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5月3日(月) 憲法記念日 旧暦3月22日
薔薇の季節である。 ご近所の薔薇。 これはほんの一部。 薔薇はもう大分盛りをすぎてしまったようだ。 わたしの家は山の木が中心で、こういう美しい園芸種的な花は一切ない。 あってもきっと世話をすることが出来ないから、枯らしてしまうばかりだと思う。 ほったらかしにしておいても大丈夫なものでないと、だめ。 だから薔薇の季節は、ご近所で薔薇を育てている家が多いので、それを楽しむことにしている。 今日は午前中は家で本を読んで過ごしたのであるが、目下わたしは電子書籍で読むことが多い。 電子書籍だと活字の大きさが自由になるので、R眼鏡をかける身には案外便利である。 一階の窓際でレースのカーテンを開け放って外光を取り入れて本を読む。 眼がつかれると外の狭庭の新緑を見る。 姫沙羅の新緑である。 姫沙羅は木肌が赤く、葉と美しいコントラストをみせる。 こちらはえご。 南側のえごは日当たりが悪い(なにしろ狭い)ので花はほんの少し上の方につけるだけ。北側のえごがもっぱら花を担当する。しかし、緑は美しい。 今の季節は家の中が暗くなるほど緑で覆われる。 風のおとが聞こえ、緑が光りをはなつ。 薔薇はないけれど、我が家の庭が一番美しいときかもしれない。 午後より仕事。 「赤尾兜子の百句」を校了にする。 赤尾兜子は、なかなかその俳句に触れる機会がないので、敬遠しがちだったが、著者の藤原龍一郎さんによって、兜子がぐっと身近になった。赤尾兜子は前衛的手法を以て出発した俳人である。 藤原龍一郎さんは、「解説」でそれぞれの句集ごとに丹念に読み解いていく。そこに第1句集『蛇』の「あとがき」を引用してあるのだが、その部分の一部を紹介したい。 「いまにして思えば、これらの実験は、私の青春の過剰意識に毒されて、成果としては衆知に満ちているが、当時の俳壇をリードしていた根源俳句に対するレジスタンスであった」 山口誓子を中心とする「根源俳句」へのレジスタンスとして赤尾兜子の俳句があった、ということがわたしには新しい発見だった。(多くの俳人は知っているのかも知れないけど) 校了にするにあたって、花神社刊行の「花神コレクション 赤尾兜子」をかたわらに置いて、本校を読んだ。そこに赤尾兜子と小学校の時に同窓だった司馬遼太郎と、生前親交のあった永田耕衣の文章が収録されている。ふらんす堂刊行の『赤尾兜子の百句」が刊行されるのは、5月中旬以降となるので、その導入としてこの二人の文章をほんの一部を紹介しておきたい。(もちろん藤原龍一郎さんも解説で少し触れておられるが) 司馬遼太郎の文章のタイトルは「焦げたにおい」 文芸としての俳句の伝統からいえば、およそ異なった化学成分のものを兜子は、押しこんで破裂したり感電したりするのもかまわずに、それを押しこんだ。やがて兜子は、俳句という形式に押しこむことによっておこる化学変化や物理変化を美として見つめなおす精神を、伝統の俳句とはべつの場所で確立した。その精神の発作について、私はたまたま兜子と酒をのんだおかげで、焦げたにおいだけでも嗅いだような感じもする。 永田耕衣の文章のタイトルは「憤景の倫理ー〈玄玄の世界〉」 こういう言い方が許されるならば、赤尾兜子は「俳句」において何よりも「芸術」的に身を切るような「美」を欣求追尋したのだ。いわゆる芸術または人生における「真」や「善」よりも、ヨリ芸術的な「美」の「痛さ」を先ず創造しようとした。それは命がけであった。元より「美」の確立するところ、おのずと「真」あり「善」あり、というのが窮極の真理であるが、赤尾兜子に於ては、いかいにしても「手応え」に値する「美」の創造が「痛く急がれた」形跡がある。過剰なまでの「痛い美」を欣求尽くるところがなかったのだ。私にはそう思われ、そう見える痛ましさがあった。 永田耕衣の文章はかなり長いもので、自死をした兜子の耕衣へあてた手紙なども紹介してあり二人の親交がなみなみならぬものであったことを伺い知ることができる。 藤原龍一郎さんは、解説「異貌の多面体」で、こう書く。 「百句の鑑賞とこの小論を読んでいただくことで、俳人赤尾兜子とその作品、まさに「異貌の多面体」ぶりを実感していただきたい。」 音楽漂う岸侵しゆく蛇の飢 赤尾兜子 以下余談。 朝より愛猫日向子の様子がおかしかった。 頻繁にオシッコをする。そして落ち着かない、「膀胱炎かもしれない、弱ったな、お医者やってるだろうか」、念の為ご近所の獣医さんに電話をしたところ、「午前中だけやっています」ということ。助かった!!ということで急遽連れて行き、診療をしてもらった。注射の効果があってどうやらおさまった様子。 わたしはひと安心。 といういことで、落ち着いた日向子。 肉球もほっとして。
by fragie777
| 2021-05-03 18:02
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