カテゴリ
以前の記事
最新のコメント
検索
画像一覧
|
7月17日(日) 鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす) 旧暦6月19日
雨にぬれたオクラの花。 野菜畑のなかでこの花に会うと少々ギョッとする。 一つ目玉に会う、そんな感じ。 今日の朝日新聞の「風信」に、渡辺誠一郎著『佐藤鬼房の百句』が紹介されている。 著者は「小熊座」編集長。鬼房について「詩想は遥か彼方を遠望するが常」と書く。(ふらんす堂・税込み1650円) せっかく紹介されたので、本書より一句とその鑑賞を紹介しておきたい。夏の句より。 生き死にの死の側ともす落蛍 『地楡』 昭和五十年 死際にある落蛍である。蛍の弱々しく微かな光が、〈死の側〉を照らしている。この句には、「病臥つづく」と前書があるように、落蛍は己自身であろう。生涯宿痾に 苦しんだ鬼房にとって、死の影は日常と背中合わせにあった。落蛍になってなお〈死の側〉を照らし、死を凝視しようとする姿が痛々しい。〈死の側〉に、鬼房は何を見ようとしていたのだろうか。奈落の底、それとも微かな光明であり、救いであったかもしれない。 同じ前書の句、〈薬臭の廊幾曲り梅雨荒し〉。 明日にしようかとも迷ったのだが、今日は、修理が完了した万年筆を新宿のIデパートまでとりに行く。 修理代がこれまたバカにならなかったのだが、ものすごく大切にしている万年筆なので、(それなのにわたしときたら放ってしまってペン先を割ってしまったのだ)修理をお願いしたのだった。修理にだしてから半年以上になるかもしれない。ともかくも万年筆に会えると思うと、やはり嬉しい。万年筆は日常的によく使うのである。 万年筆をうけとった帰り道、その途中にある新宿紀伊國屋書店の詩歌コーナーに立ち寄ることにする。担当の梅崎さんがいらしたらご挨拶をしておきたかったのと、詩歌の棚の状況を見ておきたかったのである。 梅崎さんには会えていろいろと話をうかがうことができた。 詩歌全体としては、短歌と詩がよく動き、俳句も動かないわけではないが、短歌や詩に比べると劣るということである。 詩歌をこよなく愛する梅崎さんは、詩歌の棚をおおきくとってそれはたくさんの詩歌の本を売れるように並べている。 その状況をみただけでも、いかに梅崎さんが詩歌に精通しているか、わかる。 ブログに載せるからということで写真撮影をゆるしてもらった。(ふらんす堂の本が中心となりますが、詩歌の本がいろいろと置かれています) 髙柳克弘句集『涼しき無』はよく動いているということ。 今年度の「田中裕明賞」を受賞された相子智恵さんの句集『呼応』(左右社刊)ももちろんよく動いているということである。 よく目立っていた。 しばらく見渡していると、 「ふらんす堂のyamaokaさんですか」って声をかけられた。 若い男性である。 「はい」と答えると、 「ブログ見てます」って。(嬉しいけどちっと恥ずかしい) わたしと梅崎さんとのやりとりを見ていて、yamaokaっておもったらしい。 「ぼく、K高校で俳句をやってたんです。俳句甲子園にも行きました。いまは浪人中で、勉強の方を優先しているんですが、大学に入ったらまたやろうとおもってます」ということ。 「あら、まあ、そうなんですか。」声をかけてもらったことが嬉しいyamaokaは、すこし立ち話をする。 一枚のみ名刺入れに残っていた名刺をうやうやしく(?)わたして、お名前をうかがい手帳にしるす。Tさんとしておこう。 「小山玄紀さんは、僕の先輩です。こんど句集がでるそうですね。だから楽しみにしてるんです」って。 「頑張ってください。いつかTさんの句集をおつくりさせてくださいね」とわたしはぬかりなく(?)営業をしてお別れしたのだった。 受験勉強をしながらも、こうして詩歌のコーナーにやって来るのだから、俳句がたいへん好きなんだろうなあって思った次第である。 あらためて、今日お目にかかったTさん、受験がんばってくださいませ。 そして、もうひとつでデパートをはしごする。 なにしろコロナ下の状況なので新宿にいくことも控えているのだ。 Kデパートでは、スニーカーを衝動買いする。 黄色のスニーカーが欲しかったのと、割引セールをやっていたのである。 気にいったのがあったので、試着をしようとすると、 「yamaokaさん!」って声をかけられる。 えっ!って声のする方をみると、 わあ、久しぶり! 俳人の藤井あかりさんだ。 藤井あかりさんは、かつてふらんす堂の校正スタッフとして働いてもらっていたことがあり、仲良しだったのだ。 いまは子育て真っ只中だ。 「いやあ、お元気そうね」と挨拶をかわす。 坊やもすっかり大きくなって、〇〇くんって名前を呼んだのだけど、しらんぷりされちゃった。 はにかんでいるのがかわいい。 あかりさん、長かった髪をショートカットにしていた。 お母さんとして頑張ってるんだなあ。。。 ご夫君もおられたので、ご挨拶をして、あかりさんに、 「ふらんす堂に遊びにいらしてね」と言ってお別れしたのだった。 明日にしないで今日新宿に行って良かったな。 会いたい人にも、思いもかけない人にも、はじめての人にも、会えて。 いい休日だった。 衝動買いしたスニーカー。 かわいいでしょ。 こちらは修理した万年筆。 そして、明日もお休みっていうのが、嬉しい。
![]()
by fragie777
| 2022-07-17 21:18
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||