ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko

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詩篇のごとき遺言書

9月21日(水)  旧暦8月26日


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神代植物園の萩のアーチ。

萩のアーチなんて、素敵でしょう。



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人はやってきて、かならずここをくぐっていく。

わたしはくぐってみたり、外側に立ってみたり、まわりを歩いてみたりして、萩の花を楽しむ。


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ずっといたいな、、って思った。


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わたしは編集者になってから変わらずに編集ノートを愛用している。
と言っても多分におおざっぱな人間であるので、記述も書いたり書かなくたりでそのずぼらさに自分でも呆れることがある。しかし、ノートは大事である。ふらんす堂の他のスタッフたちは、スラッグというパソコン上での編集ソフト(?)をもっぱら活用していて、わたしもそれを使うことは使っているのだが、共通次項を確認しあうといった程度で、どうしてもノートという物は手放せない。このスラッグを有効活用すれば、ノートは不要となる、ことはわかっていてもアナログ的なものに固執する自分がいることは否めない。


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目下愛用のノート。大学ノートを使用していた時期もあるがいまはこれ。


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こんな感じで記しているのだが、(汚いからあんまり見ないでね。)今日は大失敗をしてしまった。
ある俳人の方から、ゲラと一緒に必要事項をかいた手紙をもらった。大事なことなので、ノートにその手紙をはりつけた。(こうすればなくすことはないな)と。そして今日その手紙を確認しようと、該当ページを開いたのであるが、それがない。あらら、どうしたことか。ちゃんと貼ったのに。わたしは焦ってほかの頁なども確認したのだが、ない。ここで自分を信じればいいのだが、どうも自分を信じ切れないところがあって、その方にお詫びのメールを送り、もう一度教えてもらうことにした。その方はこころよくすぐにおしえてくださった。ホッとしつつ、ノートをふたたび開いたところ、その手紙がちゃんとあるではないか。ややっ!!どうしたことか。
どうしてこうなるのか。。わけがわからん。ふと冷静になってノートをもう一度めくったりしたところ、なんということか、わたしは同じ項目をふたつ作成していたのだった。あーあ。ため息がでた。
ノートはやめて、スラッグ活用に移行しようか、どうしようか、迷っている。







新刊紹介をしたい。


熊谷蓬山句集『数珠子』(じゅずこ)


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四六判ハードカバー装帯有り 174頁 二句組


著者の熊谷蓬山(くまがえ・ほうざん)さんは、昭和21年(1946)福岡県生まれ、現在は福岡市在住。平成14年(2002)に職場俳句同好会に参加したのをきっかけに俳句をはじめる。平成19年(2007)「未来図」入会、鍵和田秞子に師事。平成28年(2016)第1句集『玉せせり』を上梓。現在は「花鶏」(野中亮介主宰)、「天晴」(津久井紀代主宰)会員。俳人協会会員である。
 


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 此の道に早稲の残り香あまねしや

所属の結社誌が終刊して二年が過ぎた。
終刊までに投稿した句稿を整理し、御指導頂いた故鍵和田秞子先生への
感謝を込め、句集上梓を決めた。
特に大事にしたい一つの区切りである。(著者)

帯にしるされた俳句と言葉である。

「早稲の残り香」とは、師・鍵和田秞子の代表句である〈未来図は直線多し早稲の花〉へ捧げられた一句である。師への感謝をこめつつ、さらに新しい出発への思いをこめた一句だ。亡き師の恩寵に満たされつつ俳句のこれからの道を歩んでいこうとしている作者である。
本句集は、これまでの総括としての句集上梓となった。

句集名のは、「数珠子」はオタマジャクシのこと。

 数珠子の尾消えて芭蕉に忍者説

に拠る。



本句集の担当は、文己さん。好きな句を紹介したい。

 卒業や下宿一間を磨き上げ
 梅雨兆す時刻表なき渡し舟
 秋気澄む遺構となりし風車小屋
 教卓に冬日の温み青邨忌
 此の道に早稲の残り香あまねしや



 教卓に冬日の温み青邨忌

わたしもこの句は好きな一句である。「教卓に冬日の温み」というこの感触は、身におぼえのあるものだ。やや古ぼけた教卓の木の匂い、窓からさしこむ冬のあたたかな日差し、なつかしい景がよびおこされる。「教卓」も「冬日の温み」も山口青邨にふさわしい。教育者としての青邨、厳しい一徹さのなかのあたたかさ、冬日のあたたかさがもっとも似合う俳人である。このブログでもかつて書いたことがあるが、青邨宅におじゃまをしたときに肌をあらわなタンクトップ姿でのりこんだわたしに、持っていた上着を着なさいとつよくおっしゃり、わたしは仕方なく着たことを覚えている。青邨宅を辞するときも玄関の外まで来られて見送ってくださったのだった。青邨の目がとどかないところでわたしはジャケットを脱いでふたたびタンクトップ姿にもどったのだけれど。(ごめんなさい、青邨先生。)この時に、山口青邨の教育者としての清潔な姿勢と、人としてのあたたかさを心から感じたのだった。わすれられない思い出である。

 風花や詩篇のごとき遺言書

これはわたしの好きな一句である。「詩篇のごとき遺言書」というフレーズがいい。この「詩篇」であるが、わたしは即、聖書における「詩篇」を思い起こしたのであるが、これはそうとは限らず、詩のように美しい言葉で書かれた遺言書であるとも考えられる。むしろ、その方が一般的なのかもしれない。聖書の「詩篇」ととらえれば、それは一つの祈りのような遺言書とも理解できる。残されたものたちへの祈りのような遺言書というのも、故人の思いが切実でいい。もしわたしが遺言書を記すとしたら、そう後者のようなものがいいと思う。しかし、余談ながら厳密にいえば、聖書の詩篇は、一般的な祈りにとどまらず、神へ、それも唯一の絶対者なる神へ向けられた祈りではあるが。この句「風花」の季語がいいと思う。この季語によって、遺言書の内容が物質的なことがらであるよりも、精神性のあるもの、そんなことを思わせる「風花」の季語ではないだろうか。

 母許や風呂敷下げて初電車

著者が自選であげておられる一句である。「母許(ははがり)」という言葉がいい。「許」が使われることによって、単なる物理的な「元」ではなく、もうすこし心情がこめられた「許」であり、その一字によって母への思いが伝わってくる。「許」はいうまでもなく、「ゆるす」であり、「まかせる」「あずかる」「恃む」などの意味もある。風呂敷をさげて母のところに行く作者のやや甘えた作者の心情もみえてくる。風呂敷には何がはいっているのだろうか。「初電車」であるから、新年の挨拶に行くわけで、なにか新年らしいもの、なんだろうか、母の好きなものが入っているのだろう。この一句にある軽快なテンポのリズムが、作者のはやるこころを表している。帰りの風呂敷にはきっと母が用意したおみやげが包まれていることだろう。

 自分史に虚構を少し猿酒

この句、季語の「猿酒(ましらざけ)」が面白いと思った。「自分史に虚構を少し」という措辞は、よくあるものかもしれない。しかし、「猿酒」である。わたしは、猿酒って飲んだことはない。調べたところによると、「サルが山中の木のうろや岩の凹(くぼ)みなどに蓄えておいた木の実や果実が、雨や露などと混じり合って自然に熟し、数日の間に発酵して酒ようのものに変化したもの。 ましら酒ともいい、味はたいへんに甘美といわれ、猟師や木こりなどが探し求めて飲むといわれた。」とある。つまりは簡単に手にはいるものではなく、誰でもが飲める酒ではないようだ。自分史に加えた「虚構」が、「少し」であっても、結構飛躍の多いオーバーな、ちょっと「眉唾もの」なのかしら。「猿酒」という季語によってなんだかそんな風に思えてしまったのだけど、穿った見方だったらごめんなさい。しかし、まぼろしの酒を手にしたことによって、筆がはしってしまったということはある。

校正スタッフの幸香さんは、「〈寒鰤や潮の磨く勇み肌〉に特に惹かれました。」と。


所属する「未来図」の終刊が予告された時、俳句人生の大きな転機を感じた。その表れが帰郷となった。首都圏を離れた生活拠点としては五十年振りである。時恰も、新型感染症パンデミックの始まりで、今に至るまで句会の様相が変化した。連衆との直の句会吟行が出来ないのは空虚な気分である。そのような折、今までの句稿を整理することを思い立ち、そして第一句集以降終刊までの五年間の作品に絞り、来し方を顧みた。拙い句であるが、自分なりに心血を注いできた「未来図」への区切りとしたい。



「あとがき」を抜粋して紹介した。



装幀は、君嶋真理子さん。

著者の熊谷蓬山さんには、装幀へのご希望があった。

「数珠子」を一匹のみを装画にという。


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オタマジャクシを背景に、句集名をツヤ消しの金箔で。


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表紙。

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色は紺にこだわられた。


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紺の花布。


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栞紐は、グレー。


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シンプルで清潔な1冊となった。


熊谷蓬山さんより、句集上梓の感想をいただいた。


句集「数珠子」を上梓して
「俳人の本質はすべて第一句集にある」と言われる一方で、「句集を出す毎に成長脱皮が無ければならない」とも言われる。今回の「数珠子」は第二句集であるが、作者の気持ちは全く第一句集の延長線上にある。進歩しなかったということかも知れないが、それは作者の分際であろう。ただ明らかに違ったことがある。それは選句の態度である。第一句集の場合は、なるべく残したいと思ったのに対して、今回はなるべく落そうとしたことであった。ボーダーライン上の句が多いのは当然だが、そこを迷わず切り捨てて行き、句集として考えている最低数にまで絞り込んだ。
俳句の基本を学んだ「未来図」が終刊するというアクシデントのため、区切りの一書となったが、俳句生活の環境が変わっても、自分としては愚直に自然体として「我がスタイル」を貫くしかない。その中で、少しでも趣の違う作品が出来たらと期待はしているが、それは目指すものではなく、作者の人格の高まり、視野の拡がり(この歳ではあるが)とともに自然と醸し出される恩寵というようなものであろう。このところ少しではあるが「軽み」という創作的態度に関心が出てきている。我ながら、第三句集が楽しみである。




見本をお送りした時には「上品な装丁に仕上がっていて大変満足しています。」とのこと。
入稿時から句集刊行のイメージがきっちりと固まっていらっしゃって装丁も、熊谷様のイメージを具現化する形で君嶋さんにデザインをして貰いました。校正にも熊谷さまには迅速にご対応いただきました。

担当の文己さんのコメントである。



熊谷蓬山さま。
第二句集のご上梓おめでとうございます。
第三句集をめざしてご健吟をお祈り申し上げております。







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by fragie777 | 2022-09-21 20:39 | Comments(0)


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