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6月13日(火) 旧暦4月25日
最近会ったハシブトガラス。 聡明そうな顔つきである。 誇りもありそうだ。 写真撮らせてね。って一応ことわった。 神代植物園の自転車置き場である。 自転車をとめようとそばに行ったのだが、逃げなかった。 10日付けの毎日新聞の坪内稔典さんによる「季語刻々」は、千葉皓史句集『家族』 より。 ががんぼの脚をひろげてあふむけに 千葉皓史 ががんぼは「カと違って血は吸わず、もっぱら花の蜜を吸う」と坪内さん。そうなのか、はじめて知った。 おなじく毎日新聞の坪内稔典さんによる「季語刻々」は『現代俳句文庫金子敦句集』 より。 合歓の花濡れてディキシーランドジャズ 金子敦 坪内さんは、この鑑賞文をYouTubeでディキシーランドジャズを聴きながら書いているそうである。「懐かしい感じの音が流れている」と坪内さん。 さきほど金子敦さんが、「山岡さんは、ディキシーランドジャズをお聴きになったこと、ありますか?↓一例としてご紹介します。軽快で、心がウキウキするような音楽ですよ!」と、メールをくださった。 https://www.youtube.com/watch?v=2H2xTsNMu2E 一緒に聴きません? そして讀賣新聞の「枝折」の新刊紹介では、小澤實句集『瓦礫抄』が紹介されている。 2012年にネットで連載した俳句日記。3月11日、人間は心細くささやかな存在にすぎない。 春の星拳ふたつをひらきえず 小澤 實 新刊紹介をしたい。 四六判ソフトカバー装帯有り 188頁 二句組 著者の岡田由季(おかだ・ゆき)さんは、1966年東京生まれ、現在は大阪在住。1998年「炎環」(石寒太主宰)入会、2007年第1回「週刊俳句賞受賞」、2014年句集『犬の眉』上梓、2021年第67回角川俳句賞受賞。現在「炎環」同人、「豆の木」「ユプシロン」参加、現代俳句協会会員。 本句集は第2句集となる。 本書は『犬の眉』に続く第二句集です。二〇一四年から二〇二二年までの句から三二八句を選び、収録しました。編年体を採らず、内容を踏まえて章立ておよび配列を行いました。 「あとがき」に書かれているように本句集は編年体ではなく、作者によって編集し直されたものである。5つの章に別れているのだが、各章の見出しがなかなかおもしろい。「一〇〇〇トン」「土筆の範囲」「光の粒」「女たち」「自動筆記」とあり、それぞれ俳句からとられたものであるが、短編小説をおもわせるような表題である。編年体でもなく四季別でもなく、ということはどのようにこの句集を読者に読ませるか、作者の岡田由季さんが、いかに編集に腐心をされたかということを思わされる。タイトルもまたおもしろくこれも俳句からとったものである。このちょっと不思議感のある「中くらゐの町」という句集名によって読者は、この句集のまえでニュートラルな気持にリセットされるのではないか。(とわたしは思ったのだ)。著者の繊細なはからいを感じさせる一句集である。 この句集の担当はPさん。 好きな句をあげてもらった。 椋鳥をばらまいてゆく風一陣 夏薊ボールの飛んで来ない場所 山椒魚眩し眩しと言うてをり 五位鷺の見つむる水面窪みけり 夏はじめ自動筆記のやうな雨 椋鳥をばらまいてゆく風一陣 岡田由季さんは、カメラをよくし鳥の写真もよく撮られている。webサイトの「週刊俳句」の表紙(?)に岡田由季さんが撮られた鳥たちがよく登場する。鳥好きでもあるようだ。わたしも岡田さんほどではないが、「翡翠」に出会ったことがきっかけで鳥に興味をもつようになったが、この一句、「椋鳥」の生態がよく詠まれていると思う。椋鳥は基本的に集団で行動する。しかも一斉にやってきて次々と降り立ちそのへんを漁っていたかとおもうとまた一斉に引き上げてゆく。この一句、「ばらまいてゆく風一陣」が巧みだと思う。主体は椋鳥ではなく「風一陣」なのである。しかも椋鳥を「ばらまく」というところがいかにも無造作感があってそれらしい。椋鳥という鳥について納得させられる一句である。至る所に群生して、集団行動をとるうやかましい椋鳥。しかし、鳥好きの岡田由季さんは、孤独(?)な椋鳥の姿も見出している。〈集まらぬ日の椋鳥の楽しさう〉椋鳥もじぶんたちの集団行動にすこし辟易しているのかもしれない。 夏薊ボールの飛んで来ない場所 おもしろい一句だ。この一句はなんとしたって「夏薊」の季語がいい。もちろん実景だったのだろうと思うが、「ボールの飛んで来ない場所」は日本全国いたるところにある。しかし、いちばんふさわしいのはなんと言ったってこの「夏薊」の咲く場所だわって思う。わたしの経験ですぐに思い浮かぶのは、夏薊が咲いているところって、夏草が茂り土は乾き、むんむんする日ざしに辟易するもどこにも日陰はない、そんなところだ。そこに夏薊はたくましく咲いているのだ。しかも刺も太々としてまさに突き挿ささんと張りつめている。ボールなんて飛んできたらいっぺんでクシャってなってしまう。と書いたらあまりにも理におちてしまうけど。「ボールが飛んで来ない場所」とは子どもたちの姿が遠いことも思わせる。遊ぶ声がするのだが、夏薊のところより少し離れたところで遊んでいるのだろう。「ボールが飛んで来ない場所」という措辞によって、子どもの気配を感じさせつつ夏薊が果敢に咲いている広い空をも思わせる一句。 鯉のぼり海の手前を泳ぎをり この一句もちょっと不思議な叙し方をしているが、景色はよくみえてくる一句だ。海沿いの町で鯉のぼりが高々と泳いでいるのだ。遠くに海の水平線がみえ、そのすこし手前に鯉のぼりが泳いでいる様子がみえる。作者の立ち位置は、海からも鯉のぼりからももっとこちら側である。かなり距離があるかもしれない。この一句の手がらは「海の手前」という表現によって、海辺の町の鯉のぼりが泳ぐ景をシンプルに再現してみせたことだと思う。そこには海辺の町の空気感だったり海の色だったり空の大きさだったりあらゆることが想像される。思うに岡田由季さんは、空間や距離や速度などの捉え方が独特である。「夏薊」の句にしてもそう、あるいは表題となった〈中くらゐの町の大きな秋祭〉とか、〈自宅から土筆の範囲にて暮らす〉、〈スピードの出てゐて窓に雉見えて〉〈夏はじめ自動筆記のやうな雨〉などなど、この作者ならでは把握と表現を思う。 無花果や笑はぬ写真並びをり これはわたしが好きというか、気になった一句。こういう句の前はなぜか素通りできない。「笑はぬ写真」というのがちょっと不気味。多くの写真はたいてい笑い顔をとる。この句、「笑はぬ写真並びをり」とあるから、そういう写真が一枚だけではなくて何枚か並んでいるということ?そう考えるといっそう背中がこわばってくる。そんな硬直した景色に「無花果」はよく合っている。無花果は新約聖書においてイエスに呪われた果実である。この一句を読んでわたしはまずそのことを思った。そうなると「笑はぬ写真」に登場する人たちも呪われている?!、まさかね。それは穿ちすぎというもの、「笑はぬ写真」が並ぶ風景に、無花果の赤い果肉を秘した草色のややグロテスクなありようが存在感をもって迫っている。無花果によって空気が重たく淀んでいる気配、そして笑わぬ人たち。怪しげで不穏。こんな勝手な想像することって嫌いじゃない。 根を密に伸ばし医局のヒヤシンス これもなかなかおもしろい一句だ。水栽培で育っているヒヤシンスだろう。作者は笑いをさそう為に造った一句ではないと思うが、事実を俳句にして叙したのであると思うが、「医局の」という具体性がおもしろい。病院の医師がいる場所である医局のヒヤシンスが根を伸ばしているという。、それも「密に」。このヒヤシンスの大らかな生命力が、人の生死に向き合う医師たちをまるで励ましているようである。しかし、実際は医師たちはヒヤシンスに目もくれずに立ち働いているのだろう。そんな医師だちの大変さなどは知らぬ存ぜぬでヒヤシンスは遠慮なく根をのばし花を咲かせているのだ。そんなヒヤシンスがいい。 校正スタッフのみおさんは、〈犬とのみ行く場所のあり草紅葉〉が好きであるということ。 「まるで秘密基地を共有する友達のようですね」と。 三十代までに十数回の転居をしましたが、気が付くと、今の住居での暮らしが十九年ほどにもなります。都会でもなく、本当の田舎でもない、当地での生活にいつしか馴染んだようです。ここ数年はコロナ禍ということもあり、一層、地元と向き合うことが多くなりました。そのような生活のなかで、句の多くが生まれました。 「あとがき」を抜粋して紹介した。 本句集の装釘は和兎さん。 「装画は、吉永直子さんの作品です。吉永さんは、二十五年前、私を初めての句会に誘ってくださった方でもあります。」と、岡田由季さん。 この装画がこの句集の雰囲気をつくりだしている。 タイトルは、ツヤ消しの金箔押し。 和兎さんは、この装画を生かすために、画用紙にちかい用紙を選んだ。 岡田由季さんの句の世界と不思議に響き合っている。 見返しと帯は同じ用紙で、装画につかわれている色だ。 表紙は、装画に使われている緑の色をえらんだ。 扉にも装画を使用。 水鳥に会ふときいつも同じ靴 本ができあがってよりの感想を岡田さんよりいただいた。 (1)本が出来上がってお手元に届いたときのお気持ちはいかがでしたか? 出来たての新しい句集ですが、前からあったかのように馴染んで感じられました。 装画の希望をかなえていただき嬉しかったです。 (2)第二句集に籠めたお気持ちがあればお聞かせ下さい 経年順にこだわらず、一冊の本として流れを考えながら句を章分けし、並べました。 ある程度の年月、作句を積み重ねないとできない作業なので、楽しんで行いました。 編む際にはそれぞれの章に淡いテーマ、もしくははっきりしたテーマがありましたが、もうできあがってしまったので、あとは読んでくださる方に委ねたいと思います。 (3)句集を上梓されて、今後の句作への思いなどございましたらお聞かせ下さい。 第一句集上梓後、しばらく道に迷ったので、今回も迷うかもしれません。 また自分のペースで続けていければと思います。 岡田由季さん すこしまえに、仙川にいらしてくださった岡田由季さんを、水鳥のいる仙川にご案内した。 翡翠4羽が姿をあらわし、岡田さんを大歓迎。 関西ではめずらしいというオナガを写真に撮られていた。 いろいろな水鳥にも会ってもらえたのだった。 岡田由季さま。 また、仙川に水鳥に会いにいらしてください。 あるいは神代植物園で大鷹を一緒にみられるといいですね。 ハシブトガラスもハシボソガラスもこぞって歓迎いたします。 神代水生植物園の田圃に降り立った燕。
by fragie777
| 2023-06-13 20:54
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