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12月26日(水) 旧暦11月20日
12月の裸木となりつつある椋。 この木について、わたしはよく知っている。 この木もきっとわたしのことを知っていると思う。 そういう間柄の木があるって悪くない。。。。。 新刊紹介をしたい。 終刊した「狩」を引き継いで俳誌「香雨」をこの度創刊した片山由美子氏の優れた鷹羽狩行論である。 鷹羽狩行は俳句の伝統の流れに立って、その伝統を引き継ぎながらいかに新しい方法を見いだしていったか、本書はそれを明らかにしていく。師が大きな存在であればあるほど、なかなかその全貌はとらえにくいものであるが、片山由美子はテキストに沿いつつ、ときとして弟子であることによって見えるものを加えながら、狩行俳句の魅力に迫っていく。本書は鷹羽狩行の俳句を語るについての要となっていくものになるのではないか。 鑑賞の一部を紹介したい。 みちのくの星入り氷柱吾に呉れよ 『誕生』昭和38年 「星入り氷柱」は、「草入り水晶」や化石状態の蜂を閉じ込めた琥珀などを思い起こさせるが、作者の造語である。狩行作品には珍しく下五が字余りになっているのは、中村草田男の〈梅雨の夜の金の折鶴父に呉れよ〉を真似たからだという。若いころ誓子のつぎに影響を受けたのは草田男だと語ったことがある。 「みちのく」は広く東北地方と解してよい。詩情豊かな憧憬の地として詠まれることが多いのは、生まれ故郷の新庄(山形県)を幼くして去ったことと無縁ではないだろう。「星入り氷柱」は朝になれば消えてしまう儚いものだ。美しいものは永遠ではないというのは、狩行の美意識を支える重要な要素である。 𠮟られて姉は二階へ柚子の花 『七草』 昭和57年 前句同様、この句も完全な取合せの句になっているが、この時期まで狩行作品にはこうした取合せは案外少ない。『七草』を見ると、〈午後はやや血の薄まりて芥子の花〉〈わが思ひよりあはあはと合歓の花〉〈家めぐる米のとぎ汁花卯木〉など、季語がそれ以外の部分に直接関わっている例が少なくない。季語自体が主題となっている句が多いのは、「天狼」の一元的な把握が根底にあるからだといえる。この先どうなるかは追い追い見ていくこととして、感覚的な取合せによって成り立っているこの句をじっくり味わいたい。 湧くものに古きものなし山泉 『十七恩』 平成23年 絶えず地下水が湧き上がってくる山中の泉を見ている。その水が常に新鮮である事実から飛躍して、「湧くものに古きものなし」ということに思い至った。「湧くもの」と一般化しているところが重要である。中村草田男は〈蘖や涙に古き涙はなし〉と詠んだ。「涙に古き涙はなし」と、涙から離れないところが草田男の実直さを思わせるが、狩行は「もの」によって普遍性を求めた。「もの」は形式名詞といい、俳句の省略のレトリックとして有効である。〈しぐれ来てそれらしくなる人通り〉も、明確にいわずに伝えるという方法をとっている。 本書は、巻末に「狩行論」を収める。タイトルは「鷹羽狩行と俳句の時代」。 平成二十九年五月に刊行された『鷹羽狩行俳句集成』には、十七番目の句集である『十七恩』に至るまでのすべての句集の作品一一六七二句が収められている。この膨大な作品から百句を抽出するとなると一〇〇分の一の割合より少ないことになり、選び出すのは無謀な所業としか思えない。 本書の百句は、作者の自選なら必ず入るであろう作品や世評の高かったものばかりではない。狩行俳句の技法を探り、その魅力を解き明かすために必要な作品を取り上げたものである。 とあるように本書は「狩行俳句の技法を探り、その魅力を解き明かすため」に書かれたものである。 鷹羽狩行が十七音のなかで挑戦しつづけてきたものを、作品にふれながら具体的に記していく。 そして、「狩行にとってもの見る」とはいかなることかを、つまびらかにするのである。 本書を読むことによって、俳人自身が自分がいったいどこに立って俳句を作っているか、そんなことも自身に投げかけることになれば、それもまた面白いのではないかと思った次第である。 このブログをかいているyamaoka以外は、みな大掃除で大わらわである。 掃除機のおと、ワックスの匂い、水を流す音、わたし一人パソコンをうっている。 ブログを書き上げたら、わたしも掃除人のひとりにくわわるつもり。 邪魔って言われそうだけど。。。 そしてそのあとは忘年会。 女だけで飲んだり食べたり、しゃべったり。 年齢層がひろい女子会である。 実年齢においてはyamaokaがトップであるが、精神年齢(乙女度)においては九人中七番目か八番目くらいかなあ、、、 皆しっかりしてるのよ。 ふらんす堂は今日で仕事納め。 明日から7日まで冬休みとなります。 急用の方は、留守電にいれていただくか、FAXを流していただくか、メールをくださいませ。 年内はyamaokaは机にへばりついて仕事をいたします。 年明けは少し遊びます。
by fragie777
| 2018-12-26 17:51
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