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11月6日(土) 旧暦10月2日
明日は立冬。 今年最後の秋の日となる。 青空の下、ひときわ石蕗の花がきれいだった。 石蕗の花。 今日は千代田区の竹橋にある国立近代美術館に行く。 柳宋悦(やなぎ・むねよし)没後60年を記念して特別展をやっているのだ。 ちょうどBSプレミアムの番組「美の壺」で思想家・柳宋悦の特集をを見たこともあって、興味を持ったのである。 柳宗悦の没後60年に開催される本展覧会は、各地の民藝のコレクションから選りすぐった陶磁器、染織、木工、蓑、ざるなどの暮らしの道具類や大津絵といった民画のコレクションとともに出版物、写真、映像などの同時代資料を展示し、総点数400点を超える作品と資料を通して、民藝とその内外に広がる社会、歴史や経済を浮かび上がらせます。 とあり、柳たちを中心に展開された民芸運動をさまざまな角度から照射し、浮き彫りにしようというもの。 柳宋悦は「白樺派」から出発し、文学運動を超えて日本全国を制覇する芸術運動へと発展させていく。 そもそも「民芸とは何か」。 今日は、陶器、椅子、箪笥、織物、竹細工などなどたくさんの展示を見たが、どれも人間の手による丹念な仕事なのである。 わたし個人はというかわたしの世代は、手仕事によって作られたさまざまなものに囲まれて今日まで生活をしてきた人間のひとりだが、21世紀はその手仕事による物が生活の中で失われようとしている。着物はすでに贅沢品となり、暮らしの日常から姿を消しつつある。沖縄紅型(おきなわびんがた)が、すでにその需要を失いつつあり、いまでは生産が難しくなっていることを知り、驚いた。呉服屋が実家なので、沖縄紅型は良く目にしていたし、目もくらむような鮮やかな色彩は一度目にしたら忘れられないものだ。そういう美しいものが、過去のものとなりつつある、ということ。 日本の「民芸」がどういう形でこれから生き残っていくのか。 展示をみながら思ったのだった。 それは本づくりにも言えることで日本の伝統的な製本技術をどのようにして残していくか。 「美」は経験しなければ、伝えることができない。 と、わたしは思っている。 見る、味わう、触る、感じる、それらが経験だ。 日常生活のなかで美なるものを経験することが大切だと思うが、すでに美なるものが美術館に行かなければ見られなくなりつつある、というのでは、哀しい。新しい時代へあるいは新しい世紀へ、「美=人間の手仕事によって生まれたもの」をどう伝えて行くか、わたしはそのことをときどき思ったりするのである。 柳宋悦の書斎。(写真撮影可) 柳宋悦は、思想家であるとともあくなき美の追求者であった。 彼が優れているのは、その「美」を生み出す人間のこと、そしてそれを享受する人間のことを常に考えていたこと、彼らがどう生きてどう生活の糧を得ていけばよいか、生み出す側も消費する側も「民衆である」という視点にたち、「民衆の、民衆による、民衆のための工芸」であるという理念に基づいて運動をすすめていったことだ。 とても興味深い記念展覧会だったと思う。 国立近代美術館の相向かいは皇居である、 松が見事だ。 展示を見終えたときは、すでに夕方近くなっていた。 この土地の雀。 今日の毎日新聞の坪内稔典さんによる「季語刻々」は、金子敦句集『シーグラス』より。 行く秋の古書店街の匂ひかな 金子 敦 坪内さんは、「現在もネットで古書を探すことが多い。でも古書や古書街の匂いは好きではない。郷愁もない」と書かれていて、ちょっと予想に反した。お好きなのでは、、、と思っていたのだ。わたしは好きだな。昔の本は表紙貼りに「膠(にかわ)」を使っていてその匂いがすることがある。いまはこの膠をつかう製本屋さんは少なくなった。もっと簡単に貼れる糊があるからだ。しかし、実はこの膠による製本も一種、手仕事になる。そしていまでもこの膠を用いている製本屋さんはある。ふらんす堂の本づくりでは膠を用いて製本をしてもらうこともある。かなり前のことになるが、本を納品したときに「匂いがする、ほかの本ではしないのに」という苦情をお客さまからいただいたことがあった。私たちは慣れてしまっていたので、そう言われて驚き製本屋さんに問い合わせたところ、「膠の匂いなんです」と言われたのだった。この製本屋さんは手製本による丁寧な仕事をしてくれたところである。長々と書いてしまったが、古書店などにいくとたぶんこの膠の匂いも黴の匂いに交じって古書の匂いに一役買っていると思う。開架式図書館などにいってもこの匂いはする。そして、わたしはとても好きな匂いなのである。 金子敦さんはどうなのかなあ。。。 桜紅葉。
by fragie777
| 2021-11-06 21:47
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Comments(2)
「季語刻々」に掲載された句をご紹介いただき、どうもありがとうございます! 僕は、古書や古書店街の匂いが好きなので、yamaokaさんと同じくちょっとびっくりしました。好きではない匂いにも関わらず取り上げていただき感激です。稔典さん、優しいですね~♪
「行く秋にはワインを、という気分」にも同感です!(^^)
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