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4月1日(金) エイプリルフール 旧暦3月1日
仙川の一角にある安藤タウンに咲いていた桃の花。 ここには美味しい洋菓子店があって、立ち寄ったのだった。 3月もあっという間におわり、4月となってしまった。 花冷えの一日となった。 かなり寒い。 革ジャンのコートを着てドアを開けたのだが、すこし心許なくムートンに着替えて家を出た。 正解である。 15年以上も着古しているものだが、重宝している。 俳人の藤本夕衣さんからお電話をいただいた。 お祖母さまで俳人の加藤喜代子さんが亡くなられたというご連絡だった。 静かに息を引き取られたということである。 加藤喜代子さんは、大正13年(1924)生まれ、享年98。 加藤喜代子さんをふらんす堂に紹介下さったのは、田中裕明さん。 俳誌「青」で波多野爽波に学び、「青」終刊後は、「ゆう」で田中さんのもとで俳句を学んだ方である。 第1句集『聖木曜』は田中裕明さんが選をして序文を寄せている。 そして加藤喜代子さんは、藤本夕衣さんを俳句に導いた方でもある。 ほっそりしておられたが、凛とした佇まいの品格のあるお方だった。 1997年に第1句集を上梓されたときは、新宿の喫茶点でお会いして打ち合わせをした。 新宿の雑踏にいらしていただいたことが申し訳ないような気持ちになったのを覚えている。 ご本人の気持ちとは関係なく、新宿という町の雑駁さに決してまじわることのないお人であると私は思ったのだった。 「表紙の布の色は、紫ではなく小豆色にしてください」とはっきりとしたご希望をおっしゃられたことが印象的だった。 加藤喜代子さんの俳句には深いまなざし、深いおもいがある。句会の場で、あるいは誌上で読んで、それに常に感じていたのだが、今回、句集の原稿で「青」に投句をはじめられた昭和四十九年頃の句に接して、いよいよ確信を深めた。 という書きだしで、『聖木曜』の序文ははじまる。そして第2句集は『霜天』は、田中裕明逝去の翌年の2005年に上梓されたのだった。 俳誌「ゆう」の誌上で田中裕明によって書かれた「『ゆう』の言葉」を栞として。 「青」が終刊になった後、「ゆう」の前身とも言える水無瀬野句会でご指導を受けるようになりました。裕明先生のもとで学ぶことが出来ますのは私の大きい喜びでした。鎌倉に参りましてからもなんとしても続けたくて、月に一度だけ日帰りで京都に通ったのですが、それはこの十一年間の私の生活の大きい支えになっておりました。お志の高い方でいらっしゃいましたのに、失われた裕明先生が惜しまれてなりません。 「あとがき」に書かれた加藤喜代子さんであるが、毎月京都に日帰りで通い、それを11年間も続けて来られたのである。 大切な師を失ったこころの落胆はいかばかりであったろうか。 その後、孫にあたられる藤本夕衣さんが田中裕明さんのもとで俳句をはじめるようになって大変喜ばれた加藤喜代子さんだった。 わたしは、藤本夕衣さんを思うとかならずといってよいほど加藤喜代子さんのことを思う。 加藤喜代子さんの俳句への思いは、藤本夕衣さん引き継がれたのだ。 『霜天』は、裕明先生亡きあとの淋しさをわかちあいつつ、 京都のホテルに二人で泊まり込んで、句稿をまとめましたこと、昨日のことのように鮮明に思い出します。 藤本夕衣さんからのメールである。 二冊の句集から作品を数句紹介して、加藤喜代子さんを偲びたい。 下萌やいつも小さき兄の墓 踊らぬ子手に貝殻を握りゐる まづ顔を拭かれてをりぬ雛の客 水澄みてそなたとありし父のふみ やはらかや聖木曜の夜の道 桜の木ひかりそめたり十二月 鶯や米原の町濡れやすく 秋の晴子規に子どもの声聞こゆ 空の端入れて読書や稲の花 第1句集『聖木曜』(左)と第2句集『霜天』 敬虔なカトリック信者でいらした加藤喜代子さんである。 今日は午後より一人お客さまが見えられた。 福島県いわき市から少し前に詩集『華化粧』を上梓された田中佑季明さんである。 ご上京のついでがあって仙川にも足をのばしてくださったのだ。 担当の文己さんもおめにかかるのははじめて。 旺盛な文筆家でいらして、今回の詩集『華化粧』のみならず、同時に随筆集『生きる』も上梓されておられる。 これまでにも多くの著書をおもちである。 「本当に綺麗な本をつくってもらいました。どこへ行っても褒められます」と開口一番おっしゃってくださった。 田中佑季明氏。 お姉さまは詩人の田中佐知、お母さまは作家の田中志津。 田中佐知さんはすでにご逝去、田中志津さんは、105歳となられて療養中であるとのこと。 物書きのご一家である。 「今は小説を書いております。50枚くらいまでいきましたが、多分100枚くらいになりそうです」と田中佑季明さん。 「今のうちにできることはしておきたいと思っております」と力強く言われたのだった。
by fragie777
| 2022-04-01 18:54
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