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5月29日(月) 旧暦4月10日
飯能・名栗のお蕎麦屋さんのちかくにあったアトリエ(工房)。 卯の花がひときわ美しく咲いていた。 鉄のオブジェだろうか、庭にいろいろとおかれている。 わたしはこの椅子に惹き付けられた。 背がレースのような網目になっていてたいへん華奢な椅子である。 美しい装いの女性がこの椅子にすわって夕風に吹かれている姿を思い浮かべた。 思わずいろいろと想像をしてしまう。 もうその人はこの世にはいない。 椅子はその女性をずっとこうして待っている。 だからとてもさびしげである。 傍らに咲く卯の花。 まぶしいほどであった。 この卯の花の美しさはしばし忘れられないと思う。 新聞記事を紹介したい。 4月27日付けの讀賣新聞の長谷川櫂さんによる「四季」は、仁平勝句集『デルボーの人』より。 近くまで来たと立ち寄る釣忍 仁平 勝 「ほんとうは何か用事があって、わざわざ出かけてきた」のだろうと長谷川櫂さん。「『近くまで来た』は相手に気を使わせないための挨拶の言葉」と。ああ、そうかもしれない。わたしの実家でもよく不意打ちでお客さんがきた。(呉服業を営んでいたが、そのお客とは別の)ちょっとした挨拶とかおしゃべりとか、フラッとやってきて、楽しそうに語らい、帰っていく。大方の人が前もってアポイントをとるなんてしなかった。大事な話もそうでない話も突然の来訪とともにということが多かった。それでも円滑に人々は交流をしていた。長閑なよき時代だったかもしれない。 仁平勝『デルボーの人』第4句集。読者は本歌取りやパロディーを楽しみつつ、日常生活に存在する俳句的発見を本書から見いだすだろう。 づかづかと夏の踊り子号に乗る 人形に女と男盆の月 寒紅を加へこけしの仕上がりぬ 千葉皓史『家族』第2句集。神経の行き届いたシンプルな措辞ゆえ、読後感がすこぶる爽快な句集である。 敲いてはのし歩いては畳替 萍のうごかぬ水の減りにけり 金星の生まれたてなるキャベツ畑 水原紫苑『天國泥棒』 ふらんす堂ホームページの「短歌日記」で2020年に掲載された365首を収録。自在な発想で研ぎ澄まされた美意識の時空を創る。 オルセーの時計をわれの時計とす 水色のゴッホ老ゆることなし 天國泥棒愉しからずやたましひは牡蠣と舞茸のパスタのうちに お一人お客さまがあった。 大下綾子(おおしも・あやこ)さん。 もっか第1句集を制作中である。 今回は、色校正などを確認されに来社された。 担当は文己さん。 大下綾子さんは、2020年に句友である奈良雅子さん、望月美和さんのお二人と一緒に合同句集『漕ぎ出でよ』を上梓されている。 今回は、これまでのおよそ20年余の俳句を厳選されて個人句集として上梓するのである。 合同句集を作成しているときに、大下綾子さんに「これを機に是非にご自身の句集を編んでください」とわたしは申しあげたのだが、そのことを覚えておられてこの度の第1句集の上梓となったのだった。 「ご自身の句と向き合ってみていかがでしたか」と伺ったところ、 「はい、本当に良かったと思います。これまでの作品を自分の身から離すことができました」と大下さん。 さらに「◯◯さんがいらした吟行の句」「△△さんが鑑賞してくれた句」と思い出してその方を偲ぶこともできたこともあります。 そして、もっと学びたいと、この4月より俳句結社にも入られたということである。 結社は「郭公」(井上康明主宰)。 そういう意味からもして、いままでの作品をここで一つに纏められたのは本当に良かったのではないだろうか。 大下綾子さん。 「句集刊行とともに、新たなる俳句への出発となりますね」と申しあげると、 「はい、本当に!」と明るい笑顔を返された大下綾子さんだった。 上梓まであともう少し。。 壁の割れ目に咲いていたどくだみの花。
by fragie777
| 2023-05-29 19:27
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