ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko

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寺田寅彦と珈琲。

3月19日(木)  旧暦2月25日


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井の頭公園の夕暮れの桜。


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ここだけに集中して咲いていた。





このブログで金縛りに遭ったことを書いたら、金縛りに遭ったことがないという人がいるので驚いた。

ふらんす堂のスタッフである。
やく二名。
「へえー、遭ったことないの!」ってわたしはかえって驚いてしまった。
わたしは一年に一回はあると思う。
あるスタッフはホテルで経験した金縛りについて話してくれた。
ドアーが開いて、ふたりの親子連れ(母と娘)がはいってきた。
だんだん近づいてきて、やがて
ガバッーと!!
で
目が覚めたんですって。
「ひゃあー!」149.png
わたしたちはいっせいに悲鳴をあげたのだった。

そうそう、詩人の小笠原鳥類さんも、「しばしば金縛りに遭います」ってメールでおっしゃっていた…。







新刊紹介をしたい。

今泉忠芳句集『日輪馬車のタクト』


寺田寅彦と珈琲。_f0071480_17564346.jpg

四六判ペーパーバックスタイル帯有り  78頁 二句組


著者の今泉忠芳(いまいずみ・ただよし)さんは、昭和9年(1934)愛知県生まれ、現在は東京都在住。職業は医師であられたがこの2月に勤務先のクリニックを退職されたということである。今年86歳になられるわけであるから、随分と働いてこられたと思う。大学でも教えておられたようだ。本句集『日輪馬車のタクト』は、第1句集『ある日の滴』(2018年刊)につぐ第2句集である。医師として働きながら時間をみつけては、いろいろな史跡を吟行されてこられた。その俳句を四季別にしてまとめたものが、本句集である。
タイトルの「日輪馬車のタクト」は、集中の句による。

 日輪の馬車のタクトや夏の雲

四頭立馬車の日輪は毎日東の空から西の空へと走ってゆく。
この日輪のタクトに万象の交響楽が流れる。この一小節の一楽器の音を集めてみました。
日輪のタクトに踊る夏の雲はこの交響楽の一小節でしょう。

「あとがき」である。
万象の音が、この一冊に収録されているのである。

 みささぎの石棺の闇虫すだく

秋の句である。陵の石棺をおおう闇、その眼前の闇は、21世紀の夜を支配する闇でもあり、それは古の匂いをまとった底知れぬ漆黒の闇だ。その闇から聞こえてくるのは虫の声ばかり。その虫の声も又古代から発信し、古代へと時間をさかのぼって還っていく、そんな森羅万象の不思議さの只中に著者は立っている。石棺の無機質な感触、そこに眠る貴人の幻影、暗闇と虫の声にとりかこまれた作者のひそやかな気配。

本句集の担当は文己さん。

 蛍一つトラック島も秩父野も
 夏雲や倭建の伊吹山
 少しづつ眠りに入る冬田かな

文己さんが好きな句としてあげた、

 蛍一つトラック島も秩父野も

これは亡くなった金子兜太へのオマージュとして詠まれたものだとおもう。わたしも好きな句だ。句集『日輪馬車のタクト』には、ほかにも前書きがあるわけではないが、金子兜太のことを思って詠まれたのではないかと思う句があった。たとえば、〈梅青鮫海の墓標の影なるか〉の一句。これもまた「梅咲いて庭中に青鮫が来ている」に呼応している。今泉忠芳さんが、どのような俳歴をお持ちであるかそのことは書かれていないのでわからないが、俳人・金子兜太への思いがあることは確かである。さりげなく句集に収録するオマージュとしての俳句、わたしはこういう俳句の挨拶性がとても好きである。粋だとも思う。

 隣より二十世紀をいただきぬ

わたしはこの一句が好き。この句集のなかではきわめてさりげない一句なのだけど、いいなあっておもう。「二十世紀」はもちろん「梨」のことであるが、わたしが子どものころは、「梨」といえば二十世紀がみずっぽくて美味しいとされていた。その後「幸水」や「豊水」などが現れて、「二十世紀」はすっかり影をひそめてすでに二十一世紀のいま、もはや消え入らんとするばかり。作者の今泉さんは二十世紀の栄光をご存じの方だ。だからその美味しかった記憶も充分である。この句、お隣より「梨」を貰ったわけであるが、「二十世紀をいただきぬ」という措辞で、まるでまるで大層なものを貰ったことになった。なにより素敵なのは、今泉さんの「二十世紀」という梨へのリスペクトである。それは自身がたどってきた二十世紀という時代への思いでもある。すでに過去のものとなりつつある梨・二十世紀、きっと恭しく手にされたことだろう。「幸水」や「豊水」では、きっとこうはいかない。

ほかに、
 
 恐竜の裔とは知らぬ春の鳥
 亀鳴かず十万年の放射能
 銀狼の雪崩となりて走りけり
 流鏑馬の蹄の跡の三日かな



本句集のブックデザインは、前句集とおなじく君嶋真理子さん。

著者の要望を君嶋さんが形にしてくれた。


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帯をとったところ。


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優しい色合いの上品な一冊となった。



 
 大正に香るコーヒー寅彦忌

この句のまえに「猫の目に明治映りぬ漱石忌」がおかれている。が、わたしはこっちの方が好き。寅彦は寺田寅彦のことで、夏目漱石と交流あり、「吾輩は猫である」にも登場する人物であることはよく知られている。随筆に味があってわたしは好きである。随筆を読んでいて電車を降り損ねてしまったことがある。どうでもいいことだけど。寺田寅彦はコーヒー好きであったようだ。そして明治という堅い時代より大正という柔らかな時代にもよく似合っているとわたしは思う。







今日は洗ったワンちゃんマスクを一日中つけている。
朝、会った人に、「よく似合いますねえ」ってゲラゲラ笑われた。
つけていると自分が普通のマスクをしている気でいるので、最初笑われた時はわからなかった。
その人の飼っている犬が病気になってしまったという話を聞きながら、途中でその人が笑い出したので、なんのことかと思ったのだが、わたしが犬なんだと気づいた次第。
病気になって手術をしなくてはならないという犬。
どちらかというと猫派のyamaoakaであるが、今日はとても胸に応えた。。。。







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by fragie777 | 2020-03-19 20:08 | Comments(0)


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