カテゴリ
以前の記事
最新のコメント
検索
画像一覧
|
8月25日(日) 旧暦7月25日
コスモスと蜂。 すこし根を詰めなければいけない仕事があって、 今日は午前中から仕事場で仕事。 夕方所用で1時間ほどぬけてまた戻って仕事。 立秋をすぎてすこしずつであるが、朝晩がずいぶん涼しくなってきている。 どうにか今日のノルマを果たせた。 電話もかからず、雑用にも追われずに、 休日が一番集中して仕事ができる。 毎日がこれだと気分の発散のしどころがなくて飽きてしまうが。。。。 先日、芭蕉の弟子たちのことを友人たちと話していて、そのなかのひとりが、「其角」が好きであると言った。「其角について書いたものを読みたい」とも。 其角について書かれたものはきっといろいろとあると思うが、先日、このブログで『焦門の一句』を紹介したときに、俳人・鈴木鷹夫の著書『片言自在』の一文を紹介したが、鈴木鷹夫氏は、其角が大好きで小説『風騒の人ー若き日の室井其角』(1999 北冥社)を上梓されているのである。この本が手にはいるかどうか、ちょっと分からないが、(いま調べたら古本でアマゾンで手にはいりそうである)そのこともあって、本著には「特別対談 室井其角VS鈴木鷹夫」というスペシャルな頁が設けられているのだ。この著書もすでに品切れである(こちらも古本なら手に入る)。 ほんの数頁なのだが、其角を研究した鈴木氏でなければ書けない面白い対談である。 酒好きの其角に、鈴木氏が酒をふるまうと、 其角 いやすまないね。どうもあの世の酒は水っぽくていけねえ、なんでも娑婆の人の泪で薄まるそうだ。 などと答えている。天国地獄問答が面白い。 鷹夫 ところで一寸訊きにくいんですが、其角さんは、その……、天国にいるんですか、それとも地獄で……。 其角 そんな事は訊かなくても分かるだろ、当然天国よ。 なんだ、意外そうな顔をして。あんたはわたしの事を小説に書いているそうだから、大方承知していると思ったがね……。あんたもよく知っている通り、先生(芭蕉)亡きあとは、随分と江戸庶民のために尽くしたんだ。先生という人は自己の俳諧のみを常に考えていた人で、自分の俳諧で人を愉しくさせたり、安らぎを与えようなんて、これっぽちも考えてなかった人だった。それはそれで偉いとは思うがね、その点あたしの江戸座の俳諧は、幕府の圧政に苦しむ庶民の心を大いに救ったんで。だから先生の俳句は夏炉冬扇かもしれないが、わたしの俳諧は衆にさかいてどころか衆を救済したのよ。その俺がなんで地獄へやられるのか。これほどの世のため人のために尽くしたんだから、天国行きは当り前よ。 ここから芭蕉は天国に行ったのか地獄に行ったのかの話となって、 其角 もしかすると地獄かもしれねえな。 鷹夫 まさかあんな偉い先生が……。元禄期の文化の一端に重きを置いた芭蕉が、何故地獄に落ちるとあんたは思うのかな……。 其角 あんた先生の「幻住庵記」を読んだか。 鷹夫 もちろん。 其角 あの中にな「法をも修せず、俗もつとめず、仁にもあらず、義にもあらず、若き時より横ざまにすける事ありて、暫く生涯のはかりごとヽさへなれば、萬(よろず)のことに心をいれず、終ひに無能無才にして此一筋につながる」とある。考えてもみろ、こういう男が天国に行けるか。これは業よ。先生は自ら決して地獄へ行ったと思うね。 鷹夫 ふうむ。つまり風狂の徒という見方ですね。 其角 そこが先生の偉大さよ。あんた知ってるだろ、石川桂郎とか西東三鬼という人。あの人達も皆地獄にいるらしいな。 この後は、天国で其角がつきあっている人間の話になっていくのであるが、なんても破天荒な其角である。 『焦門の一句』で句をいくつか読んだだけでも、其角という人間の不思議さが思われることは事実である。 興味のある方は、ぜひ古本で購入されてみたらいかがだろうか。
by fragie777
| 2019-08-25 19:03
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||