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10月11日(木) 旧暦9月3日
竹林のむこうを流れる秋の水。 このところいろいろな雑事に追われて肝腎の仕事になかなか手がまわらない。 ゲラを送ろうと思っていたのが全然だめ。 さぼっているわけじゃないのよ。 銀行に行ったり次から次へと用事がある。 仕事の仕方をもっと合理的にしなくてはいけないのか、それともわたしの能力がいたらないのか。 それとも、能力が低下(?)しているのか。 ああ、 そんなことは考えたくないぞ。 しかし、ここは冷静になってしっかりと仕事をこなして行かなくてはいけない。 いや、こんなことを書くのは、 反省することが多い昨今だからなのである。 新刊紹介をしたい。 四六判ハードカバー装 190頁。 著者の北野惠美子(きたの・えみこ)さんは、昭和12年(1937)和歌山県生まれ、和歌山市在住。平成15年(2003)「狩」入会、平成25年(2013)「狩」同人、平成28年(2016)「岬」に入会。本句集は傘寿の記念として編まれたと「あとがき」にある。序句、帯文を鷹羽狩行主宰、跋文を桑島啓司氏が寄せておられる。 まづ肩のちからを抜けよひよんの笛 狩行 転びても泣かぬ子となり野に遊ぶ サーフィンの時に水平線の上 秋高し泣き虫が立つ表彰台 句集名に「瓢の笛」という俳諧味たっぷりの季語を選ぶだけあって、その感覚を活かした佳句が多い。 帯文を抜粋して紹介した。 ひとつ灯に仏の夫と夜長かな 春愁や亡き夫に来る招待状 サラリーマンの奥さんとして、幸せな生活をされていた北野惠美子さんであったが、平成六年に御主人が心不全で急逝。目の前が真っ暗闇になってしまい落ち込んでいた時、友達に絵画展へ誘われ俳画に感動。俳画教室に通うようになった。そこで、「俳句の作り方」を学ばなければ俳画の道は開けて来ない事に気付き、「狩」に入会されたのが平成十五年五月であった。句会で勉強している中にだんだんと俳句の虜になり、俳画は遠退いてしまい、俳句に専念するようになって十五年の年月が流れた。この度、傘寿の記念として、句集上梓を決意された事は俳句仲間の一人としてこの上ない歓びである。掲出句は亡き御主人を偲んでの力作である。 工房となりし校舎や小鳥来る どの部屋も光を入れてみどりの日 糸とんぼ水の光に見失ふ 帰宅してまづ青田風入れにけり 遠山の幕ひくごとくしぐれけり 新涼や水面を滑る鳥の羽根 あかときの光に濡れて稲の花 流れゆく水に重なり桐一葉 掲出句から伝わってくる通り、惠美子さんは豊かな自然環境の中に生まれ、今もその大自然の中に身を置き、俳句作家としては恵まれた環境にある。。時には、つい意気込み過ぎて疲れを見せる事もあった。そんな時に、芭蕉の名言「自然に問い掛ける気持ちを持って向かえば自然はきっと何かを語ってくれる」を思い、リラックスして出来た句が、 ひよんの笛素直に吹けば鳴りにけり であるとの事。正に、この句は意気込まず、リラックスすれば、佳句が生まれる事を啓示していると思い、句集の題名は「瓢の笛」にすることを勧めた。これからも、この句のようにリラックスして、のびのびと生きている証しとして俳句を作り続けられる事をお祈り致します。 桑島啓司さんの跋文を抜粋して紹介した。つねに身近にいる俳句の先輩としてまたよき理解者としてその言葉はあたたかい。 本句集の担当はPさん。 Pさんの好きな句は、 子育てに待つ事多し冬木の芽 春愁や夫より愛想良きインコ 一筆で眉書き上げて今朝の秋 紅葉舞ふ色に重さのあるごとく 産みたては母の温もり寒卵 どの部屋も光を入れてみどりの日 佳き事を告ぐる子の目や秋澄めり 紅葉舞ふ色に重さのあるごとく 色に重さを感じる時ってどんな時があるだろうかって考えた。そう考えると色に重さを感じることってあんまりないかもしれない。この「紅葉舞ふ」であるが、たしかに紅葉した葉が空気の抵抗にさからいつつ散り舞うときは、重さが見えるかもしれない。「色の重さのあるごとく」という叙法によって、わたしたちはもう一度目の前に散りかかるその紅葉の色を認識し、重さを見ようとする。それは美しい色の重さなのである。ふと思ったのだが、その重さって何グラムくらいなんだろう、て。いやいや、そこは追求するなって、詩情が壊れる、て、そうよね。。。 糸とんぼ水の光に見失ふ 桑島氏もあげておられたがわたしはこの句が好きである。糸蜻蛉って美しい繊細な蜻蛉である。水べりを好み、細い葉先などにそれよりも細い身を止まらせていることに気づく。碧色の光沢のある身体をもち、羽根は黒光りをしており、二匹つらなって冥界から湧いて出たように優艶に飛び交う。目を凝らして見ないとその姿に気づかないこともある。目の前で水のさざなみがキラキラと光ったとき一瞬その姿が消えた。ふたたび目を凝らす、もうどこにも姿は見えない。糸蜻蛉を見ていると必ずと言っていいほどこういう経験をする、それはきっと私に限らずだと思う。 何か一つ趣味を持ちたいと常々思っていたので俳画を始めました。しかし、俳画の句は自作の句を使うとの事で、俳句を作った事のない私には無理と思い、それならば、俳句の勉強からと考え友人に相談すると、『鷹羽狩行読本』を贈ってくれました。 その中の「天瓜粉しんじつ吾子は無一物」の句に魅せられ、早速、「狩」に入会しました。 何も知らなかった私でしたが、句友の皆様の温かい御指導に恵まれて幸せでした。人生の後半を心豊かに楽しく過ごすことが出来ました事は俳句に出会ったからだと感謝しています。 この句集は十五年間「狩」で学んだ事を一冊に綴った自分史として私の宝物となります。 「あとがき」を抜粋して紹介した。 ほかに、 畦焼きの煙の中より下校の子 初めから拗れる話ところてん 薔薇の香の身に沁むほどに長居して カラフルな介護バス来る麦の秋 川風を纏へるここち更衣 浮輪抱へてマネキンの海知らず 梅咲いて空の硬さのほぐれけり 日差してふ逃げやすきもの冬桜 本句集の装丁は君嶋真理子さん。 傘寿の記念であるからやはり華やかなさがなくてはいけない。 表紙は深紅である。 光沢のあるもの。 花布は金、栞紐は白。 品格のある華やぎをもった祝福の一冊となった。 句集名「瓢の笛」は集中の「ひよんの笛素直に吹けば鳴りにけり」から採りました。 と「あとがき」にある。 涼しさや千年杉の影を踏み この句も好きな句である。スケールの大きさと深さのある一句だ。千年杉の幸いにあやかるように影を踏む、涼しい気につつまれる。千年の彼方からの涼気。身体が一新される。ああ、何という気持ちの良さ。。。。 北野惠美子さま、傘寿、そして句集出版おめでとうございます。 宝物の句集を大切にさらにご健吟くださいませ。
by fragie777
| 2018-10-11 20:24
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