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9月20日(月) 彼岸入 旧暦8月25日
溝萩。 地味な花だが、こうしてアップにしてみるときれいだ。 神代水生植物園には、こんな感じであちらこちらに溝萩がさいている。 新聞記事を紹介したい。 15日づけの讀賣新聞の長谷川櫂さんによる「四季」に、田口茉於句集『付箋』 より一句が紹介されている。 朝顔や疲れて眠る人愛す 田口茉於 17日の同じく長谷川櫂さんによる「四季」は、山田牧句集『青き方舟』 より。 ゆつくりとナイフ滑らせラ・フランス 山田 牧 いまの季節は、洋梨がおいしいって思う。洋梨はラ・フランスばがりではないけれど、ラ・フランスはその代表的なものだ。わたしが洋梨をはじめて食べたのも、ラ・フランスである。いまはいろなんな種類の洋梨をヨーグルトにいれて食べている。 新刊紹介をしたい。 杉口麗泉(すぎぐち・れいせん)さんの第四句集である。杉口麗泉さんは、昭和22年(1947)大阪生まれ、現在も大阪・吹田市在住である。昭和55年(1980)俳誌「南風」により俳句をはじめ、平成6年(1994)俳誌「幡」入会、平成18年(2006)幡賞受賞。句集に『力草』(1997刊)、『宅配便』(2006刊)、『金色童子』(2014刊) がある。「幡」星辰集作家 俳人協会会員。本句集は、平成26年(2014)から令和3年(2021)までを収録した第四句集となる。 本句集の特色は、本文にふんだんにあしらわれたカラー写真である。 これはご主人が撮影したものをできるだけ俳句にあわせて配置したものである。 ご本人のみならず、ご家族でもたのしめる1冊となった。 頁をひらけば、写真から俳句から思い出がたちのぼってくる、そんな1冊である。 コスモスのポルカや風の強き日は あるいは、 学僧に似て青梅の色・形 いくつか紹介をしてみたが、それぞれが著者やご家族にとっても思い出のある頁となっていることと思うし、また読者にとっても写真を楽しみながら俳句をたのしむという1冊になっていると思う。 本句集の担当は、文己さん。 さらさらと春をゆかせる砂時計 芭蕉忌のしぐれの色の近江かな 癒え初めし身にやはらかき柿日和 夫許しポインセチアを抱き帰る 探梅の父母の墓まで来てゐたり 爽やかや線引くのみの幼の絵 蜷覚めよ風やはらかくなりにけり ふらここを漕ぐ少年は魚のごと さらさらと春をゆかせる砂時計 最近わたしは砂時計をAmazonで購入した。お店で買おうとしたのだが、雑貨屋さんにもはや砂時計なるものは置いてないのだと何軒かまわって気づかされた。Amazonでもイメージしたものは少なく、それでも三分のものと五分のものを購入してみた。三分のものは即届いたが、五分のものはなんと届くのに二週間ほどかかった。砂時計は木造りのものがいい。そしてあとは砂の色である。三分のものは白、五分のものは鮮やかなブルー、どちらも気に入っている。と、余計なことを書いてしまったが、この一句、「春をゆかせる」が上手いと思う。砂時計は上から下へ落ちるものであるので、通常は「ゆかせる」という発想は出てこない。しかし、わたしたちの時間の感覚は上から下へという運動ではなく、過去から未来へというどちらかといえば横軸の感覚である。A点からB点へ行くといったときにイメージするのは横の運動だ。その感覚を上手くいかして砂時計のありようを見ながら「逝く春」を詠み込んだのだ。「さらさら」とゆくのは、「春」が一番似合っていると思う。 芭蕉忌のしぐれの色の近江かな 「しぐれ」には、色があるのだろうか。わたしはこの句に立ち止まりながらはたと思った。作者はそれを近江の景に見いだしたのである。この一句は、芭蕉へのオマージュである。「芭蕉忌」は「しぐれ忌」とも言う。時雨の季節に死んだということのみならず、その俳諧において時雨の意味をふかめた芭蕉を称揚するものとしての「しぐれ忌」でもあると思う。芭蕉忌にあたる今日、近江は時雨が降っている、そんな近江の景色そのものが時雨に濡れて作者の目にひときわに映っている。あるいはしみじみとした景なのかもしれない。芭蕉忌の日の眼前の近江を「しぐれの色」と断定し、芭蕉への思いをさらに深くしているのだ。「しぐれの色」が巧みである。 爽やかや線引くのみの幼の絵 著者も自選句であげている一句だ。よくわかる一句である。幼子は、最初はまず紙に線をひくことからお絵かきがはじまる。横へそろそろ動かしたりして描きはじめ、やがて大胆かつめちゃくちゃに線をひくようになったりする。だから、下手も上手いもない。そんな絵をみて、作者は「爽やかや」と思ったのだ。「爽やか」は秋の季語だ。秋気が清く澄明で快適な季感と歳時記にはある。多分、作者はそこに描かれた線画をみながら、くっきりとした線が気持ち良く、そしてそこになんのはからいもない澄んだものを嗅ぎ取ったのだと思う。この一句「涼しさよ」ではダメかって一瞬おもったのだが、作者は幼子の無私なる心へとも思いを馳せているので、作者の心情が背後にあるものとして「爽やか」なんだと思った次第。 フランスパンちぎるに力山笑ふ これはわたしが面白いと思った一句である。フランスパンをちぎるって、それは力の要ることだと思う。わたしはたいていパン用ナイフで薄切りをして食べる。「フランスパンちぎる」という行為、それは見ている側でも肩に力が入りそうである。囓ってしまった方がはやいと言うもの。春の色で色づきはじめた山をはるかに、フランスパンをえいこらとちぎっている。笑えるし、のどかである。おもわず山も笑ってしまいそう。この一句は、校正の幸香さんも特に惹かれた一句であるということだ。 みしみし抜く歳月の歯や寒の内 わたしも最近一本歯をぬいた。痛かった。歯を抜くという行為は野蛮な行為だって思う。まさに「みしみし」といわせながら歯を抜くのである。それだけ歯は人間の身体にがっちりと組み込まれており本来なら抜いてはいけないものなのだ。だから抜かれる歯は、すさまじく抵抗をする。わたしは歯を抜かれるときその歯の死にものぐるいの抵抗を感じたのだった。この一句、「歳月の歯」が上手い。そうなのよね、長い歳月をしっかりと働いてきて、あげくは肉体から切り離されてしまうという、おおいにかなしむべき出来事だ。大事な歯を失った肉体に、寒の季節の寒さがきりきりと食いこむ。 校正のみおさんは、「〈カーテンで仕切れば個室秋灯〉がとても好きです」と。 句集『ころもがへ』は平成二十六年から令和三年までの作品四九六句を選んでまとめた第四句集です。 句集名の「ころもがへ」は「更紗巻くのみのマネキン更衣」に拠ります。ある日百貨店のマネキンの更衣を見て、一枚の更紗を巻くだけでこのように、エレガントな夏服になるのだと思いうれしくなり、この句が出来ました。芭蕉の「一つ脱いで後に負ひぬ衣がへ」の句が思い出されます。そして第二次世界大戦を越えて来た母の、すべてのものを大切にして、何をするにも工夫をこらし喜びを見つける暮しが、母の人生を豊かにしていたように思われます。未熟なものですが、私もこの大変な世の中で、何よりも平和と命を大切にして生きていきたいと思っています。句仲間の人達や家族のお蔭で、子供達の希望による写真入りの句集を上木することが出来、感謝しています。今はただ一日でも早く世界が平和になり、コロナの流行が終息しますように祈っています。 「あとがき」より抜粋した。 本句集の装釘は、君嶋真理子さん。 ブル-系を望まれた杉口麗泉さんだった。 鶴頸に水仙の葉を捻り活く 百まで生きよ一歳の裸子よ 蜜豆や楽しき刻はすぐに過ぎ いくつか写真と句を紹介した。 スマートで瀟洒な仕上がりとなった。 杉口麗泉さんからは、「予想していた以上のものに仕上がり嬉しいです」というお言葉をいただいている。 この1冊のために写真を提供されたご家族もさぞ喜んでおられることでしょう。 杉口麗泉さま。 前句集『金色童子』にひきつづき、ご縁をいただきましてありがとうございました。
by fragie777
| 2022-09-20 18:57
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