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11月2日(火) 楓蔦黄(もみじつたきばむ) 旧暦9月27日
枯れてゆく藤袴(フジバカマ) 花時よりもいっそうはなやかな色をみせる。 神代水生植物園。 燃えるように枯れていくものもある。 ちょっと今韓国ドラマで夢中になっているものがあって、昨日は遅くまでそれを見ていたら午前2時をまわってしまった。 (もうダメ! yamaoka これ以上は見るな!)って自分に言い聞かせてiPhoneをどうにか身体から離したのだった。病院もので、わたしは通常は絶対見ないジャンルなのだけど、それに素晴らしいイケメンがでるわけでもなく、(だが役者は素晴らしいということは言っておく)手術の生々しい場面も多く、日本と違って韓国はかなり血をみせて直視できなような場面が続くのだが、そこんとこは手で目をおさえてやりすごすのであるが、それにしてもすごく面白い。最近あまり面白いドラマがなくて、まあ、ほかにもハマッているものはあるけど、手応えがあって面白いというのに飢えていたので、夜更かしをつづけてしまった。主演のハン・ソッキュという役者は名優というにはまだ若いかもしれないが、やはりいい役者だとつくづく思う。映画「シュリ」(1999年)にはじまっていろんなドラマなどを見てきたが、間合いがうまく引きがあり不思議な存在感を醸し出す。 多分今夜も見ちゃうんだろうなあ。。。。。 ああ、でも明日はお休みだった。 ![]() 新刊紹介をしたい。 菊判変型ハードカバー装 230頁 二句組 河内文雄(こうち・ふみお)さんの第1句集『美知加計』(みちかけ)につぐ、第2句集である。河内文雄さんは、昭和24年(1949)岐阜県飛騨高山生まれ、平成28年(2016)「銀化」入会。現在、「銀化」同人。俳人協会会員。本句集には、中原道夫主宰が、帯文を寄せている。 作者は呼吸器内科という、今まさにコロナ禍という一瞬たりとも気の抜けない、緊迫の最前線に身を置く。そんな状況下にありながら、僅か二年で第二句集という超人的な作家活動も塾す。俳句を忙殺される本業のシェルターなど甘くは考えてはいない。 念力の通過手間取る網戸かな むしろ仕事と創作という両輪の均衡が、既に抜き差しならぬトポフィリアTopophillia「場所への愛」を作り上げてしまったようだ。 しかし、これからの道程、そこを安住の地にしてはならぬのかも知れぬ。 帯文にもあるように、この句集は第1句集上梓から二年後のものである。 そのエネルギーたるやなどと、ここで驚いてはいられないのである。「あとがき」によると、すでに第3句集、第4句集、第5句集までの句稿をまとめておられ、その句集名もつけられているということ。 なりわいの医業も大変お忙しい様子である。 さて、本句集の担当は前句集に引きつづき文己さん。 手のひらの雪に聴きをり雪のこと 龍太忌の雨を追ひ越す雨なるや 春田から飛び立つものの影を見ず 髪洗ふ逢ふべき人に遇へぬまま その奥に白き道あり夏の果 文己さんの好きな句を紹介したが、全体的には機知に富んだ俳諧味のある句が目立つなか、文己さんは詩情を感じさせるものが好きとみた。 わたしの好きな句とだぶるので、それを紹介したい。 手のひらの雪に聴きをり雪のこと たちまちに溶けてしまうような手のひらの雪である。何を聞こうというのだ。雪のことだという。雪を見つめているのではなく、耳をそばだてて雪に話しかけているのだ。いや話しかけているのではなく、雪からの伝言を待っているのだ。たとえば大きな男の人が雪が降る中を立ち尽くし手のひらを天にむけ、落ちてくる雪を舞っている。一片の雪が手に止まった。それをじいっと見つめているその姿はまるで雪と対話をしているかのよう。そんな絵が描かれた童話の世界の出来事が展開しているかのようなメルヘン的な気持ちにさせられる一句である。絶え間なく降り続く数億の雪片。しかし、雪の事を知るには手のひらの一片だけで十分なのである。わたしたちはまだ子ども時代の魔法の力を失っていなければ、であるが。 春田から飛び立つものの影を見ず この句も面白い一句であり、春田だったらそういうこともあるかもしれないと思わせる一句だ。春の大気は水分をたっぷり含んでいて、やや茫洋としている。人間の心も冬の厳しい寒さから解放されていい感じにゆるんでいる。春の田圃から何かが飛び立った。ゆったりとした気分でいたときなので、その音に驚いてそちらの方を見る、何かが飛び立ったのだ、多分鳥の類いであろう。しかし、あまりにも素早いその動きに心がおいつけす、その気配のみを残して、すでに飛び去ってしまったのである。何かが飛び立ったが、「影を見ず」でそのものの実態が何であるかは分からないのだ。「影を見ず」の措辞がこの一句に詩情と奥行を与えている。 その奥に白き道あり夏の果 比較的明確で諧謔に富んだ句群のなかに時としてこういう句がおかれている。「その奥」とはどこか、作者はそれを明らかにしていない。ある地点に立っている作者が見えて来る。これから進もうとしているのだろう。そこが白く光った道に見えている。と書くとそれだけのことなのだが、この一句なんだかとても意味深に思えてくるのだ。下五に「夏の果」がおかれることによって、あたかも「夏の果」のその先に白い道があるかのように、空間的にな「その奥」のみならず、それは時間的な「その奥」であるかのようにも思えて一挙にシュールな世界が見えてくるのだ。あるいは、やや疲れた心身の作者が見える、そして目の前の先にある白い道は作者を招いているようであり、白い光を発する道ゆえに作者の心を癒し潤してくれる一本の道(宗教的に言えば真理の道?!言い過ぎか。。)にも思えてくる。重い足取りながらはやり歩いて行こう、と決心した。 この句は校正スタッフの幸香さんも好きな一句ということだ。 ほかに「髪洗ふ逢ふべき人に遇へぬまま」も好きな句である。 以下は作者の自選句より数句。 短夜のほぼ雑音の子守歌 放埒(はうらつ)や縦に寝そべる雲の峰 鶏頭の十六本目隠れけり 白菜の大きな面をしてやがる (略)科学においても芸術においても、もっとも評価されるものはオリジナリティです。多くの先人は、骨身を削って自己の独自性を追求して来ました。もしかすると私の追い求めるべきオリジナリティは、この科学と芸術の重層性の延長線上にあるのではないか? 私の句作の旅は、この仮説を立証する道程でもあります。 第一句集は、月ごとに纏めた体裁から、主宰が月の満ち欠けに因み万葉仮名で「美知加計」と名付けてくださいました。 師恩忘るべからず、それ以後の句集は、万葉仮名の伊呂波四十八文字を十二カ月に当て、各月三十句ずつ纏めることにしました。 そして第二句集は、潮の満ち引きから「美知比幾」、第三句集は時の移ろいから「宇津呂比」、第四句集は胸のときめきから「止幾女幾」、第五句集は星の瞬きから「真太太幾」と名付けました。 内容的には自分でも呆れるほど玉石混淆ですが、類書にないその赤裸々ぶりに、一連の句集の存在意義があるものと考えております。 「あとがき」を抜粋して紹介した。 本句集の装釘は、前句集同様、主宰の中原道夫氏である。 今回も斬新な意匠のものとなった。 題簽は、・和栗痴龍氏 カバーは、かくのごとく透明なはりのあるものに、白とグレーの二色刷りである。 見返し。 目次は、「万葉仮名」の「伊呂波」の48文字を12ヶ月に当ててある。 雁渡し初稿に朱筆入れにけり この句集製作をおすすめしていたのは、ちょうど雁渡しの頃ではなかったろうか。 句集上梓後のひと言をいただいた。 以下に紹介したい。 「俳句は中動態の文芸である」 机の上に、デカン高原で拾ってきた印度瑪瑙が置いてあります。 私が、「これは正しい」とか「これは間違っている」とか言うと、奴は「小賢しい!おこがましい!」と怒ります。「事態を前に進めるためには仕方ないのです」と答えると、「言い訳するな!」とさらに怒ります。 主体が意識的に「見る」という能動態や、外部の存在から「見らるる」という受動態とは異なる、おのずから「見ゆ」という中動態があります。そこに人間の意志や知恵は関与しておりません、ただ勝手に見えているだけです。 短詩形を以て物事の本質に迫っていく俳句には、この中動態こそがふさわしいのではないかと考えています。皆さまの心の中でいくつかの名句を想起してください。それらがじつは中動態で述べられていることに驚かれると思います。 擬人法や見立てや比喩などが、俳句で執拗なまでに排されるのは、そこに人の(小賢しい)知恵が関わりすぎるからなのだと思います。きっとあちらこちらに印度瑪瑙が置いてあるのでしょう。 河内文雄さん。 河内さんは今年より、銀座の一角に「句集専門書店」をはじめられた。 以下はそのチラシである。 住所=104-0061東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル507 (ご挨拶) 俳句人口は800万人とも1000万人とも言われ、沢山の方々が、努力の結晶であり、生きた証でもある句集を編むべく、日々研鑽を積んでおられます。 中にはもう既にその夢を叶えた方もおられますが、残念なことに、余程有名なプロ俳人の著作でない限り、アマチュアの句集が一般書店に並ぶということありません。 せっかくの皆さまの労作を、広く世に問うためのショウーウインドウ、それが「銀座寡黙堂」です。 皆さま銀座にお越しの折は、是非お気軽にお立ち寄りください。 (出品案内) ご出品をご希望される方は、「銀座寡黙堂」のホームページをご覧下さい。 興味のある方は是非にアクセスしていただきたいと思う。 医業、俳句、そして書店経営、なんとも人間の力量を超えている。 驚くべきお方である。 ふらんす堂の一角。 絵は長岡裕一郎さん。
by fragie777
| 2021-11-02 19:26
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Comments(2)
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