ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko

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愛する家族とのあるがままの生活から授かった詩。

10月28日(水)霎時施(こさめときどきふる)  旧暦9月12日


愛する家族とのあるがままの生活から授かった詩。_f0071480_17300807.jpg

神代植物園の赤い実。


愛する家族とのあるがままの生活から授かった詩。_f0071480_17300480.jpg

何の実だろうか。

さきほど、がまずみの実と教えていただいた。


愛する家族とのあるがままの生活から授かった詩。_f0071480_17301025.jpg


今日は比較的あたたかであったが、夕方になって冷えこんできた。

仕事場の床暖房を入れたところ。

さっ、ブログを書こう。






24日、毎日新聞の坪内稔典さんによる「季語刻々」は、巫依子句集『青き薔薇』より。

 不器用な男と暮らし柿の秋     巫 依子

「柿の秋」は、柿がたわわに、つまり豊かに実っている秋を言う。その柿の秋に、不器用な男といっしょに暮らしているというのだが、その男、ちょっと渋い? そういえば私はかつて「君寄りの気分柿など転がして」「百目柿ごろり高倉健さんも」と詠んでいる。今日の句は「青き薔薇」(ふらんす堂)から。作者は広島県尾道市に住む。





そして今日の毎日新聞の坪内稔典さんによる「季語刻々」は、田上比呂美句集『休暇明』より。

 たつぷりと時間ある日の栗ご飯   田上比呂美

この栗ご飯、うまそう。わが家でもヒヤマさん(妻)が栗をむいて栗ご飯を何度か炊いた。栗をむく彼女は、「ああ、肩も指も痛いよ」と言いながら、小半日、栗をむいている。便利な栗むき器があるらしいよ、と言ってもいつでも無視。せっせと包丁使ってむく。今日の句、「休暇明」(ふらんす堂)から。作者は宮崎市の人。






「柿」と「栗」の句。
食欲の秋である。
今年になって3㎏体重をおとし、それを維持しつづけている。
が、一昨日、ヒレカツ定食を食べた。(ご飯少なめで)
すると、体重が容赦なく増えていた。
う~~~む。135.png







新刊紹介をしたい。


平尾美緒句集『鳥巣立つ』(とりすだつ)


愛する家族とのあるがままの生活から授かった詩。_f0071480_17534222.jpg
四六判ソフトカバー装クーターバインディング製本帯なし 214頁 二句組


著者の平尾美緒(ひらお・みお)さんは、1965年東京生まれ、現在は杉並区に住んでおられる。お母さまの影響で俳句をはじめ、2013年、橋川かず子、福神規子に師事。2013年「惜春」に入会し、高田風人子に師事、2016年7月「惜春」終刊、福神規子主宰の「雛」に入会。俳人協会会員。本句集は第1句集で、福神規子主宰があたたかな序文を寄せている。
抜粋して紹介したい。

 春るるるなんだか歌など歌ひたく
 春たのし夫より食事誘はれし
 回覧板木犀香るお隣へ
 家族四人おでんに玉子六つ入れ
 初暦まづは家族の誕生日

屈託のない詠いぶりに、平凡な生活を大切になさる作者のひたむきさが浮かぶ。そして上手に詠もうという意識より、愛する家族とのあるがままの生活から授かった詩を、そのまま掬い取りたいという意思が伝わってくる。まさに作者の言葉を借りれば「パワー全開で奮闘努力した最も忙しく充実した」日々であったのだ。(略)

 福笑ひほどよき崩れ具合かな
 外灯のつんと尖りて冬の雨
 周波数合はぬラヂオや秋暑し

右の感覚にも個性が光る。「ほどよき崩れ具合」とは言い得て妙。お多福の目鼻のありようがリアルに迫ってくるから不思議だ。また冬の雨の中、尖った取りつく島のない外灯の形状から心まで寒々としてくるのは言わずもがな。さらに周波数の合わないラジオのノイズ音には心がざわつく。まさに秋暑しである。
このように美緒さんは繊細な感性でものを捉え、独自の個性を俳句という形に昇華しておられる。
(略)
美緒さんは「惜春」終刊後の「雛」にあって、何かとお力を貸して下さるありがたい存在だ。風人子先生の第五句集出版祝賀会の時には先生ご夫妻にインタビューをして下さったり、その先生が昨年亡くなられ偲ぶ会を催した時には、ウクレレで献奏をして下さった。
美緒さんは五十代とまだお若い。今後作者の俳句の対象が、自然界を含むさらに広い範囲に向けられ、深まってゆくことを期待しつつ、筆を擱こう。


本句集を一読しただけでも、率直に詠まれた俳句をとおして、作者の生活風景、家族への思い、自身の心情などが読者に素直に伝わってくる句集である。俳句は家族の記録であり、作者の日記ともなりうる、そういうことを思わせる一句集だ。


 半夏生心配事の一つあり
 家族四人おでんに玉子六つ入れ
 現実は嘘より不思議四月馬鹿
 寒林のずつと遠くを見て歩く
 あたたかや父のメールはひらがなで
 初夏や石鹸のよく泡立ちて

担当のスタッフのPさんの好きな句を紹介した。


 寒林のずつと遠くを見て歩く

わたしも好きな句である。素直な気持ちでなんのはからいもなく詠まれた一句だと思う。「寒林」という季語がもつ本意がおのずと伝わってくる句だ。すこし緊張している作者の心持ちも見え、裸木となった木々が林立する見通しのよい景がみえてくる。「ずつと遠く」という措辞が、厳しい寒さのなかで思い詰めたような作者の眼差しまでがこちらに伝わってくる。決意とわずかな哀しみが伝わってくる一句と思うのは、わたしの読み込みすぎかなあ。。。。


 あたたかや父のメールはひらがなで

この句については、福神主宰も家族を詠んだ句のなかの一句として序文にとりあげている。「沖霞の遥か遠くに住む母への思慕、句の話を共有できる間柄となった母娘の交感、眼鏡をかけたまま転寝をしている父を見守る情、父から届いた平仮名の拙いメールを温かく受け止める娘のやさしさ、そのそれぞれの作品の季題が作者の気持ちを十分に代弁している」と。父親とメールでやりとりをする、わたしにはおよそ考えられなかったことだ。母から手紙をもらったことは何度かあるが、父からは直に会ってことばを交わすことぐらいしか交流はなかったかもしれない。電話さえも父を相手にかけるなんてなかった。わたしの時代の父親はつねに孤独だったかもしれない。いまは、携帯メールがありラインもある。そういう意味では、父親との距離も近くなったのかもしれない。いい時代となった。「ひらがな書き」のメール、たぶん携帯メールにもなれていないお父さんは懸命にひらがなで文字を打ってくるのだろう。そのたどたどしく打たれたメールを思い、娘の気持ちはウルウルとしてくる。これが母のメールだとそうは思わないだろうなあ、父という娘からすれば不器用な存在。その父がうったメール、ぐっときてしまうことに間違いはない。


 転勤の夫を見送る花の雨

ちょっと切ない一句だ。どうしてかしらと思ったら「花の雨」の季語だからか。「転勤の夫を見送る」という上五中七は、転勤族にとってはよくあることだ。しかし、「花の雨」でぐっと妻の心情が出た。まだまだ(?!)夫への愛情があるステキな一句だ。(いってらっしゃーい、あなたがいなくてセイセイ)なんていうんじゃなくて、夫への心配や自身のさびしい思いやら、複雑にしてちょっぴり甘さもある感情がそこはかとなく感じられる。これは「花の雨」という季語の力だ。


 限りあるものの愛しく春の雪

この句も、上五中七はやや手垢のついた叙法であるけれど、わたしは「春の雪」でそれが新鮮なものになったと思う。いろんな季語がつけられるかもしれないが、やはり「春の雪」がいいと思った。作者のやさしい感情が伝わってくる。目の前にふりつづく春の雪をみて、ふっとそんな感慨をもった作者なのだろうか。

本句集の特色として、巻末に「雑記帳 カタカナ」と題して短いエッセイが12篇収録されている。これは「雛」に2016年10月号から2017年9月号までの一年間にわたって連載されたものである。すべてタイトルがカタカナ書きで、たとえば「カラオケ」「カーテン」「スマイル」などなど、平尾美緒さんが日常で感じることを素直につづったもので肩の凝らないエッセイである。句と併せて読むと、より平尾美緒さんが親しい存在となってくる。こういう句集の纏め方もあってもいいのではないかと思った次第。


俳句を始めてまだ七年、私はまだまだ未熟で句集を作るなんて、という気持ちもあります。けれど、この時期のこの未熟な句こそが私のはじめの一歩であり、この先には出来ないのではないかと思い、決心しました。句集のタイトルは、自分がこれからもっと俳句を勉強して、はじめの一歩からもう少し成長できるように、という気持ちと、子供達が自立した事を込めて、『鳥巣立つ』としました。
この句集には、初めて投句した時から平成の終わりまでの二百八十八句を収めました。私にとって大きな変化の時期でした。長男の卒業、就職。次男との向き合い方の迷いや悩み。主人の名古屋への転勤、単身赴任。義父との別れ。次男の卒業、就職。こんな日々の悩み、悲しみ、喜び。その時の思いを俳句にすることでどんなに救われたことでしょう。句を読むと、切ない程にその時のことが思い出されます。俳句って本当に凄いと思います。
俳句の後に入集しました『雑記帳』は「惜春」から「雛」に変わり、新しいコーナーを作ろうということで皆で考えていた時に、規子先生が「カタカナについて、とかどうかしら? 例えばチョコレートとか」とおっしゃいました。その時にふっと埼玉の社宅に住んでいた時のチョコレート工場のことが頭に浮かび、それなら書けるかも知れないと思い、一年間の連載を引き受けました。人に読んでもらう文章を書くなど初めてでしたが、良い経験をさせて頂きました。拙い文章ですが、句集と一緒に読んでいただけたら嬉しいです。

「あとがき」を抜粋して紹介した。





本句集の装丁は君嶋真理子さん。

用意された装画を用いて、「句集っぽくならないように」という平尾美緒さんのお気持ちに応えた。



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装画は、絵本作家の葉祥明氏。

帯はカバーに刷り込み。


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タイトルも明朝体ではなく。


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カバーをとった表紙。


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見返し。


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クーターはブルー。



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 鳥巣立つ息子は翔といふ名前

一書の題名『鳥巣立つ』はこの一句から生まれた。「翔」というお名前が存分に生きており、作者は句集の上木を思い立った時から、題名にこの一句を使おうと決めていらしたのではないかと思えてくるほどだ。 (序・福神規子)





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昨年11月20日にご来社された時の平尾美緒さん(右)と福神規子主宰。



この句集上梓に寄せて、お言葉をくださった。
タイトルは「ワクワクする句集づくり」
紹介したい。


昨年、11月20日、福神規子先生とふらんす堂様へ伺ってからもうすぐ一年がたとうとしています。規子先生の後押しで句集の上梓を決めたものの、一体何から手をつけたら良いものか?そんな風に始まった句集作りでした。けれど、担当してくださった山岡有以子さんはとてもシャキシャキしていらして、心強かったです。「まず、12月末までに句をまとめてください。」とのこと。そして、そこからの予定を組んでくださいました。安心してお任せし句集作りができたこと、感謝しています。それまでに貯めてきた句を年代、季節の順にまとめ、規子先生に選句していただき、そこから、季節のズレを修正し、順調に作業は進みました。3月にはあとがきまで終えました。そこから装画を打ち合わせていた時に、主人が仕事で御縁のあった、絵本作家の葉祥明先生にイラストをお願いしたらどうかと提案してくれ、お願いに伺いました。お忙しい中、無理なお願いにも先生は快く引き受けて下さり、本当に素敵な装画を描いて下さいました。私に大切な大切な宝物ができました。
また、これは有以子さんのご配慮でしょうか?最後のページを見ると、初版発行日 2020年10月10日と。なんて素敵な日!本当にありがとうございました。
第一句集とありますが、はたして第二句集はあるかしら?そんなことを思いながら、楽しかった句集作りは無事終了しました。
ふらんす堂様、本当にありがとうございました。(令和2年10月 平尾美緒)


こちらこそ、ありがとうございました。

お気持ちを第2句集刊行へ向けてさらにがんばってくださいませ。








愛する家族とのあるがままの生活から授かった詩。_f0071480_19470616.jpg





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by fragie777 | 2020-10-28 19:50 | Comments(2)
Commented by kyokorin7 at 2020-10-30 08:59
赤い実はガマズミだと思います。最近俳句を始めてこちらのブログに行きつきました。とても勉強になります。
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Commented by fragie777 at 2020-10-30 15:02
kyokorinさま

ありがとうごうざいます!

いま確認しました。
いつも教えてもらってすぐに忘れてしまうyamaokaです。
これからもよろしくお願いいたします。

俳句を始められたのですね。
楽しくがんばってくださいませ。
そして、
いつか、
ふらんす堂で句集をお作りさせてくださいませ。

お待ちしております。

(yamaoka)
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