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3月8日(水) 旧暦2月17日
武者小路実篤庭園に咲いていた椿。 今日は、いまふらんす堂webサイトで「短歌日記」の連載をしてくださっている歌人の吉川宏志さんが京都からご来社くださった。 東京に御用があったおついでに立ち寄ってくださったのだ。 わたしは、ご近所の武者小路実篤さんの家にご案内したのである。 ここの庭は広い敷地があり道路をはさんで二つの庭がありそれそれの池に虹鱒と鯉がいる。 手前の虹鱒の池にご案内をしたところ、チッチッチッとかわいらしい鳥声が聞こえた。 (あれっ)と思って声のする方を見上げると、なんと翡翠がいるではないか。 「翡翠ですよ!」って吉川宏志さんに声をかけて耳を澄ます。 「ええっ」って吉川さんも驚いた様子。 しばらくすると池の向こうの林に一羽がさっと飛び込み、続いてチッチッチッと鳴きながらもう一羽があとを追う。 わたしはカメラをむけ、できるだけズームにしてその姿をとらえる。 「ほら」と得意そうに吉川さんにお見せしながら、「わたしの行くところ、翡翠がいるんですよ」って自慢する。 「でも、この武者小路実篤の庭で翡翠に会うのははじめて、きっと吉川さんを歓迎してるんですよ」と申し上げると、吉川さん、笑いながら、「いまはちょうど繁殖期ですからね」と。わたしはそうじゃないって思う。だってわたしはいつでもよく出会うから。京都からわざわざ来てくださった歌人を歓迎しているんだって思っている。そのあとも姿はみえないけど、鳴き声が時々して、(いるよ、いるよ)って私たちに告げていたのだった。 蕗の薹の花も咲いていた。 武者小路実篤記念館にご案内する。 武者小路実篤がはじめた「あたらしき村」のビデオ映像をじっくりとご覧になる吉川宏志さん。 最初の「あたらしき村」は宮崎県児湯(こゆ)郡木城(きじょう)村に創設される。吉川さんは、宮崎県のご出身だ。 記念館入口にて。 ふと先に目をやるとすでに辛夷が咲いている。 今年初めての辛夷である。 記念館をあとにしながら、「今日は久しぶりに武者小路実篤について考えました」と静かにおっしゃる。 一つ一つのことに丁寧に真摯に対応する方である。 時間があまりなかったのだが、ふらんす堂にもお立ち寄りいただいた。 お話してはじめて知ったのだが、わたしがかつて勤めていた出版社牧羊社で刊行されていた処女句集シリーズの猪村直樹句集『二水(にすい)』を読んだのが初めての句集体験であったという。先輩からいい句集であるとすすめられたという。猪村直樹さんはよく知っている。当時俳誌「沖」に所属し、力ある若手俳人の一人として注目されていた。二度くらい会ったこともある。しかし、嘱望されながらもこの後俳句を辞めてしまう。正木ゆう子さんや中原道夫さんたちと親しかった。彼らが「猪村直樹、猪村直樹」とよく話題にしていたのだった。ガタイのいい男子だったが、自身についてあまり語らず、ある暗さを抱えている危うさのようなものを感じだ。この句集持っていたはずだが、、、いまはない。手に入ったら是非に読んでみたい。 そして、吉川さんは、「ふらんす堂文庫」も買ってくださっていた。最初に手にしたのが、髙柳重信句集『夜想曲』である。これは第1回配本で、わたしにはとりわけ思い出深いものだ。そして大好きな一冊である。重信のもっているロマンティシズムが読者のこころに甘美な陶酔を呼び起こす、そんな一冊であり、黒のフランス装というのがしゃれている。 ほかにもいろんなお話をした。スタッフのPさんは目下吉川さんの著書を読んでいる。『読みと他者』(いりの社刊)すこぶる面白いらしい。(終わったらわたしも読めと言われている)その本のことなど話題にしながら話は弾んだのだが、吉川さんは今日お帰りになるのである。 また、ゆっくりご来社くださることをお願いしたのだった。 吉川宏志さんは、とてつもなく可愛いうさぎを飼っておられる。9歳になる長命のうさぎだ。 「うさぎさんによろしく」と申し上げるのを忘れてしまった。。。
by fragie777
| 2023-03-08 21:56
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