ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko

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朝昼夜となく太るものは。。。

9月30日(金)  旧暦9月5日



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雨に濡れた酔芙蓉。

砂糖菓子のように透きとおっている。




今日は俳句文学館の閲覧室に調べものをする予定だったのだが、急遽予定を変更せざるを得なくなった。
今日しておかなくてはならないことがあまりにも多いということに気づいたのだった。
(はやく気づけよ…)と自分に突っ込みをいれたけれど、まあ、仕方ないわ。
午前中は銀行やら郵便局やらいったり来たりして、途中立ち寄ったクィーンズ伊勢丹のシュークリームが美味しそうだったので、衝動買いをしてスタッフたちにふるまった。なかなか美味かった。






冊子「第13回田中裕明賞」が出来上がってくる。


朝昼夜となく太るものは。。。_f0071480_16295280.jpg
「第13回田中裕明賞」





10月13日が授賞式である。
今日どうにか関係者の方にスタッフたちが発送したようである。

お読みになりたい方は、すでに販売をしておりますので、オンラインショップからお申し込みください。
発送は来週となります。

電子書籍での販売は、通常どおり授賞式と吟行会のことすべてを収録したのものを加えたものとなります。









新刊紹介をしたい。


菰田晶句集『光のなかへ』(ひかりのなかへ)



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四六判ハードカバー帯有り  208ページ 二句組


著者の菰田晶(こもだ・ひかり)さんの第1句集である。昭和29年(1954)愛媛県生まれ。現在は岡崎市在住。平成8年(1996)「狩」入会。平成11年(1999)第21回「狩」弓賞受賞、平成12年(2000)「狩」同人。「狩」終刊後の平成31年(2019)「香雨」入会。同人。令和2年(2020)第2回「香雨」新雨賞受賞、令和3年(2021)第34回村上鬼城賞受賞。俳人協会会員。本句集に鷹羽狩行「香雨」名誉主宰が一句鑑賞(NHK俳壇より転載)を、片山由美子「香雨」主宰が帯文と序文を寄せている。

まず、鷹羽狩行名誉主宰の一句鑑賞を紹介したい。

 地球てふ大観覧車除夜の鐘

観覧車を仰いで地球の自転を思ったのも除夜なればこそ。灯の塊のような地球。発想が大胆でスケールが大きい。
(「NHK俳壇」平成8年12月放送選句評)


片山由美子主宰の序文は、平成8年(1996)から令和3年(2021)にわたる作品を丁寧にとりあげてたくさんの句を引用、鑑賞をしている。
ここでは、帯の片山由美子推薦十句より数句と帯文を紹介しておきたい。

 ブローチになほす帯留桐の花
 花びらの散りゆくごとし踊果て
 芋虫の朝昼夜となく太る
 枝垂れ咲くもののこぼれて秋半ば
 まばたきを忘れてゐたる寒さかな

菰田晶さんの俳句は、定型を決して崩さない厳格さの上に、鋭敏な感覚に裏打ちされたしなやかな詩のひろがりを感じさせる。発想の豊かさは生来のものであろう。それが俳句という形式を得て見事に結実している。

句集名となった「光のなかへ」は、
 
 みづからの光のなかへ銀杏散る

より、片山由美子主宰の命名である。



担当スタッフはPさん。好きな句をあげてもらった。

 春愁や伏せて翼のごとき本
 橋架けぬことの涼しき瀬戸の島
 夜濯の水切つて星ふやしけり
 雛の間に時を知らするものあらず
 沖見えぬほどにふくらむ春の潮


 春愁や伏せて翼のごとき本

季語「春愁」は、春の愁い、寒さから解放された明るい季節となったのになんとなく心がしずむ、とらえどころのない愁いだ。本を読んでいた作者は、顔をあげ読むことをやめ本を開いたままテーブルの上に置いた。理由もなく心が沈む。そんななんとなしの愁い心は、本を読むことでは癒やされないのかもしれない。「伏せて翼のごとき本」という措辞から、読者にはこの本の伏せられた状態がよく見えてくる。「翼のごとき」とあるが、その翼はやや重さをともなって本の世界を閉ざしてしまっているかのようだ。そして「伏せて翼のごとき本」のさまがすでに鬱々とした容である。春愁の沈みがちな心が、重たき翼を持った本の容(かたち)をとらえたのだ。春愁のこころも本の翼も、暗さへと下降する力へと引っ張られている。「翼のごとき」がこの句の眼目とも。全体、かすかな重力をかんじる一句だ。

 芋虫の朝昼夜となく太る

片山由美子主宰も帯にあげていたが、わたしはこの句が好き。見事に太った芋虫がみえてきてちょっと笑った。言ってることはものすごく単純なことだけれど、面白さは「朝昼夜となく」の措辞である。臆面もなく言い切ったところがいい。この「朝昼夜となく」というのは、一句になすときの言葉の発見だと思う。「四六時中」とか「のべつまくなし」とかだったら、平凡な言い方で俳句が薄っぺらになってしまうが、この「朝昼夜となく」は、太り方の充実度がわかるというものである。だって「朝」も「昼」も「夜」もなんだから。作者は太っていく芋虫をすこし呆れながらも、その旺盛にして見事な生命力を賛嘆しているのだ。凄いもんだって。

 枝垂れ咲くもののこぼれて秋半ば

この句も好きである。「枝垂れ咲くもの」ってなに? 萩かなとも思ったがそう言わないところがいい。萩のみにあらずだ。「枝垂れ咲くもののこぼれて」とまず情景をよみ、そして下五で「秋半ば」としたこの叙法が巧みだと思う。「秋半ば」という、秋に寄せる感慨をもって作者は、枝垂れ咲くものがこぼれ落ちる途上に佇んでいる。枝垂れ咲いているものがはらはらとこぼれ落ちる、そのことに作者は秋をしみじみと思うのだ。秋ならではの情趣にみちた美しい一句だと思う。ほかに〈萩の風橋の名読むに膝を折り〉というこちらは萩を詠んだ句もあり、好きな句である。「膝を折り」がいい。〈せせらぎの鈴振るごとし秋澄めり〉という秋の句も好き。作者は秋がすきなお方なのかもしれない。
 
 竹の子の猫背のままに掘り出され

この句もシンプルな一句だ。けれどなんだか、竹の子が動物めいて可愛らしい。曲がって歪曲した竹の子が掘り出されたのだ。のびのびとはしておりず、背中をまるめるようにして小さく屈まっている。地中のあたたかさから掘り出され外気にふれて身をちぢめたまま、という感じでもあるのかな。なんだか愛しくなってしまう。竹の子の価値としては今一つとなるだろうか。わたしだったらあえてこの「竹の子」を貰いうけたいな。そして抱いて帰りたい。尖ってまっすぐな竹の子より、そのまるい猫背をなでてやりたいって思うだろう。この句、「竹の子」の表記だからいいけど、「筍」だったら、感触がまた全然ちがってくるかも。可愛いって思えるかしら。ああ、やっぱりこの句は「竹の子」じゃなくちゃダメだ。


『光のなかへ』は、平成八年から令和三年までの「狩」及び「香雨」に掲載された作品を中心に三百四十二句を選んで収めた初めての句集です。
日本語を学ぶ留学生の「俳句って何ですか」という質問がきっかけで始めた俳句ですが、句会や吟行を通して句を詠む楽しみを覚え忽ち魅了されてしまいました。一時、俳句から離れた時期がありましたが再び学ぶ機会をいただき、以前にもまして俳句の奥深さを実感するようになりました。そこで、これまでの作品を纏めて一区切りとし、今後の糧にしたく刊行することに致しました。
このたびこうして句集を上梓できますのも、偏に鷹羽狩行先生、片山由美子先生、そして、毎月の句会で俳句に関わる多くをご指導いただきました亡き髙崎武義先生のお蔭と深く感謝し衷心より御礼申し上げます。本当に有難うございました。

「あとがき」を抜粋して紹介。


この美しい一冊の装幀は、君嶋真理子さん。


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金箔文字が上品である。


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透明感のある見返し。


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淡いブルーの表紙。


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扉。

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花切れは紺と白のツートン。


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栞紐はブルー。


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 みづからの光のなかへ銀杏散る


間もなく、髙崎武義先生の一周忌である。その前に句集を刊行したいというのが菰田さんの希望であった。泉下の先生もお喜びくださることと思う。
第一句集刊行を機に、ますます輝かれることを願うばかりである。(序・片山由美子)



句集上梓後のお気持ちをうかがった。

●感想
(1)本が出来上がってお手元に届いたときのお気持ちはいかがでしたか?
見本の二冊を手にした時は少し手が震えましたが、漸く句集を上梓したことを実感しました。
発表したら句は作者から離れると聞いていましたので、不安ながらも子供を旅立たせるような不思議な気持ちでした。

(2)初めての句集に籠めたお気持ちがあればお聞かせ下さい
二十数年ただただ詠み溜めた句を一度きちんと見直し、形にしたいと思い取り掛かりました。
先生や句友に恵まれ、楽しく充実した句会で生まれた句を残せるのは本当に幸せなことと思います。

(3)句集を上梓されて、今後の句作への思いなどございましたらお聞かせ下さい。
出会いを大切にしながら、まだ詠んだことのない季語にも取り組んでみたいと思います。





「ひとつひとつ丁寧に物事を進められ、毎回心のこもったメールを頂きました。
ご自身の作品をとても大切にされているんだなと思いました。
季語をひとつひとつ味わいながら作品にされていると感じました。」

と、担当のPさん。


 手袋をなじます指を深く組み    菰田 晶


    




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コピーをしようと思って窓辺に行ったところ、「レストランなかむら」の屋根はすっかりなくなっていた。

ショベルカーが無心に働いていた。










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by fragie777 | 2022-09-30 20:12 | Comments(0)


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