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9月12日(火)
今日のふらんす堂は朝からすこし緊張気味。それはなぜかというと、深見けん二氏が午前中11時におみえになるからだ。「11時ね」と朝のミーティングでみなで確認しあい、わたしもいらっしゃる前に、えーと、これとこれは済ませておいてと、11時を念頭におきながら仕事をする。時間どおりに深見氏は仙川駅に降り立ち、電話を受けた川口が駅までお迎えに、わたしはマッハの勢いで仕事を処理し、作業台はレースのクロスがかけられてにわかにお客さまを迎え入れるための応接風モードとなる。足の踏み場もないほど、いたるところに本が積み上げられて雑然としているふらんす堂が一瞬の明るさと清潔さを得る貴重なときである。その早変わりのすばやさは、シンデレラの魔女が南瓜を馬車にかえた魔法の杖のひとふりとおんなじくらいっていつも思う。有難う、ふらんす堂の魔女たち。 というわけで、深見けん二氏がご来社された。白いジャケットを着こなしたお姿はまさに楚々として(中井愛弁)清雅なご様子。「歳をとって、病院通いの毎日で…」とおっしゃられるが、とてもお元気そうなのでわたしはニコニコと仕事の打ち合わせをする。ちかくの美味しいお店「なみはな」(ここに俳人や詩人の方をご案内することが多い)にご案内してお昼をご一緒する。話題はやはり俳句のことになり、連載の「俳句日記」のことなどなど、そのうちにふっと高浜虚子のことに話がおよんだとき、深見氏の目がたちまち晴れやかに輝いた。「虚子先生が…」と語られる言葉に深みが加わる。虚子の句会でのありよう、俳句に対する考え方、人となり、静かに語られる言葉ひとつひとつが、ある真実の重さをともなって聞く側の心の底におさまっていく。わ、わたしだけが聞いちゃっていいのかな…、って思ってしまうほど興深い。 深見先生、今日は有難うございました。しかもわたしのこのヤクザなブログも見てくださっているということ(大汗!)、本当に恐縮に存じます。(そんなわけではっちゃけそうになるのをあわてて軌道修正しております、) 写真はこの間の日曜日の都心の空。暑さのきびしい日であったが、空は秋の気配となっていた。 虚子旧居まで秋風の坂すこし 斎藤夏風 (現代俳句文庫『斎藤夏風集』 小社刊) (『桜榾』初出)
by fragie777
| 2006-09-12 19:52
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