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4月12日(火) 旧暦3月12日
白山吹の花。 いつ見てもいいなあって思う。 そばに咲いていた黄山吹。 こちらもただ明るい花というだけでなく、風情のある花だ。 神代植物園。 この辺はすこし奥まったところである。 「ふらんす堂通信172号」の小野あらたさんの原稿の校正をする。(と言っても、わたしの場合ただ読んでしまうことが多い。校正はほんと向いてないけど、大きなところで大事なことを見つけることもある。としておきたい。) 小野あらたさんはいまお仕事が激務らしい。今回原稿をいただくのもかなり遅くなってしまった。 しかし、いただいた原稿はそのお仕事の大変さをすこしも感じさせない、のほほんとした読み手のこころをのびやかにさせるものだ。ゆるい内容というのではなく、抑えるところはしっかり抑えてあるのだけれど、なんなのだろう、目の凝らし方や心の持っていき方がいいのだ。「毎日精進」というタイトルであるけれど、なかなか奥深いタイトルだと思った。 新刊句集を紹介したい。 と言っても、私家版のものであり、ご本人はこのブログで紹介したとしてもお読みにはならないかもしれない。 が、紹介する。 四六判ペーパーバックスタイル帯なし 124頁 二句組 砥田隆次(とだ・たかつぐ)さんの第4句集である。砥田さんは、1939年(昭和14)島根県松江のお生まれで、現在は姫路市にお住まいである。今年で83歳となられる。 「因達の里(四)」とあるように、この句集は「因達の里」と題した句集の四冊目にあたるものである。1997年(平成9)に第1句集『因達の里』を上梓されてから現在までのほぼ25年間に4冊をふらんす堂から上梓されたのである。 考えてみると砥田さんが、第1句集を上梓されたのは50代後半で、まだそのころは教職につかれていたのだ。 なんと長いおつきあいなのだろうかと思って、わたしは嬉しくなったのである。 「この句集を出そうと思ったのは、自分の生きてきた証として何かを残せたらと思ったからである。この句集は、私が何に心を動かされいたかの記録でもある。」 と第1句集の「あとがき」に書かれているように、この句集は人に読んでもらうことよりもご自身の生活記録を俳句という定型でしたためたものであり、まさに「何に心を動かされたか」が記録されている。たとえば、 お節食べ十一人のカルタとり という句が最初にあるのだが、ああ、砥田さん、にぎやかにお正月をすごされていたんだなあ、という具合。 読んでいくと思わず笑ってしまう事が多く、なんとも心がなごむ句集である。 担当の文己さんが好きな句をまず紹介したい。 春の日にペルシャクルミを拾ひたり 梅雨さ中お茶屋しまるという話梅雨あけにふらんす堂より句集出す 大晦日ガラス戸越しに今年見る 昨日の豆ふくらんで春立つ日 どうです。 「梅雨あけにふらんす堂より句集出す」には文己さんと二人で大笑いをしてしまった。砥田さんは大まじめであるのだけれど。 ただ、25年間もおつきあいをしているのに、わたしは砥田さんのお声を聞いたことがない。 わたしの場合、すべてお手紙かハガキのやりとり。電話がかかってきたこともなければ、こちらでかけることはあえてしていない。いまの時代にちょっとおどろくでしょう。でもそれでこうしてご縁をいただいて4冊も句集をおつくりさせていただいのである。 わたしは、こういうご縁は大切にしたいと思っているのだ。 砥田さんとはそんなふうにしてお会いしたこともなければお声を聞いたこともないのだけれど、わたしは砥田さんのことは知らない方ではないと思う。だって句集に砥田さんをご自身のことを詠んでおられるのだから。 春山を一つ登りて第九聴く いまでも山登りを果敢にされているご様子の砥田さんである。いいなあ、春の山をのぼったあとにベートーヴェンの「第九」を聴くなんて。いい生活をしていらっしゃる。 喜寿の歯は二十八本大晦日 極めて健康体でいらっしゃるのだ。永久歯をほとんどうしなうことなく、新しい年を迎えようとされている喜寿である。 金婚の手巻きいただく秋の夜 ああ、奥さまもお元気でいらして何よりである。 教え子の「ひととき」をよむ赤とんぼ 教え子さんからも慕われておられるようだ。 チェロの音にこころとろろと冬の雨 音楽を聴くことがお好きなようだ。 姉弟と昼餉をとるや山眠る お姉さまも弟君も仲良くご健在だ。 全豪の大坂なおみ優勝す おお、そうか、大坂なおみを応援しておられたのだな。 上弦や哲さん撃たれ十二月 「中村哲さん」と前書きのある一句。 こんな風に、日々の生活や心が何に動いたかを俳句によって報告をされているのだ。それはあくまで自身のためであり、またご自身のお身内の人へ残しておきたいというささやかなお気持ちから発しているものなのである。だからあくまで「私家版」ということを固持されているのだ。 新型コロナウイルス感染者が日本では少なくなっているが、世界では感染者が二億四六〇八万人、死者は四九九万人。 毎朝、八丈岩山(一七二m)の山頂でラジオ体操を十人余でしている。姫路城を見おろし、明石海峡大橋を見る。大鳴門橋も見えることがある。北には雪彦山も眺められる。 この時季には鷹が舞い上り、方角が決まるとスピードをあげて消えて行く。 今年は木犀の開花が二十日程遅れ、今が盛りとなっている。気候変動の一つと思われる。 今日は衆院選があり、夕方に行くと松虫が鳴いていた。昼は草ひばりを聞いた。 朝寒、夜寒の候となり、明日から霜月。 五年間の句を『因達の里(四)』としてふらんす堂のお世話になり、出すことができたことは人生の句切りとして、うれしいかぎりです。 「あとがき」を紹介した。 毎朝、山のぼりをされてそこでお仲間とラジオ体操をする。 良き暮らしである。 担当に文己さんとさきほど、この句集『因達の里(四)』の話をしながら、「なんかいいですよねえ、読んでいてまったりしてきます」と文己さん。わたしも「本当に、いいわねええ。和んで癒やされてしまうわー」と。 ブックデザインもご本人の希望通りに毎回君嶋真理子さんが担当。 タイトルはご本人の題簽。 色は紺。 今回は、やや明るい紺に、というのがご希望だった。 扉。 イイギリの実越しに見ゆる雪彦山 飯桐の鮮やかな赤い実の向こうに見える山。砥田さんがほぼ毎日のように眺めている山である。 雪彦山なんていう名前も素敵だ。 第1句集から今回の第4句集まで並べてみた。 昨日の豆ふくらんで春立つ日 文己さんも好きだと言っていた句であるが、わたしも好きな句である。 ふっくらとあたたかな砥田隆次さんの日常が感じられる一句である。 砥田隆次さんは、多分このブログはお読みにならないとおもうが、 砥田隆次さまの更なるご健勝をお祈りもうしあげたいと思う。 そして、25年間のご縁に感謝するとともに、さらに第5句集へむけてのご健吟をお祈りもうしあげたい。 わが家のカーテン越しの美女。。。。
by fragie777
| 2022-04-12 19:14
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