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10月21日(月) 旧暦9月19日
烏瓜。 この日たくさんの烏瓜をみた。 ひとつポケットにいれてもどったらポケットの中でつぶれていた。 こんなにやわらかいなんて。 今日は朝から寒い。 起きるのがつらいな。。。。。 それでもドッコイショって言って起きた。 いまブログを書くべく、キイボードを打っているのだが指先がつめたい。 今日は葉書を二枚ほど書いたのであるが、「秋もふかまりゆくこの頃です」という書きだしに心が寄り添う。 新刊紹介をしたい。 46判ペーパーバックスタイル 146頁 リトアニアの詩人サロメーヤ・ネリス(1904-1945)の第4詩集『オキナヨモギに咲くーDIEMEDŽIU ŽYDĖSIU』全編と『選集』収録の小詩集『M.K. チュルリョーニスの絵よりーIŠ M. K. ČIURLIONIO PAVEIKSLŲ』の全ての詩を収録したのが本詩集『オキナヨモギに咲く』である。 今年はネリスの生誕120周年にあたり、発行日もネリスの誕生日である11月8日となっている。 訳者の木村文さんは、ネリスの詩や作品の日本への紹介に力を注がれており、ふらんす堂ではすでに木村文さんの訳による第1詩集『朝はやくにーANKSTI RYTĄ』散文詩『へびの王妃エグレ Eglė žalčių karalienė』を刊行している。 巻末の木村文さんによる解説によると詩集『オキナヨモギに咲く』は、1938年に刊行され国家文学賞を受賞している。44編の作品のうちいくつかを紹介してみたい。 本詩集の担当は文己さん。 「おばあちゃんのおはなし」が好きです。 ネリスの「へびの王妃エグレ」(ネリスも詩で再編したリトアニアの民話)の話を孫に読み聞かせる「おばあちゃん」の姿が浮かびます。と文己さん。 文己さんが好きだという「おばあちゃんのおはなし」を紹介したい。(ここでは邦訳のみ。リトアニア語を味わいたい方はぜひご購入を) おばあちゃんのおはなし 霜がおりた私たちの冬─ 見わたすかぎり白く、白い─ 小さな子たちへの長いおはなしが おうちで夜な夜な語られる。 迷子になりやすい雪の吹雪について、 太陽に切られたおさげについて─ 天国へと落ちていく、 かぼちゃ色のがちょうについて。 狼について、白い熊について、 魔法について、悪魔のいたずらについて、 銀の井戸からしたたる 水について。 三番目の兄弟のヨーナスについて─ 彼の騎士がいかに素晴らしかったことか。 エグレについて─へびの妻について、 木に姿を変えられた子どもたちについて。 どれほどみなしごが落ち込み 何も持たずに帰ったか…… 松の木が雪の吹き溜まりをかき分けても どうやってももどれない─ 雪の吹き寄せに眠る妖精、 氷の下には金の魚たち─ 足あとを残すことなく、 雪の上を魔女が走っていく。 行儀のよいみなしごたち─ その継母は怒っている…… でも……おばあちゃんはねむってしまい。─ そしておはなしは終わった。 きっとおばあちゃんは、リトアニアで語りつたられてきた物語をたくさん知っているのだろう。そんなお話を雪にとざされたあたたかな部屋で子どもたちに語ってくれたのだろう。おばあちゃんがしっている昔話。それはきっとコワイ話だったり冒険の話だったり、ワクワクしながら子どもたちは聴いているのにいつしかおばあちゃんは眠ってしまう。 校正スタッフのみおさんは、「オリーブ」という詩が好きであるということ。 では、「オリーブ」を紹介したい。 オリーブ 私がまだいなかったころ─ オリーブの花が咲いていた─ ─ 私がいなくなったあと─ その花はおくれて咲く─ そして太陽と風をうけて その葉は落ちていく、 まるで私の心に積もった、 ひとにぎりの砂のように─ ─ 「オキナヨモギ」ははじめて聞く名前だった。蓬の一種だろうか。調べてみると「オキナヨモギは、キク科ヨモギ属に属する低木の一種である。」とあり、写真もある。本詩集の表紙の装画はまさにオキナヨモギをデザイン化したものである。 もう一篇、詩を紹介したい。 タイトルとなっている詩である。 オキナヨモギに咲く もう一度、春よ、 君はまた勇敢に馬に乗って来る─ そして愛する春よ、 私はもう見つからない─ ─ 黒い馬にまたがるとそこで、 君は大地を見るだろう: 大地は花のまだらの模様になっていって…… 私はオキナヨモギに咲く─ ─ 木村文さんの解説を紹介したい。 詩集『オキナヨモギに咲く』は、1938 年に刊行された。国家文学賞を受賞していることもあり、ネリスの代表作とも言われる詩集である。収録されている詩の多くは、刊行の前年に滞在していたフランスで書かれた。原書では、すべての詩に書いた日の日付が付されているが、本書では省略した。気になる方は、原書が全ページスキャンされたものがオンラインで公開されているので(https://www.epaveldas.lt/preview?id=C1B0003040392)、そちらを参照のこと。 本書の装幀はこの度も君嶋真理子さん。 こういう金箔の使い方はリトアニアではめずらしいという。 詩集『朝はやくに』も装画を金箔に。 本詩集に収録されている小詩集『小詩集「M.K. チュルリョーニスの絵より」は、巻末の解説によると、「ネリスがミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス(1875 年〜1911 年)の絵画6 点から着想を得て書いたものである。チュルリョーニスは、リトアニアを代表する画家・作曲家である。本書では、国立チュルリョーニス美術館から画像データの提供を受けて、詩の着想の元となった絵画6 点を口絵として掲載している。ネリスは、チュルリョーニスと直接の面識があったわけではないが、この画家のファンであった。カウナス郊外にあるサロメーヤ・ネリス記念博物館に行くと、『オキナヨモギに咲く』の執筆の際に使っていた机が保存してあり、当時ネリスがそうしていたように、チュルリョーニスの小さな複製画が壁に貼ってあり、机上には画集が置いてある。チュルリョーニスの絵画が気になった方は、2026 年前半に東京の国立西洋美術館でチュルリョーニスの特別展が開催される予定なので、その機会にご覧いただきたい。 この絵がなかなかすばらしいのである。 著作権の関係もあるので、ここではざっと紹介したい。 本詩集には6点の絵が収録されている。 ここでは6点の詩の作品より一篇のみ紹介をしたい。 わたしの星座でもあるので「射手座」を紹介したい。 4. 射手座 ころがる太陽は─ 炎の球体。─ 世界中で 銃弾が闊歩する。 地面の中はつめたく、そこは悲しい: 黒い竜が太陽をおおっている。 黒い鳥の大きなつばさは、─ 影ごしに見通すことはできない。 太陽によって燃えている 射手座に願う: ─ 黒の災いの 鳥を射て! 張りつめたたくましい鉄、─ もし自由がうつくしい大地であったなら、 もし自然が暖まり活気をとりもどしたなら、─ たくましい鉄は張りつめている。 太陽は暖めるだろう ふたたび海を、大地を。─ 太陽の嫁入り道具を 私たちも積みあげるだろう。 解説によると、ネリスは晩年「ソ連による占領の協力者として立ち振舞った。スターリンを賛美する詩を書き、リトアニアの代表団としてモスクワを訪問し、リトアニア人を代表してソ連への併合を受け入れた人々のうちの一人となった。」とある。その後の政治状況によって詩人ネリスへの対応がかわっていく。このへんのことを木村文さんは、ある程度詳しく書かれている。ここでは抜粋して紹介をしておく。 「ネリスがソ連の占領下において象徴的に扱われていたことは、特に2022 年2 月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって以降、問題視される傾向が強まっている。2024 年に入ってから、全国各地のサロメーヤ・ネリス通りは、すべて改称することが決まった。それでも、リトアニアにはネリスの詩を大切に読み続ける人々がいる。一方で、危機がそこまで迫っている状況で、政治的な判断と詩作品を器用に切り分けられない人々もいる。誰も責められるべきではない状況に私たちは生きている。そのことを知っておいていただけると、とても嬉しい。」 本書が刊行される2024 年は、ネリスの生誕120 周年にあたる。肝臓癌により40 歳で夭折した詩人の詩が、生誕120 周年の年まで忘れられることなく読み継がれることは、それだけでも特別なことであると私は思う。まずは、本書の冒頭に戻っていただき、一つ一つの詩を心ゆくまで堪能していただきたい。(木村文/解説) お客さまがおひとりみえられた。 ちかくにいらしたおついでではあるが、お気持ちをつたえに来られたのである。 桑田真琴さん。 俳誌「実の会」の代表である。 ふらんす堂から2013年に第1句集『上馬処暑』を上梓されている。 すでに10年以上がたったいま、いよいよ第2句集をということでご挨拶にみえられたのだ。 まだ、句稿はととのっておられないが、まずもって担当のPさんといろいろと打ち合わせ。 「こうしてお話しておけば、句集をつくらなくてはいけないって自分を追い込むことができるでしょう」って。 「本当にそうです。もう逃げられませんよ」って、わたしは笑いながらもうしあげたのだった。 桑田真琴さん。 お仕事もお忙しいご様子であり、急いで帰られたのだった。
by fragie777
| 2024-10-21 19:33
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