディガン

たいへんさりげない一句である。この句「黄色」という色に圧倒的な説得力がある。あかるく、開放的で、くつろぎを感じさせ、可愛らしい。これは個人的な体験なのだが、あるとき整体の先生に、「あなたは、家で黄色をきるとくつろぎますよ」と言われたことがあって、フリースを黄色にしていたことがしばらくあった。この句は「休日の午後」とあるから、午前中はあるいは黄色でないも別な別な色を着ておられたのかもしれないが、午後になって気分を変えて、いっそ黄色に。向日性のある竹岡佐緒里さんは、きっと好きな色なのかもしれない。そしてカーディガンなのがいい。あたたかな日差しにそれよりももっと黄色のカーディガンをはおってくつろぐ。「の」の音がリズミカルで、濁音がここちいい一句だ。

 花時の眼鏡曇らせ足湯かな

この足湯は、あるいは温泉場の足湯かしら、なんて勝手に想像してしまう。そう、この一句、「旅」の項に収録されているからきっと旅先でのことだ。温泉場の通りに足がつかるようにお湯が流れているところがあるでしょう。たとえば、一度行ったきりだけど銀山温泉場とか。そこに並んで腰をかけて足湯につかる。ちょうど桜がさいているときで、花びらが降りかかってくる。この句、「花時」の季語がいい。眼鏡をかけたまま足湯につかっていると、眼鏡はいつしか湯気で曇ってしまう。でも桜の花は見ていたいから、眼鏡ははずしたくない。足元はあたたかく、眼鏡はぼんやりして、桜咲く季節の陽気はここちよく。すべてがまったりしている。そして安らぎがある。「花時の眼鏡曇らせ」の措辞が達者である。

 はじめてのさくらはじめてあるく足

好きな一句である。軽舟主宰が序文でとりあげ、竹岡佐緒理さんご自身も自選句にあげている句である。はじめて大地をふみしめようとしている幼子を詠んだ一句だ。作者の赤子であってもそうでなくてもいい。この句の素敵さは、子どもとか赤子とかいわないで、二足歩行をはじめた子どもの様子を簡潔に詠んだことだ。いままで四つん這いだった生きものが立ち上がり二足歩行をするって、とんでもなくすごいことである。さらに素晴らしいのは桜咲く季節という、なんと祝福された子どもであることか。桜散る大地をおぼつかなくも踏み出してゆく小さな足。「はじめての」のリフレーン、そして「さくら」と「あるく足」しかみえてこないが、大地の祝福と生長の喜びにみたされている。

校正スタッフのみおさんは、〈キッチンに窓と丸椅子ちちろ鳴く〉をあげ、「居心地がよさそうなキッチンですね」と。


二〇二四年、娘も産まれ、何となく人生の区切りがいい気がして、一念発起して句集を出すことにした。頑張らない育児に協力してくれている夫の応援と今のところ大きな病気も無くすくすく育つという娘のファインプレーのおかげで、いろいろな手帳やノートに散らかっていた私の二十二年間の俳句は、こうして無事に句集という形に収まった。

「あとがき」を抜粋して紹介、。



本句集の装釘は、君嶋真理子さん。

竹岡さんにはいくつかのご要望があって、それを実現化してもらった。


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金箔がいろいろなところにさりげなくつかわれている。


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扉の用紙は、透明感のあるもの。(わかりにくいかもしれないが)


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特に装丁は私の趣味をかなり反映していただきました。少しレトロな北欧風の動物が描かれていますが、じっと見ているとトナカイにも鳥にも見えて、病みつきになる可愛さがあると思うのですが、どうでしょうか。
と竹岡佐緒理さん。


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 帰る場所あるから急ぐ聖夜かな


「帰る場所」があって、また明日出かける先がある。その先々がどんな俳句になっていくのか。次の章は、佐緒理さんの句帳の中でもう始まっていることだろう。(小川軽舟/序)



竹岡佐緒理さんに、上梓後のお気持ちをうかがってみた。

(1)本が出来上がってお手元に届いたときのお気持ちはいかがでしたか?
完成を楽しみにしていたので、とてもうれしかったです。特に装丁のデザインはとても可愛くて気に入っています。箔押しの金の艶消しもたくさん入れてよかったと思っています。また、表紙のきらきらも見返しのざらざらも扉の薄紙も全て素敵で、実際に手に取って紙の質感などを確かめるとやはりこれにしてよかったと思いました。あとは、背表紙にも柄を入れてもらったことで、本棚に並べたときにもちょっと目を引く一冊になったかなと思いました。




(2)初めての句集に籠めたお気持ちがあればお聞かせ下さい



まずは、今まで散逸していた句をまとめたいという気持ちがありました。高校生から20年以上俳句を続けてきて、その自分のある意味半分仕事みたいなものをまとめて、誰かに読んでもらえる形にできたのはよかったです。また、句集を編むなら短編小説のようなストーリー性のあるものにしたいと思っていたので、それが実行できたこともよかったです。あとは、お年頃の文学少女、かつて高校生だった自分が本屋さんや図書室にもしあったら手に取りたいような可愛らしい表紙にしたくてこだわりました。装丁はふらんす堂さんのご協力でかなり良い感じに仕上がったので、もし一冊でもジャケ買いみたいな感じで私の句集を手に取ってくださる方がいれば、うれしいなと思っています。





(3)句集を上梓されて、今後の句作への思いなどございましたらお聞かせ下さい。



今回句集を編んでいく中で、やはり、自分が無理して詠んだ句は、句集の中に収めづらいなと思いました。また句集を出したいので、そのためにも自分の中で何かしら納得できる句をたくさん詠んでいきたいです。あとは、今回は高校生から現在までの二十年以上に渡る句を集めたので、自分自身の考えかたや生活がだいぶ変化したことが句からも分かりました。自分ではそこまで意識していなかった変化もあり、面白かったです。今後は生活が子どもの成長に合わせる形になっていきそうですが、そんな中でも自分にとっての気づきを見つけて潤いのある句を詠んでいけたらいいなと思います。



竹岡佐緒理さま


帰る場所からあらたなる出発をされるのですね。
よき充実した日々でありますように。



 春の日の床屋のゴルゴ13   竹岡佐緒里

「ゴルゴ13」は、床屋によく似合う。
わたしもかつて週刊誌連載のときからよく読んだ。
単行本も何冊か持っていたが、すべて処分してしまった。
このゴルゴ13を全巻そろえているという人がいた。(すごい量である)
「いた」と書くのは、その人はもういない。
昨年亡くなったのだ。
ふらんす堂とともに歩んで来た印刷会社の山本三雄さん。
「みっちゃん、みっちゃん」と呼んで、スタッフたちに慕われた。
かの世でも「ゴルゴ13」を読んでいるかしら。。


余談であるけれど、この「帰る場所」という句集名。
「帰る場所」ねえ。ふ~む。なかなか意味深い。
これは、場所そのものであってもいいし、形而上的な意味をふくめて考えてもおもしろい。
わたしにとって「帰る場所」とは何処か。
あるいは、何か。




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by fragie777 | 2025-02-19 19:29 | Comments(0)


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