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8月28日(月) 天地始粛(てんちはじめてさむし) 旧暦7月13日
溝萩。 この花をみると、ああ、秋が来たんだって思う。(わたし、毎年このブログでおなじこと書いてるかも……) 神代水生植物園に咲いていた。 夏の濃いみどりの季節から、すでに秋色をくわえつつある。 自然は正直だ。 今日の毎日新聞の坪内稔典さんの「季語刻々」は、吉田哲二句集『髪刈る椅子』より。 夏逝くや最後の薪を投げ入れて 吉田哲二 「この句集には『また次の薪を火が抱き星月夜』もある。今年の夏のあれこれの結晶のような『最後の薪』もゆっくりと火に抱かれたのだろう。」と坪内さん。どこかロマンチックな俳句二句である。こんなふうに心に余韻を残すような夏の終わらせ方をしたいものである。日々「暑い、暑い」と汗を拭きつつ、大量の水をのみ、仕事に追われ、山野歩きはしてはみるもののとてもロマン的なものではない。そんなことのくりかえしでいつの間にか歳とちゃったな。。上記の二句、やはりその背後に作者の若さが潜んでいる。 目下、高橋修宏さん執筆による「鈴木六林男の百句」が、進行中である。 今日、再校ゲラが戻ってきた。 鈴木六林男については、やはり語っておきたいという俳人の方が少なからずおられるとおもう。このシリーズでも執筆をされたいという有難いお申し出をいただいたが、すでに六林男の晩年の弟子である高橋修宏さんにお願いした後であったので、お受けすることが出来なかったということが何度かあった。そういう意味では、鈴木六林男はきちんと顕彰されるべき俳人と思っている俳人が多いということと、また魅力ある俳人であるということもあると思う。 高橋修宏さんは、この「百句」に情熱をもって取り組んでくださった。 わたしは編集者勤め時代から、鈴木六林男氏にはあまりご縁がなく、どこかの会でいらっしゃっても遠くから眺めるそんな存在だった。作品をまとめて読むという機会もあまりなく、出版社勤務時代には、髙柳重信が編集するところの「俳句研究」にて、その作品や論を目にするそんな程度だった。ただ、その「俳句研究」で、仁平勝と鈴木六林男がはげしい論戦をかわしていたことだけは記憶している。仁平さんは覚えておられるかしら。 今回、高橋修宏さんによる百句にふれて、魅力的な作品が多いのにおどろいた。今更なんて、言わないでくださいまし。そういう意味で、わたしにとっても鈴木六林男の作品を知る良き機会となった。 装釘のラフイメージをお送りしたところ、このラフイメージもかなり難しかったが、というのは、属目句が少ないので畢竟その材料も限られてきてしまうのだ、が、いくつかの中から高橋さんが気にいったと選んでくださったのがあったのでホッとしたのだった。 9月末までには刊行したいと思っている。 鈴木六林男存命のころ、刊行された「現代俳句辞典」(富士見書房刊)にて、森田峠が「戦火想臨俳句を出自とし、戦争と愛を書きつづけている」と記しているが、まさに「戦争と愛」を詠んだ俳人であったと、今回の「鈴木六林男の百句」のゲラを読みながら思ったのだった。 高橋修宏さんは、この一冊のあと長年書き続けてきた「鈴木六林男論」を一冊にすべく目下編集準備中である。 天上の淋しからんに燕子花 鈴木六林男 この百句シリーズ、9月5日には五島高資著『平畑靜塔の百句』が出来上がってくる。 平畑靜塔の俳句も目下なかなかハンディに読むことができない。 五島高資さんの真摯な取り組みがあってこの度の刊行が実現した。 蛍火となり鉄門を洩れ出でし 平畑靜塔 「百句シリーズ」、9月の刊行はこの二冊となる予定である。 楽しみにしていただきたい。 最近の翡翠。 胸の羽毛が風にふかれているのがかわいいでしょう。
by fragie777
| 2023-08-28 19:25
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