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10月25日(火) 旧暦10月1日
シトロエン社製。 わたしがこの世でもっとも好きな車である。 すでに製造はしていない。 むかしのパリの町にはたくさん見られたが、何年か前に行ったパリにはわずかに走っていたのみ。 日本でも、かつてはたまに見かけることがあったけれど、いまはもう見ることはない。 そんな、車が名栗の山里のレストランに飾ってあったので、驚いてしまった。 そしてすこし興奮した。 むかし、甲州街道でオレンジ色のこの車が走っていたときは、車で後を追いかけたこともあった。 もう何十年もまえのことだけど。 わたしはその時は助手席にすわって、「あの車をおいかけて」と命令したのみ。いい気なもんでしょ。 で、やがて見失ったのだ。 知り合いのまた知り合いが乗っていたのが、この車だったが、本体は小豆色と黒のツートンもの。この車種の中でも「チャールストン」と呼ばれて、ちょっと別扱いだった。華麗で気品があって素敵だ。 それもむかしは見かけたけれど、いまはもう見ることもない。 わたしにとってすでにまぼろしの車となってしまったのだ。 こんな茶畑に沿ってあるき、奥まったところに突然あらわれた deux chevaux 。 富山市に住む俳人かつ詩人の高橋修宏さんより、俳誌「五七五」を送っていただいた。 そこには、10人ほどの俳人の方たちが俳句やエッセイを寄せておられる。 ほとんど方を存じ上げているかもしれない。(お会いしたことはない人もいるけれど) 高橋修宏さんには、「鈴木六林男の百句」をお願いしている。 今日はそのことでメールをお送りしたら、お電話をいただいた。 鈴木六林男の百句をどう書いていくか、いろいろと考えておられるようで、その構想なども伺ったのだった。 この俳誌の最後の頁に「日々余滴」という覧があって、そこで鈴木六林男の最晩年の句をとりあげて、その句に対する疑問や思いを述べておられる。電話でもそのことにふれられていた。 いずれにしても、年内入稿をめざして頑張ってくださるという。 そしてさらに興味深かったのは、寄稿をされていた高山れおなさんの「好きなこと」と題したエッセイである。目下、高山れおなさんには、「尾崎紅葉の百句」をお願いして入稿いただき、いまは初校ゲラが戻ってきている。刊行は年明けを予定している。そこにこの本のことにふれた一節があって、興味ふかく読んだのだった。すこし抜粋して紹介したい。 先日脱稿した本とは、『尾崎紅葉の百句』で、書肆はふらんす堂である。紅葉の俳句をテーマにした専著は、おそらくこれが史上初めてのはずだ。私が紅葉の俳句について多少なりとも知ったのは、二十数年前に出た高橋睦郎氏の『百人一句』によってだった。百人の顔ぶれは、前連歌時代十人、連歌時代十人、誹諧時代四十人、俳句時代四十人で、連歌だの前連歌(!)だのの時代からこれだけの人数をとりこむのは、高橋氏ならではだろう。一方、正岡子規に始まり、永田耕衣に終わる俳句時代の四十人の顔ぶれは総じて穏当ながら、中では紅葉と永井荷風が入っているのが目立っている。あえてそのような人選をするだけあって、高橋氏が文中に引いている紅葉の五句はみな面白く、拙著の百句に全て取り込んだ。 そうか、「紅葉の百句」の所以は、『百人一句』によるものなのかと、その経緯を興味ふかく読んだのである。高山れおなさんは、この本に非常に力をいれて執筆されている。その情熱は、最初のやりとりからビシバシと私は感じだのだった。「尾崎紅葉の俳句」を知る入門書としても優れた一冊になると思う。 で、高山さんは、「五七五」のエッセイで、 夕凪のあとたゞ白し秋の海 尾崎紅葉 「最後まで迷って結局百句には入れなかったもの」としてこの句を紹介している。 夕凪の時間が続いたあと、日が暮れきるまでのしばしの間に風が出て、海が白波に覆われたというのであろうか。自然の微妙な変化に目をとめたこんな句は、じつは紅葉にあってはかなり 珍しい部類に属する。 と。 では、どんな句が百句として選ばれているのか。 それは来年早々刊行予定の『尾崎紅葉の百句』を是非に読んでいただきたいと思っている。 じつは、ここだけの話だが、尾崎紅葉の句でわたしは一句だけよく知っていて、好きな句がある。 その一句も、高山れおなさんは選んでいない。 なんという句かはナイショ。 言ってしまったらにんまりされて、わたしのミーハーぶりが露呈するというもの。(でも好きなのよねー) ところで、高橋修宏さんとの電話のやりとりで、驚きほっとしたことがひとつ。 夏頃だっただろうか、高橋修宏さんと電話で話していて、愛猫がいなくなってしまったと憔悴されていた。 が、 なんと、 二ヶ月ぶりに見つかって戻ってきたという。 それは驚きである。 いなくなってしまった猫はなかなか見つからない。 高橋修宏さんは、とてもうれしかったらしく(そりゃそうだわ)弾んだ声でお話をされたのだった。 「愛猫がもどり、心が落ち着いたところで、鈴木六林男の百句に向き合ってください」ってわたしは申し上げたのだった。 ここ数日急に寒くなりました。 みなさま、どうぞお気をつけくださいませ。 マガモもやってきた。
by fragie777
| 2022-10-25 19:35
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