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3月14日(火) 旧暦2月23日
目下、白木蓮も盛んである。 これは神代植物園の白木蓮。 こうなるともうすごいとしかいいようがない。 圧倒されるばかりである。 こちらは別の場所に咲いていたもの。 虫がいる。 蜘蛛かもしれない。 ぜったい蜘蛛だと思う、とても小さいけれど。 はくれむに夕日の金の滴れり 臼田亞浪 白木蓮ひらききる人来るなかれ 津田清子 はくれんや含羞の白おづおづと 鷲谷七菜子 かなしみの芯のごとくに白木蓮の花は浮かびて空のはるけさ 高比良みどり なんだかすごい勢いで春がやってきて、心の準備(?)もできずに次から次へといろいろな花が咲き、落ち着かない。 東京では今日、染井吉野の開花宣言があった。 そういうニュースはさておいて、身の回りにある花々を楽しめばよいのであるが、もうすこしじっくりと春を満喫したい気持ではある。 そんなときに、こうして春に寄せた詩人たちの俳句や短歌にふれることで、落ち着かないこころがゆったりとしてくる。 それはきっと詩人たちが白木蓮への一句や一首にたっぷりと時間をかけて思いをめぐらしたその時間の豊かさが、詩のことばとともにわたしの身体に流れ込んでくるからだろう。 詩歌にふれることはなんと贅沢なことか。。。。 3月7日づけの日本農業新聞の「おはよう 名歌と名句」で宮坂静生さんが、松尾隆信句集『星々』より一句を紹介している。 三月の利休鼠(ねずみ)の空がある 松尾隆信 「利休鼠とは緑色がかった灰色である。灰とは火事を連想し縁起担ぎには気にかかる。そこで灰を用いずに鼠にしたという。凝った色合いの名だ。」と宮坂氏。日本の伝統色である。そういう由縁の命名とは知らなかった。「春たけなはに向かう情緒を秘めた空の色であるが、一句に占める『利休鼠』のことばの響きからは歌曲『城ヶ島の雨』の白秋の歌詞が連想されよう。(略)作者は70歳代後半。湘南の地に居住する。城ヶ島も近く、風土を讃える哀歓が伝わる。」と。 わたしは、日本の伝統色の色はどれも好きである。そしてその色の名前のつけ方がいい。「利休鼠(りきゅうねず)」もその一つ。 どんな色かというと、宮坂氏の説明のごとくであるが、手許にあるDICの色見本を写真に撮ってみた。 いい色でしょう。(この見本帖、使い古されてもうボロボロである。しかも利休鼠のいろはふらんす堂の本作りでは大いに活躍してきたようだ。チップがほとんど残っていない。) 「掲句は雨ではなく、「空」の形容に新味がある」と宮坂氏。 たしかに曇った空の色を「利休鼠の空」とは、大胆な発見だと思う。
by fragie777
| 2023-03-14 19:20
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