カテゴリ
以前の記事
最新のコメント
検索
外部リンク
画像一覧
|
7月16日(火) 鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす) 旧暦6月11日
今日のわたしは、このハクチョウソウのような白い透きとおる生地の袖が大きく膨らんだブラウスを着て仕事をしている。 身体にぴたっとしたワイシャツを着て仕事をするのも良いけど、こんな風に袖がふくらんだブラウスを着て仕事をするのもの悪くない。 キイボードを打ちながら、ふっくらとしたブラウスをまとったわが腕を見てウフって思う。 今日は何度、ウフってしたことだろう。 まあ、笑っちゃうような自己満足なんだけど、、、、 でもね、この白蝶草のような白のブラウスを着てるって思ったら素敵でしょう。 誰にも文句は言わせないぞ。 ![]() 新刊紹介をしたい。 四六判ハードカバー装 322頁 3句組 著者の五十畑明(いかはた・あきら)さんは、1944年(昭和19)栃木県宇都宮市生まれ、現在は千葉市在住。すでに二冊の句集をふらんす堂より上梓されれている。第1句集『薔薇』(2019年)、第2句集『百景』(2021年)、この度の『夕映』が第3句集となる。私家版として刊行され、親しい方々に贈られたものである。 この句集は私の傘寿を記念して出版したものです。令和三年から五年までの三年間の作品です。 私の俳句との出会いは義務教育の国語の教科書に掲載された作品です。芭蕉や蕪村、子規や虚子など心に残る名句に触れることができました。このことが今日につながっています。 私の俳句を読んでいただける人は、家族や親戚、友人や知人などです。これらの方々が皆俳句に精通されているとは限りません。そういう方々を含め皆に私の俳句を読んでいただき、共感していただければ、とても嬉しい限りです。 句集の冒頭にある「はじめに」より、抜粋して紹介した。 そして、 この句集は、 第一部 自然の四季(時候、天文) 第二部 生物の四季(植物、動物) 第三部 人ごとの四季(世の動き、私の生活) 第四部 新年 に四区分して、事象の四季別に作品を配列致しました。それぞれの事象の四季の移り変りを大事にしたいと考えたからです。その上で、歳時記に即しつつ、句集を構成しました。 とあり、五十畑さんなりのお考えに則って句集の構成を考えられたものである。 担当は文己さん。 文己さんは、五十畑さんのご出身である栃木県の生まれである。そういうことからも親しみを文己さんに感じてくださったようである。 文己さんの好きな句は 行く春に花のいのちを眺めをり 冬近し山河は色を失ひて 明日からは違ふ世界か別れ霜 花屑を惜しんで掃除やめにけり この世にて豊かで優し萩の花 通ひ路は山野美し春立ちぬ 四季折々の自然を楽しむ暮らしが見えてくるようです。 「花の季節」である春を楽しみに待つ五十畑様が浮かびます。 栃木にお住まいだったそうで、蔵の街、巴波川、しもつかれなど、故郷の句に懐かしい気持ちになりました。 しもつかれがまさに「母の味」というのがとてもよくわかります。 と文己さん。 花屑を惜しんで掃除やめにけり 五十畑さんの花を惜しむこころがたっぷりと現れている一句だ。箒をつかって花屑を掃きだしはじめていたのだが、ふっと桜の散るがままにしておこうと思ったのだろう。「花屑」もまた花の命の余韻あるものとして作者のこころに響いたのだろう。「花屑」さえも静かに味わおうとする作者の心の余裕を思う一句である。わたしのような日常を余裕なく生きている人間はぜったいこういうことはない。断言できる。だいたい、花びらが散っても掃除などはいっさいせず、散るにまかせ、花びらの上をドシドシ踏んづけてあるく、こんなんで詩歌の本をつくっていていいのか。。。心を入れ替えたい。 四半世紀薔薇に寄り添ひ寄り添はれ 句一句薔薇一輪の余生かな 句集に並んで収録されている二句である。まさに五十畑さんご自身のことを詠んでおられる句なので紹介をしたい。第1句集を「薔薇」と命名されるほど薔薇がお好きな方である。薔薇をたくさん育ててこられたようだ。句集にはたくさんの草花が詠まれているが、とりわけ薔薇は五十畑さんにとって、格別なものである。生み出された一句、慈しみ育てた薔薇一輪、どちらも五十畑さんにとって生きていくために大切なものだったのである。五十畑さんならではの俳句である。 ほほゑみが街に戻るや黄水仙 黄水仙は、春の花だ。鮮やかな黄色がなんとも心を明るくしてくれる。「ぼぼゑみが街に戻るや」という上五中七、「私に」でも「君に」でもなく「街に戻る」という、ある漠然とした広がりがある措辞となった。しかし、「黄水仙」によって一気に視線が街の一点にある黄水仙に集約し、そこから明るさが広がってく、具体的な景がみえてくる一句となったのではないだろうか。ほほえみが街にもどってくるのは、もはや「黄水仙」以外では考えられないような一句だ。 矢車草咲くや世事にはかかはらず 草花を愛で、一心に薔薇を育ててこられた五十畑さんである。世俗的なことはお嫌いだろう、きっと。そうは言っても、人間生きて行く以上世事は向こうからやって来る。この一句は、五十畑さんご自身の生き方の方向性を気合いをこめて詠んだものである、「矢車草」の季語が、その心の景気づけのように効果的に配されている。矢車草は好きな花のひとつ。いろんな色がある。白、赤、紫、青など。わたしはとりわけ青の矢車草が好き。この一句を読んだとき、この青の矢車草を思った。歳時記によると青の矢車草は「ドイツの国花」であるということだ。知らなかった。こういう野趣のある矢車草を国花にするなんてなかなかいいんじゃない。 落ち際に下の椿を落しけり これは校正スタッフのみおさんが好きな一句であるが、わたしも好きな一句である。「花に重量感のある椿ならではの句だと感じました。」というみおさんの意見に大賛成である。五十畑さんの句には写生句はすくないのであるが、この句は椿をよく見てつくった一句だとおもう。余計なことは言わずシンプルに叙しているが、落ち椿のさまがよく見てとれる。いい句である。 私の人生はこれからそんなに長い時間が残されているわけではありませんが、今後も薔薇作りや野菜作りとともに俳句を生きがいとして参ります。俳句結社への投句やOB会雑誌への投句、友人達との句会や姉二人とその子と私の四人の句会など楽しみながら、俳句を友にしたいと考えています。 「あとがき」を抜粋して紹介した。 装訂は、第1、第2句集に引きつづき、君嶋真理子さん。 三冊が響き合うにという配慮のもとで。 やはり前句集どうよう薔薇をあしらった句集となった。 表紙の色は、前の二冊とおなじように赤。 しかし、それぞれ微妙に色がことなる。 花布はツートンカラー。 栞紐は白。 すっきりとした一冊となった。 上梓後のお気持ちをいただいた。 ◆所感 (1)本が出来上がってお手元に届いたときのお気持ちはいかがでしたか? 私の宝物が増えました。本棚に私の句集を並べ、前の句集「薔薇」と「百景」に加えた「夕映」を眺め、とても幸せな気持ちです。素晴らしい本に仕上げていただきまして感謝しています。本当にありがとうございました。 (2)句集に籠めたお気持ちがあればお聞かせ下さい この句集は、勤労生活からの完全引退後の三年間の句を集めたものです。当初は時間的なゆとりもあり、句作りの集大成にしたいと意気込んでいました。しかし、そんな邪心はすぐに間違いであることに気付きました。 自然の中に身を置き、花を眺め、鳥の声に耳をそばだて、大気の流れを肌に感じ、日常の風景、生活の感動や思いを気負わずに句にすればよいのではないかと思い直しました。 「夕映」の句がそのようになっているかどうか心配ですが、気持ちだけはそのように三年間作った句を整理、推敲し、まとめた句集です。 (3)句集を上梓されて、今後の句作への思いなどございましたらお聞かせ下さい。 年を重ね、老いを益々実感するこの頃です。 1.自分の好きなことを少しする 2.少しは人に尽くす 3.穏やかに生きる 4.静かにフェードアウトする ことをモットーに自然に溶け込み、日々の感動の中で余生を生きられたら幸せであると思っています。そんな思いを持って、それを今後も句作りに生かせたらと考えています。 五十畑明さん 育てておられる薔薇の写真を送ってくださった。 五十畑明さま お仕事を退職されてますます豊かな時間ができたのではないかと思います。 薔薇作りに、俳句づくりに、 さらに勤しまれますように。 ご健勝を心よりお祈りもうしあげております。 生き難き世の夕暮や藤の花 五十畑 明
by fragie777
| 2024-07-16 19:20
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||