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9月3日(日) 旧暦7月19日
秋暑の厳しい一日。 矢川沿いをあるく。 街中では感じられないが、風はおどろくほど涼しかった。 時折吹いてくる秋風に身体を休ませながら、歩いていく。 水はかぎりなく澄んでいる。 「水澄む」秋である。 精霊蜻蛉が水をもとめてあちらこちらとゆらゆらと飛んでいた。 濡れた石に止まっている精霊蜻蛉。 身体は翠色にかがやき目はくろぐろと光っている。 こちらはべつの精霊蜻蛉。 矢川緑地の雑木林へと入っていく。 雑木林は、さらに気持のよい風が吹きわたる。 木々の冷たさを身体に感じながら、分け入っていく。 今度くるときは、更に秋は深まっているだろう。 今日は瀧澤和治著『福田甲子雄の百句』より。 山国の秋迷ひなく木に空に 福田甲子雄 当たり前のように巡って来た「秋」に対して自分という存在が確かにあることに安堵しているようなところがある。「木に空に」につづいて〝この自分にも〟という思いが強く生まれているようだ。勿論、他の万物にも等しく、ということである。「迷ひなく」の断定は、甲子雄の真摯な祈りに近い感情が言わしめたものであろう。 季の運行の中で、秋は何か特別な想いが湧いてくるのかもしれない。 矢川緑地を歩いているときは、秋風をひしひしと感じたがひとたび街中にもどると、あの風の冷たさはどこにいったのだろうと、残暑ばかりが身にこたえた。 そんなことを痛感した一日だった。 ざりがにが、澄んだ水のなかで美しく死んでいた。
by fragie777
| 2023-09-03 20:39
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