カテゴリ
以前の記事
最新のコメント
検索
外部リンク
画像一覧
|
7月25日(木) 大阪天神祭 旧暦6月23日
今日の讀賣新聞の「枝折」に、ふけとしこ句集『眠たい羊』が紹介されている。 柔らかな叙情の世界が広がる第5句集。季節ごとに「花束」「蟻の列」などと題してまとめた。 海の日の海より青き布を裁ち 俳句総合誌「俳句」8月号の大特集は、「いま、なぜ新興俳句なのか」 宇多喜代子さんが総論を書かれているが、座談会(高野ムツオ×角谷昌子×岸本尚毅×神野紗希)を面白く読んだ。 ーー昨年十二月に刊行された『新興俳句アンソロジー 何が新しかったのか』(現代俳句協会青年部・編 ふらんす堂)は二,三十代の若手が中心となって制作された、四百ページをを超える労作です。新興俳句は、新興俳句は「昭和初期に綺羅星のごとく時代を駆け抜けた」と同書の「はじめに」で神野紗希さんが書いておられますが、最近、若手俳人を中心に新興俳句に共感する人が増えていると言われます。今、新興俳句を読み直す意義とこれからの俳壇について、活発なご意見をお願いします。 とある。そうか、あの本が引き金となって「新興俳句に共感する人が増えている」のか。。。 ほんの一部だけ抜粋して紹介したい。 高野 (略) 「なぜ若手を中心に新興俳句に共感する人がふえているのか」という問いかけだが、「時代の曖昧さ」のせいだろうと思う。いろいろなものが溢れていて、自由はあるんだが、自分は何を信頼し、何を自分の生き甲斐としていいか、分からない不安定な時代だ。そこが、戦争を前にした不安に生きた新興俳句時代の若者と共通する。それで新興俳句に対する関心が芽生えて来たのではないかと思っています。 神野 時代の関連でいうと結構似ているところがあって、長引く不況と政情不安ですね。1920年以降、大戦後の好景気が終わってしまい、不況になった。1923年に関東大震災、1925年に治安維持法が成立、1927年に金融恐慌など。平成も不況が続き、二度の震災があり、政治もぐらぐらです。(略)「このレールを走っていれば大丈夫」だった時代ではなくなり、終身雇用もなくなり、苦しい生活をしている。そうすると、既存のシステムにも懐疑的になって、何が正しいんだろうと、もう一度基本を考え直してみる姿勢になるのは俳句においても同じか。季語って何なのか、時代を詠むのはどういう方法がいいのかなど、それまで自明とされていたことをもう一度、考えてみようという人が出てきているように思います。 岸本 (略)戦争中はお国のためであったし、戦後の高度成長期は会社のためであったし、その間に起こるいろいろな運動は反米であったり反帝国主義だったり反資本主義だったり、つまり巨人とアンチ巨人だけでドラマが出来ていたわけだが、現代は権威も反権威もないから、頼るものがない。極論すれば、「虚子先生に句を見てもらえればよかった」という世界はとっくの昔に終わっている。そうすると、頼るべきものは自分しかないんだけれど、かといって孤独ではいられないから、みんながミニ選者、ミニ作者となって情報を発信し合う;誰か特定の選者は頼れない代わりに、いろいろな情報が錯綜している。そういうなかで新興俳句はメッセージ性が強い。つまり、選者が褒めようが褒めまいが、「これでどうだ」という強さを持っていたところが、もしかするとフィットしているのかもしれない。 座談会でも語られているように新興俳句運動がおこったその時代状況の不安定さがいまの時代によく似ているという。 文芸とは、あるいは詩歌とは、つねに時代の空気を吸って時代を掬いとっていくものなのだろうか。 是非に「俳句」8月号を買って読んで欲しいし、本著『新興俳句アンソロジー』をまだお読みでない方は、是非お買いいただきたい。新興俳句を知るための優れたテキストです。
by fragie777
| 2019-07-25 19:03
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||