ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko

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25年後の実り。高遠弘美訳『ルバイヤート』(トゥーサン版)刊行。

3月13日(水) 奈良春日祭  旧暦2月4日


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仕事場への途上の畑にいた今日の鶫(つぐみ)。

今年は鶫に遭遇することが多かった。


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地上をとことこ歩いているのをよく見かけた。


渡り鳥なのでもう少ししたらいなくなってしまう。
シベリアに帰ってしまうのだ。



「ふらんす堂通信180号」の編集がはじまっている。

目下連載中の高遠弘美さんの「わたしのプルースト」が人気である。
いろんな方からの反響がある。
プルーストの『失われた時を求めて』を完読した人はきわめて少ないかもしれないが、(そういうyamaokaも挫折組であるが、あきらめてはいない)
誰も一度はトライしてみたいって思う作家かもしれない。
今読んでいる文庫本で、20世紀を代表するピアニスト、スヴァトスラフ・リヒテルについて書かれた『リヒテルは語る』(ユーリー・ボリソフ著 宮澤淳一訳)のなかでリヒテルはプルーストが好きらしくときに言葉の端々に登場する。
たとえば、こんな風に。

誰がいちばんすぐれているだろうか? マンかな? プルーストかな? もちろん、二十世紀に限定した話だ。やはりプルーストだな。読んでいるか? 『花咲く乙女たちのかげに』(「失われた時を求めて」第二篇)だけだって? どうして最初から読まない? いいかい、プルーストはむさぼり読んではいけない。一度にたくさん読むな。こつを教えてやろう。何回かに分けて、本当にゆっくり読むんだ。

リヒテルのこの言葉は気に入った。たしかにゆっくり焦らないで読むのがいいのかもしれない。


「わたしのプルースト」の執筆者である高遠弘美さんが、この度、訳書『ルバイヤート』を国書刊行会より出版された。
これはオマル・ハイヤームの原著をフランツ・トゥーサンが仏訳し、それを高遠さんが邦訳したものである。



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『ルバイヤート』(トゥーサン訳)高遠弘美訳 国書刊行会 定価2860円


高遠さんの訳は旧カナ遣いによって視覚的にやわらなか印象を与える。
そして日本語に無理がなく、調べが流麗で美しい。


三篇、短いものを紹介してみたい。

 第一七歌

 ありがたき春の微風よ
 それあるがゆゑ、薔薇もひときは耀きて
 いましも寄せるそよ風は
 園庭(には)なる蒼き木(こ)むらの蔭で
 いとしきひとのほほを撫でゆく
 そのときに 
 こころにあるけふの愉しみ
 いまのよろこび
  過ぐる日にしあはせなれど
  その想ひ出は影かたちなし


 第五九歌

 おれが生まれたからと言つて
 微塵もこの世の得にはならなかつた
 おれが死んだからとて
 この世の宏大さや耀へる光が減じることなどあるはずもない
 どうしておれがこの世に来たか
 なにゆゑおれは去らねばならぬのか
 教へてくれた者は誰もゐない
 さう、ただのひとりも



 第一三〇歌

 現し世はうつつのものにあらなくに
 なにゆゑ友よ かほどに悩む
 またつねに
 惨めな境涯を思ふ
 君が思慮(おもひ)を
 時の経つまま、赴くままに
 任せてしまふほかはない
 元始(はじめ)から
 君が運命(さだめ)は書かれてゐるのだ
 如何にしたとて消せはせぬ




25年後の実り。高遠弘美訳『ルバイヤート』(トゥーサン版)刊行。_f0071480_18224152.jpg
このような口絵もところどころにあって、楽しい。



巻末の高遠さんによる「解説」には、これまでの蒲原有明にはじまるさまざまな訳者の「ルバイヤート」の邦訳が紹介されている。それを読むのも楽しい。またフランス語に訳された「ルバイヤート」はいくつかあって高遠さんはそれを蔵しているようであるが、そのなかで「トゥーサン訳」のものを愛読してきたのである。その別の訳者による邦訳も解説において紹介している。そしてやはり「トゥーサン訳」の素晴らしさに言及をしているのである。
解説を読んでいくと、本書はかつてふらんす堂より上梓された高遠弘美著『乳色の花の庭から』(1998年2月刊)に収録されている「仏訳『ルバイヤート』のしらべ」に目をとめられた国書刊行会の編集者の磯崎純一さんによって今日の刊行となったということを知った。そうたったの!! わたしはあらためて驚くとともに、まさに一粒の地に落ちた麥が多くの実をむすんだことを思い、ふかい感銘をうけた。そう、「仏訳『ルバイヤートの調べ」には、トゥーサン訳のフランス語と高遠さんの訳が並んで記されている。フィッツジェラルド英訳による森亮訳も紹介されている。本エッセイで、高遠さんは「無人島ないしは監獄に持ってゆく一冊の本」という命題についてあれこれの考察の果てに「ルバイヤート」をあげているのである。それほどまでの愛書「ルバイヤート」をこの度、こうして訳書として刊行されたことはひとしおの感慨があると思う。
25年後のおおいなる実りである。



25年後の実り。高遠弘美訳『ルバイヤート』(トゥーサン版)刊行。_f0071480_18241874.jpg

高遠弘美著『乳色の花の庭から』1998年2月刊行 ふらんす堂刊

もちろんプルーストの頁はたっぷりとある。

残念ながらすでに品切れである。




さきほど、スタッフのPさんがわたしの机のところにやってきて、この『ルバイヤート』の頁をめくっていた。
そして、「紹介し終えたら、わたしに貸してください」と言って立ち去ったのだった。

もちろんOKよ。。。














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by fragie777 | 2024-03-13 19:14 | Comments(2)
Commented by 高遠弘美 at 2024-03-13 23:34
山岡喜美子様
ご紹介に心より感謝申し上げます。いつもながら私を理解して下さいますことに改めて御礼を申し上げます。
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Commented by fragie777 at 2024-03-14 19:07
高遠弘美さま

良き一冊になりましたこと、本当に嬉しくおもいます。

(yamaoka)
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