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1月17日(木) 旧暦12月18日
真冬の井の頭公園。 ボートに乗る人も少ない。 今日は出社して、「ふらんす堂通信183号」を校了にするためにゲラの続きをよむ。 今回もワクワクしながら校正、いや、ワクワクしていたら校正はできないので、一通り目を通したということに。 しかし、いくつか赤をいれることができたのは、ザル校をほこるyamaokaを褒めてやりたい。 特集は第39回北海道新聞俳句賞を受賞の中西亮太句集『木賊抄』、書きおろし特別寄稿は、本井英句集『守る』評を「夏潮」の信野伸子さん、大井恒行句集『水月伝』を「炎環」の西川火尖さん。評者の方は、どちらも初めてご依頼致したのであるがお二人とも丹念に句集を読み込んで、いい評をくださった。 連載の「競詠7句」のお題は、「人」「雪催」「鮪」 歩きをるものみな生者雪催 雪催さても自愛は面倒くさし 眠る子の何かつぶやく雪催 あえて作者名はしるさないけれど、どなたの句かすぐわかると思う。 池田澄子さん、大木あまりさん、小澤實さんの句がどれか、 あてて見てくださいな。 高遠弘美さんの「私のプルースト」は、就職か大学院かの選択に苦悩する高遠青年である。学問することへの純粋な希求心と経済的な理由から就職を考えねばならなかった高遠さんが、思い一途に大学院への道を決め見事合格するまでのこと、そしてそのことをめぐって出会った人々の交流である。ここに登場する高遠さんの友人は、今回「voix et bois」に登場してくださっている。そしてその彼はわたしの同窓生でもある。。。 岸本尚毅さんの「虚子研究レポート」は、「ホトトギス雑詠選集」に登場する奈良鹿郎である。面白いのは、奈良鹿郎の句についての「雑詠句評会」の議論が抜粋であるが、紹介されていることである。一句について、素十、青邨、紫雲郎、秋櫻子、王城、虚子がどういう句評をしているかが分かるのである。あるいは長谷川素逝が、鹿郎の句について「めんめんとした鑑賞文」を書いておりそれがそのまま紹介されていたりする。「ホトトギス雑詠選集」の背後にいる俳人たちのリアルな息遣いを感じることができる興味ふかい一文である。 「俳書遠近」の千葉皓史さんの今回は小川軽舟句集『無辺』を中心にした「小川軽舟論」である。千葉皓史さんは、この論を書くために小川軽舟さんの既刊本をすべて読んで執筆したのである。購入できないものでふらんす堂にあるものはお貸ししたりもした。「慈しみの地平」と題した論は、まさに小川軽舟の俳句の地平がさらに開かれてあたらしい地平に読者を導いていく、力のこもった論である。書きだしに「私見では『劇作家』としての資質をも併せ持つ」とあり、もうそれだけで読みたくなるじゃありませんか。 髙柳克弘さんの「現代俳句ノート」は、「金子兜太」である。わたしはすごく面白く読んだ。金子兜太という俳人の輪郭が明確になった感がある。さらによく言われる金子兜太におけるアニミズムがどういうものであるか、この論で、よく分かった。兜太における「原初的な素朴さ」と「句のモダンさ」の言及も面白かった。 人気の小野あらたさんの「毎日精進」は、等身大の小野あらたさんがいつもそこにいて、生きることのなかに俳句が散りばめられている。その俳句のチョイスがとてもいい。楽しく読ませてくれるが、たくさんの時間を費やしてこの原稿に取り組んでおられるのではないだろうか。しかし、読者にとっては楽しい読み物である。 河津聖惠さんの「破片と豊饒」の三島由紀夫論は、『春の雪』における三島由紀夫の直喩についての論考である。これはもうその文章の運びにめくるめくよう恍惚感を感じながら読みすすんだ。河津聖惠という詩人の底知れぬ力をおもわせるものがある。三島由紀夫の深淵にふれうる「三島文学の詩論」である。わたしは目下、『豊饒の海』全4冊を読了すべく読み進んでいるが、『暁の寺』の半分まで読んだ。先日、この『豊饒の海』について、おしゃべりをすることがあって、一人の男子が、「『奔馬』がいちばん好きだ。美しいと思った」と言っていたのが印象的だった。「美しい」か。。勲という少年。この4冊を読まれた方はどんな感想をもたれるだろうか。いま、『暁の寺』を読んでいるけれど、「輪廻転生」にまつわるさまざまな宗教的考察(?)にはちょっとついていけなくて難儀していたが、やっと斜め読み(!)をしてどうにかクリアしたところ。今日も続きを読むつもり。 「voix et bois(声の森)」は、いろんな方々が声をよせてくださっている。それが嬉しい。 本の感想、句会のこと、ふらんす堂の書籍や催しに関わることなどについて、自由に発言して下さっている。わたしたちにとってどんなに励みになることか、これからもよろしくお願いいたします。 今日は咳もそれほど出ずに、なんとか一日をクリアした。 しかし、油断は禁物。 皆さまも十分にお気をつけくださいませ。 今日は、すこし前にふらんす堂から句集を上梓された方が、近くに御用があったついでに訪ねてくださった。 大分逡巡されたようであるが、「勇気をもって思い切ってちょっと寄らせてもらいました」とおっしゃって慌てて帰りそうになるのを引き留めて、すこしお話をうかがったのだった。 もちろんその方の句集のことはよく覚えていて、なつかしく、近況などを伺えて嬉しかった。 山鳩も風邪をひくことがあるのだろうか。。
by fragie777
| 2025-01-17 18:30
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