ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko

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白粉の花の匂い。。。

9月24日(木)  旧暦8月8日


白粉の花の匂い。。。_f0071480_18400538.jpg

国立・城山に咲いていた白粉花(おしろいばな)






新聞記事を紹介したい。

毎日新聞の「新刊紹介」に、ふらんす堂刊行の句集が二冊紹介された。


甲斐のぞみ句集『絵本の山』
第1句集。俳句、仕事、そして家族と向き合う一冊。等身大の言葉がまぶしい。
 手袋のなか大切な指輪あり
 母親になりきる勇気春の水
 ひらがなの手紙祖父より水温む

篠崎央子句集『火の貌』

第1句集。思いがけないほど華やかな作品に出合える一冊。一句一句がとにかくたくましい。
 やはらかき服を選びぬ野分後
 新しき靴若草に溺れさす
 火の貌のにはとりの鳴く淑気かな









今日も新刊紹介をしたい。


田上比呂美句集『休暇明』(きゅうかあけ)



白粉の花の匂い。。。_f0071480_17434503.jpg
四六判ハードカバー装帯あり 188頁 二句組

著者の田上比呂美(たのうえ・ひろみ)さんは昭和31年(1956)生まれ、宮崎県宮崎市にお住まいである。平成14年(2002)「鷹」に入会し藤田湘子に師事、平成17年(2003)湘子逝去により小川軽舟に師事。平成22年(2010)宮崎日日新聞・文芸俳壇賞を受賞、平成23年(2011)みやざき文学賞俳句部門一席を受賞、平成26年(2014)みやざき文学賞俳句部門一席を受賞。「鷹」同人、俳人協会会員、「宙俳句会」代表。宮崎県俳句協会副会長・事務局長。本句集は、第1句集で、序文を小川軽舟主宰、跋文を布施伊夜子氏が寄せている。

小川軽舟主宰の序文を抜粋して紹介したい。

田上比呂美さんは平成十四年十一月号から「鷹」に投句を始め、翌々年の十月号で藤田湘子選の鷹集巻頭を射止めた。巻頭の栄誉に輝くのは年間に十二人、投句者数に対して一パーセント未満の狭き門である。入会二年でその門をくぐるのは羨むべき速さなのだ。

 指紋まで草に染まりぬ半夏生

湘子はこの句を推薦句に取り上げて、「上五を『指紋まで』と把(とら)えたのが成功の因」だと評価した。「これが指先だの掌だのであったら、ごくふつうの作で終ってしまう」と言われると成程そうだと思う。この句は草むしりの後の指の腹をはっきり見せてくれる。指紋に染みついた草の色がはびこる草との苦闘を想像させる。「これぞ、と閃めいたポイントをじっと見つめているうちに、思いがけぬ言葉が出てくるものなのだ」という湘子の言葉は、一般論であると同時に、比呂美さん個人に指し示す針路でもあったはずである。
(略)

 秋の夜や首傾けてとるピアス
 休暇明耳ひつぱつてピアス挿す

ピアスを詠んだ二句を並べてみた。前者は平成二十年、後者は平成三十年の作。比べると十年の間に比呂美さんの俳句がどう変わったかが感じられるだろう。秋の夜の句もちょっとした仕草の捉え方が上手い。しかし比呂美さんでなくても作りそうな気がする。しかし、休暇明の句は、俳句らしい安定感がありながら、言葉の勢いに比呂美さんならではの個性がある。

跋文を書かれた布施伊夜子氏は、「鷹」同人で、お住まいの宮崎にあっては、田上比呂美さんの俳句の指導をされてきた方だ。懇切丁寧にその歩みを書かれているのだが、ここも抜粋で紹介したい。

 無花果のざらりとありて不惑なり
 ぼんたんや南国の島数珠つなぎ
 昼顔の洗ひざらしの匂ひかな
 公魚の跳ねてシベリア高気圧
 日も風も阿るさくらさくらかな
 白粉の花に逢瀬の匂ひあり

ただ今の比呂美さんには自作について、まだ到達意識はないものと思う。だが、『休暇明』をまとめるに当たって、それなりの手応えを感じているのも事実に違いない。比呂美さんの手応えが一読み手である私の手応えとどう交わるかは不明。しかし、ここでは私なりの比呂美俳句の現在、ただ今の到達点にあると思える句を掲げた。(略)
比呂美さんは早くから宮崎県俳句協会の組織に携わってきた。ただ今、副会長兼事務局長という重任にある。協会員数は四百人強、全県下の俳句愛好者が集う。規約のもと、県民俳句大会、機関紙、及び、俳句年鑑の発行、新人育成事業などを行う。これらの仕事を滞りなくこなしていく中心にいるのが比呂美さん。その一声で動く思いの通い合う仲間たちの存在があって活動は継続される。そんな仲間を持ち得る器量が比呂美さんにはある。指導と言うことを前面に出すことをせず、会うこ とを楽しみ、俳句を楽しむ「宙」俳句会を主宰していること、その他、県俳壇の若手に当たる人たちとの交流を日ごろから大切にしていること、これらの努力があってはじめて指示で動く人たちを手元におくことが出来る。
俳壇に地方と中央という区別は存在しない。とは言っても、地方のみでの俳句研鑽には限度がある。「鷹」での研鑽という確かな裏打ちが地方での自信ある発言につながるものと思う。ますますの研鑽を俟ちたい。

良き指導者に恵まれている田上比呂美さんである。


 コピー機の光のリズム夜の秋
 指紋まで草に染まりにぬ半夏生
 きくきくと茄子洗ひて明日は晴
 わが出産記念日十二月八日
 たつぷりと時間ある日の栗ご飯
 わが腕を捨てたき重さ炎天下
 正直に生きてぺんぺん草鳴らす
 スコールに浮くコンビニや誘蛾灯
 革ジャンにむかしの男匂ひけり
 草笛や爪のきれいな兄ひとり

担当のPさんが好きな句である。

 正直に生きてぺんぺん草鳴らす

わたしもいいなって思った一句だ。ぺんぺん草を鳴らしたのはもうずいぶんむかしのことだ。微かな音に耳をそばだてる。まだ心がすごく自由で誰のものでもなくて、その音をきいているとこころがどんどん透き通って無色透明になってくるような、そんな素敵な時間だった。作者は「正直に生きて」いる証しとしてぺんぺん草をならしたのだ。そんなささやかな行為を通して、この作者が「正直に生きて」いることをほかの誰かに大きな声でつたえるのではなくて、自身にそっと伝えてみる、それを肯うようにぺんぺん草を鳴らしてみる。ぺんぺん草と作者の心が共鳴しているのだ。「正直」ってこういうつつましやかさが保証するものだろうって思う。ささやかな自己肯定がいい。ぺんぺん草はそのことをよく知っている。

 草笛や爪のきれいな兄ひとり

この句も好き。「爪のきれいな兄」ってそうそういない。わたしにも兄は一人いるが、うーん、爪はきれいじゃないな。兄のいるPさんに聞いてみた。「あなたの兄、どう、爪きれい?」「ちっともきれいじゃないですね」という答え。きれいな爪をもっている兄のいる人、自慢してよくってよ。しかし、ここは「兄」じゃなくてはいけない。「弟」でも「姉」でも「父」でもなく、自分より年上で自然体に生きていても爪がきれいな男子、女子であれば爪のお手入れをする人も多く、「爪のきれいな」と言っても新鮮味がない。やっぱり「兄」よ。「草笛」の季語がさらに兄を清潔にする。この一句で思い出した小説がある。映画「シーシャンクの空に」の原作であるスティーブン・キングの「刑務所のリタ・ヘイワース」だ。そこに主人公のアンディについて、「彼はいつも爪をきれいに切りそろえていた」という一文がある。わたしはそのアンディについての一節がことさら気にいっていて、何かにつけて思いだす。自分の爪が伸びてきたときなど、ふっとその一節が胸にうかぶ。そして清潔なアンディを思い浮かべるのだ。だから、この一句の「兄」を見たとき、すぐにアンディの爪を思い浮かべ、わたしにとっての「爪のきれいな兄」はアンディであると思った。そう思うと何かふっと幸せな気持ちになる。

 夕闇に十薬の花ばらまけり

これはわたしが面白いと思った一句。お勝手口のドアをあけたとたん、十薬の花が群れ咲いているのが飛び込んできた。すでに夕闇がせまり薄暗く、十薬の花の白が際だって点在している。それを「ばらまけり」と思い切って表現した。一瞬を心のとらえた印象のままに一句に仕上げてみせた。十薬の花でなくては成立しない一句とみた。

本句集には食べ物や食べることにかかわる食材の句が多くある。田上比呂美さんが、生活を大事にしながら俳句に向き合っているその詩心にふれることができる。だから読後感がとても気持ちがいい。


還暦の時に句集を出せたらいいなと思いながら果たせず、四年が過ぎてしまった。今回の出版に際して、軽舟主宰には選句、序文を、伊夜子さんには跋文をお願いして、贅沢な句集となった。腫れてしまうんではないかと思うほど
お尻を叩いてくれた折勝家鴨さんには、折に触れ相談に乗ってもらった。句座を共にする仲間、ネットやメール句会の仲間、結社を超えた地元の俳句仲間、皆なくしては、この句集はできなかったと思う。感謝。それから、ちょっとだけ背中を押してくれた夫にも。母が存命だったら、一番喜んでくれただろう。

「あとがき」はとても楽しいものだったけれど、最後のところだけを抜粋して紹介した。
夢中だったバドミントンから俳句へと変わっていくことなど、とても面白い。
田上比呂美さんという俳人がいかに自然体で生きてこられたかがわかる「あとがき」だ。



本句集の装幀は、和兎さん。

田上さんは、「黄色が好き」ということで、テーマカラーは黄色である。


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にしては、黄色がない、
と思わせるところが和兎さんの今回の意匠であるようだ。

最初の印象では黄色は潜んでいるのだ。

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タイトルはツヤ消しの金箔押し。


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ようく見ると帯の軽舟主宰の文章の間に黄色の星マークがある。


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裏側にも「自選十句」が黄色。

そしてなによりも、

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帯の裏側に黄色が潜んでいる。

わかるだろうか、微かに黄色が見える。


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このようにあえて裏側に黄色を印刷。


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表紙は光沢のある用紙をつかってまさに黄色。


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透明な黄色の遊び紙をいれた。


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扉。

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花布、しおりひも、ともに黄色。


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黄色が潜んでいる一冊である。


比呂美さんが時宜を得て句集刊行を決心されたことをうれしく思う。しかし、これが完成であってはなるまい。比呂美さんの俳句は助走がトップスピードに乗って、まさに踏み切ろうとするところだと私は思っている。その時、湘子先生が比呂美さんのために与えた冒頭の言葉を今一度思い出してみるのもよいだろう。(小川軽舟・序より)




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田上比呂美さん(今年1月20日にご来社くださったときのお写真)


句集出版の機会を得て、自分の句を見つめ直すことができました。
と同時に周りの方たちのおかげで思った以上の一冊になったとことを嬉しく思います。

宝物になりました。


というメッセージをいただいた。

ありがとうございました。




 白粉の花に逢瀬の匂ひあり

句集最後におかれた一句である。
すてきな一句だ。
「白粉の花の匂いが呼び覚ますのはどんな逢瀬だろう。若者ではない今の年齢の恋心の実感があってほろりとさせる。」とは序文のことば。











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今日のブログの写真は、この一句にささげるものです。

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by fragie777 | 2020-09-24 20:43 | Comments(2)
Commented by 【happy-travel運営事務局】 at 2020-09-25 06:53
はじめまして。 貴方のブログを読みとても興味深く、ぜひ相互リンク(お気に入りブログへの追加)をお願いしたいと思いご連絡しました。私は、Trip-Partner(https://trip-partner.jp)とHappy-travel(https://happy-travel.jp)を運営しており、こちらのお気に入りブログに掲載できます。数多くの方に読まれているので、きっと貴方の読者も増えると思います。また、ライターも募集中ですので、執筆されたい場合もご連絡下さい!山田(tp.hsl.writerrecruit@gmail.com)にメールを頂けると幸いです。その際メールに、happy-sex-lifeの記事作成の件であることと、ブログのURLを記載頂ければ幸いです。 宜しくお願い致します。
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Commented by semiko at 2020-10-08 11:26
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