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8月18日(日) 旧盆 旧暦7月15日
中野ブロードウェイ近辺。 かつて中野には長い間住んでいたのでこの辺りは懐かしいところだ。 今日は、ふらんす堂より6月に句集『静涵』を上梓された董振華(とう・しんか)さんのお宅に伺ったのである。 句集『静涵』のお祝いを兼ねて手料理をわたしたちスタッフにふるまってくださるという。 スタッフの文己さんも一緒に伺うはずであったが、急用ができてしまって、yamaokaとPさんの二人で伺うことになった。 董振華さんのお料理の腕前は前々から存じ上げていたが、本場中国の餃子や焼売を食べられるかと思うと、心が躍る。 ということで、午前11時にお宅に伺ったのだった。 迎えてくれたのは、愛猫の「藍湛(ランタン)」この名前を聞いて、はて!?って思う方、そうあのお方の名前です。(中国ドラマ好きの一部の人はわかるかも) 美しい雄猫で3歳。品種はノルウェージャンで、巨大である。わたしはこんな大きな猫ははじめてみた。 董振華さん。 董振華さんは、これまで二冊の句集を上梓しておられる。 第1句集の『聊楽』は、2019年の刊行である。 師・金子兜太が亡くなった翌年に上梓された。 兜太さんは、この中国からきた俳句を学ぼうとしている青年をなによりも孫のように可愛がられたのである。 まずヨーグルトのフルーツをいただく。 そして、お料理にとりかかる。 調理の現場がみられるというかたちだ。 董さんと一緒に暮らしている弟のような従弟の鄒彬(すうひん)さん。 お二人でつくる。 もっぱら董さんが外皮づくり、鄒さんは、中身をつめて形をととのえ、蒸すかかり。 すでに皮になるものは整えられている。 スタッフのPさんは餃子つくりなど目下挑戦しているので、撮影をしながら詳しく董さんに聞いている。 「あんまり詳しくいえないのね。いつも適当だから。」と言いながらも一所懸命思い出しながら説明をする。 手慣れたもので、みるみる形が整えられていく。 一つ一つものすごく手早くてそして丁寧。 すでに用意されているニラ餃子の中身。 豚肉とニラのみ。 鄒さんはしなやかな手つきで餃子をつくりあげていく。 なんとも素敵でしょ。 茹で上げたニラ餃子。 中味に味付けがされているのでそのまま食する。 こんな感じ。 皮がやわらかくて歯ごたえもあって美味い。 わたしたちが食べている間に、今度は焼売が。 これの中身は、豚肉ともち米。豚肉は日本では売られていないもので燻製の豚肉。中国に帰ったときに買ってきたものだそうである。 いままで食べたことのない味。 もち米とのバランスもよく深い味わいがあった。 あたらしい外皮づくり。 こちらの皮は、蒸すと透明になるやつ。 片栗粉とコーンスターチに熱湯を注いてまぜる。 それをこんな風に棒状にして董さんが切り、鄒さんが中身をいれて形をつくり蒸かす。 中に入れる具は、海老と豚肉。 そして、卵とトマトなどの野菜のもある。 とても美しくつくりあげる鄒さん。 動画をとるPさん。 料理好きの友人にもみせるのだそうだ。 透きとおって美しい。 どれもみな本当に美味しかった。 夢中でいただいてしまった。 おそるおそる現れた雄猫の魏嬰(ギエイ)(この名前のわかる人はわかる、ウフ。藍湛とは深いつながりが…) こちらの種類はスコティッシュフォールド、耳が曲がっていないスコティッシュフォールドだそうである。 しかし、すぐに姿を消してしまった。 まったりとしている藍湛。 この「藍湛」という名前にはもう一つ深い意味がある。 董振華さんは、亡くなられた黒田杏子さんには大変お世話になった。 いま、「語りたい俳人」とい本を刊行すべく、インタビュアーとしていろんな俳人に会って、その話をまとめている。 その仕事を紹介してくれたのも黒田杏子さんであり、黒田さんの選句集を中国語に訳して一冊にしたというご縁もある。 すでに金子兜太さんの選句集は董さんの訳によって中国語で刊行されている。 金子兜太さんには亡くなる二週間前にお会いして、兜太さんがとても元気になって喜ばれたらしい。 「また、会おう」と元気におっしゃったのが最後であるということ。 黒田杏子さんとは、黒田さんが山梨に講演に行く朝に、お電話を貰って「これから行ってきます」と董さんに告げて、その翌日だろうか亡くなられたのである。 「藍湛」という漢字をみて、これは黒田杏子という俳人への敬愛の意味も籠められているのではないかと董さんに伺ったところ、そうであるということだった。 「黒田杏子さん、とても喜ばれたでしょう」と申し上げると、董さんは大きくうなずいたのだった。 そして、いまは長谷川櫂さんの俳句の選集の中国語訳をすすめているということ。 書棚には長谷川櫂さんの句集がずらりと並び、たくさんの付箋が貼られていた。 目下取り組まれている「語りたい俳人」については、およそ26人の俳人について語られるものとなるということ。 いまはこの仕事で、ほとんど毎日が費やされてしまうとも。 昨日は岸本尚毅さんを取材。語られる俳人は、「田中裕明」 そして明日は井上弘美さん。語られる俳人は、「大石悦子」 それを聞いただけでも良き一冊になりそうである。 版元は、コールサック社。高野ムツオさんが監修。 出来上がりは来年の3月を目指しているとのこと。 「大変な仕事ですけれど、私自身の勉強にもなりますし、大切な仕事の一環として取り組むつもりです」と董振華さん。 「岸本尚毅さんを取材して、田中裕明さんのことにとても興味をもちました。田中さんの俳句を読んでみたいと思います」と董さん。 「ああ、それなら新刊の『田中裕明の百句』を差し上げますね」とわたしは董さんに申し上げたのだった。 董さんが、俳句に興味をもって読み始めたのは、やはり子規であり虚子であり龍太であったようだ。そして山頭火の〈朝湯こんこんあふれるまんなかのわたくし〉という句がとても好きであると伺ったのは面白かった。 いまは、富澤赤黄男に興味をもっているとも。 従弟の鄒彬さんも俳句を作っており、董さんが代表の俳誌「聊楽」にも投句をされ、句会をすると最近は高得点をとられるという。 俳誌「浮野」(落合水尾主宰)で、太田かほりさんが、董振華さんの句集評とともに二句評しておられる。 たくさんお話を伺ったのであるが、いずれにしても董振華さんの俳句に寄せる思いは、深くて熱いものがある。 目下仕事三昧の日々、料理をすることが素晴らしい気分転換であるということ。 楽しいひと時だった。 董振華さま 鄒彬さま 今日はお招きありがとうございました。 そしてご馳走さまでした。 ご縁を大切にしたいと思います。 これからもよろしくお願いいたします。
by fragie777
| 2024-08-18 21:19
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