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4月19日(水) 旧閏暦2月29日
白山吹。 好きな花だ。 桂の林へとつづいている。 今朝は、バッハのチェンバロ協奏曲ニ短調をグールドのピアノで聴く。 ここんとこ毎日のように聴いている。 第2楽章がとくに好き。 先日、歯医者さんへ定期検診に行ったところ、歯ブラシ指導でこう言われた。 奥歯のある箇所に歯ブラシをあてて、 「いいですか、yamaokaさん。こう歯ブラシをあてて、バイオリンの弦を弾くように歯を磨いてください」 というのだ。 つまり歯ブラシはバイオリンでいうところの弓である。 ふむふむ。 ということで、毎朝、歯ブラシのとき、わたしはちょっとしたバイオリニストになる。 良き音はしないけどね。。。 新刊紹介をしたい。 A6判横とじ上製薄表紙装 848頁 俳人・行方克巳(なめかた・かつみ)の季語別俳句集成である。 実はこのお話をいただいてから10年以上の歳月が流れた。 担当はPさん。 先ず、Pさんのことばを紹介したい。 2006年くらいからずっと準備を進めていた御本です。 行方先生のすべてが詰まっている一冊です。 毎年毎年、どんどん句を作られるのでいつまで追加するのかなどそのあたりも大変でしたが、 最新句集『晩緑』までの句を収録しました。 収録句数は16000句近くあるかと思います。 収録季語は2500弱。 大著です! 行方克巳さんの「刊行によせて」を紹介したい。 ここに収めた一句一句は、まぎれなく六十有余年の間に、行方克巳という俳句の樹が降らせ続けてきた落葉の、一片一片である。 ゆえに、どんなに虫喰いや病葉が多くあろうと、また、何のかわりばえもしない変哲もない落葉であろうとも、どれも私の分身としていとしく思う。 私はこれらの無器量な落葉たちと、これからも降らせ続けるであろうすべての落葉でも。 「落葉」なんておっしゃっているが、どの句も、俳人・行方克巳にとって愛おしい子どもであると思う。 ある意味、こういう形でご自身の句をまとめて残せる(しかも16000句も!)のは、なんと贅沢なことか。。。 羨ましく思われる方もおられるだろう。 造本は、歳時記スタイルのまことに読みやすいもの。 作業としてたいへんだったのは、類句、類想句のチェックだろう。 なにしろ一人の人の歳時記であるので、発想や叙法が似てしまうのはやむをえないと思う。 16000句を60年で作ったとして、いま計算をしてみたのだが、一年間に266.6l句、ということは、3日間で2句つくったものを収録したということだ。 そう考えるとすごいなあとも。 凡例を見ると、既刊句集8冊の収録作品よりそれ以外の句のほうが圧倒的に多いということもわかる。 書物を紹介しながら、作品もいくつか紹介をしておきたい。大海を目の前にした気分。 装丁は和兎さんであるが、この句集の素敵さは、装画のイラストにある。 これは、行方さんのお知り合いの阿部愼藏氏によるもの。 「知音」のイラストも描いていらっしゃる。 表紙に型押しでそのイラストが押されている。 カバーの赤はなかなかお洒落である。行方さんにふさしい色だ。 文字の金箔も美しい。 見返しはグレーを基調のマーブル模様。 扉。 春夏秋冬新年の項目にもイラストが。 春。 音消して遅日の波をたたみけり ゴリラよりゴリラの男春の風邪 フリージアの香にもの書きて教師たり 夏。 ランドセル浮かせて走る麦の秋 阿修羅とは涼しく燃えてゐたまへる ゐるはずのなき母よべば日雷 秋。 秋風に足裏吹かせて凡教師 このあたり踏切あれば木槿咲き 教卓にどんぐり置いてありにけり 冬。 暖冬や花鳥諷詠滅びます 煤払ひなき世に漢煤けたる 枯芝に大学祭の塵あくた 新年。 腹の上に猫のせてゐる二日かな 初夢の死んだふりして死んでゐる 実朝の歌が好きなり吉書揚 もっともっとたくさんの句を紹介したいのだが、どれを紹介しようか迷ってしまう。 いまさっと拝見したのだが、「母恋い」の句が多いことに気づいた。 山桜山彦も夜は海を恋ふ ということで個人の季語別句集としてはこのようなものがかつてあったであろうか。 長い編集作業のはてに出来上がった一冊。 感慨無量のものがある。 行方克巳氏。 あたまの七色はトレードマークである。 行方克巳さま 一時はほんどうに出来上がるのだろうかと心配をいたしましたが、 こうして見事に一冊となったことをわたしたちも喜んでおります。 あとは大いに読み、活用されていかれること願っております。 この上梓を機にさらにさらにご健吟をなさり、 いい句をつくってくださいませ。 いろいろとありがとうございました。 今朝は、「沈香」の香をたく。 玄関に愛猫の日向子がオシッコをしてしまうので、たいへん。 でも、このことは日向子の名誉にかかわることなのでナイショね。
by fragie777
| 2023-04-19 19:32
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