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8月16日(木) 京都五山送り火 旧暦7月5日
神代植物園のみそはぎ。 今日から仕事である。 人がいる仕事場と人のいない休みの日の仕事場って全然ちがう。 気持ちのよい気がみなぎっている感じ。 うん、 ほんと いい感じ。 新刊紹介をしたい。 四六判ハードカバー装。 180頁 著者の小堀紀子(こぼり・のりこ)さんは、1940年福島県生まれ、現在は横浜市在住。俳誌「沖」、「天頂」を経て現在「晨」同人。2002年に「第4回俳句朝日賞」を受賞されている。俳人協会会員。2006年第一句集『夏木立』を上梓。本句集は第2句集となる。栞を岸本尚毅氏が寄せている。栞のタイトルは「ありふれた句材で」。 江ノ電は昼寝の部屋の横をゆく いそぐ蟻ときに土塊跳びにけり 落椿掃かずにつまむひとつづつ 鰡とんで戸毎二階の干布団 秋の蜂花びら軽く蹴つてとぶ 地を打つや墓の頭を打つ木の実 など、ほかにたくさんの句をあげて岸本尚毅さんはこう書く。 以上、小堀さんの句をいくつか引いた。ここに引いた句はいずれも、特に目新しいものを詠んだものではない。また、作者の特異な主観を詠んだものでもない。目に映るままを素直に言葉に落とし込んだという体の句である。懐かしい感じはするが、既視感はない。新しいとか古いとかという次元で云々するような句ではないのだ。 景を描くこと、ものを描くことの楽しさ。句の言葉が、読者の想像力のツボにきっちりとはまったときの心地よさ。俳句にそれ以上を望む必要はないと思う。 たしかに拝読していて「ああ、この景…」とその景色が甦ってくるような感じがする句が多いのだけど、そして極めてさらりと詠まれているようにおもえるのだが、既視感がない。既視感がない、というのはやはりさらりと詠んだ風にみえて著者なりの創意工夫があるのだ。だから新鮮な景として目の前に再現される。 担当の文己さんがあげた句を紹介したい。 からかへるペン押し返すいぼむしり 愛らしく臆面もなくチュウリップ ひとの耳朶うすくれなゐや落葉径 目瞑りぬセーターに身を通しつつ 売るはずの牛が動かぬ雲の峰 掃苔や花柄の背のよく動き 雲の影卓に並べしどんぐりに 新涼の亀に小さき鼻の穴 春惜しむ下手のテニスをながめつつ 風光る古稀を迎へしサーファーに 椅子の下もう一羽来て寒雀 腹部ややふくらみ過ぎか鶯餅 恋の猫ひと来ぬ坂と知つてをり 一掻きのあとの間秋のあめんぼう 容喙す背中丸めて炬燵より 夏野より腰上げて身の青くさし いちじくを少しへこませ捥ぎにけり 身に入むや犬もなにやら着せられて 濁り水ざりがにゐるといはれても 季語は「ざりがに」。すこしとぼけた味わいのある一句だ。ざりがに獲りをしている子どもたちにはさっきまで見えていたざりがにであっても、たまたまそこを通りかかってのぞき込んだ(吟行途中の)大人には水が濁っていてなんだかよく分からない、言われたって見えやしないじゃないの、そんなざりがに獲りの一風景が臨場感をもって詠まれている。よくある風景。でもこんな風にはなかなか詠めない。〈春惜しむ下手のテニスをながめつつ〉なんかも好きだ。余裕というか、肩に力を入れずにものを良く見ておられる。 もろもろの芽吹かんとしてただ寒し わたしはこの句がおもしろかった。季がさなりであるが、芽吹きの季節はまさにこんな感じ。「ただ寒し」が誰にも文句をいわせない。嘘がないのだ。嘘のない景を嘘がない景として言葉を用いて一句にすること、それも力量だと思う。芽吹く様子をみながらも容赦ない寒さからは逃れられない、それが現実だ。〈これほどの嵐にしづか紅椿〉も好きな一句。 「冬の雲」は私の第二句集。平成十八年から平成三十年三月までの作品を、ほぼ年代順に収めました。 港近くの高階に住み、いつも空と海を眺めての暮しです。句集名は、その「空」からとりました。(略) 年月を重ね、暮しはシンプルになってまいりますが、俳句は、ものごとをよく見つめ、また深く感じるよう心がけねばと思っております。今後も、しずかにそのようにしてまいる所存です。 「あとがき」より抜粋した。 消ゆる雲ありながら湧く冬の雲 の一句を収録している。 本句集の装丁は君嶋真理子さん。 前回の『夏木立』に引き続いてである。 著者の小堀紀子さんの要望をいかしての装丁となった。 表紙。どことなく淡紫を感じるグレイ。 花布は金、栞紐は白。 グレイッシュなトーンに淡紫の色の重なり。 帯は淡い玉虫色で銀とも淡紫とも。。 小堀紀子さんは上品なマダム(まさに!)である。 ふさわしい装いの一冊となった。 二階より階下は暗し紙魚走る きっとこの二階の家は木造のやや古びた家かもしれない。階段をのぼるとギシギシを音をたてるような。あるいは古い洋館か。この句「紙魚」が季語である。かび臭い湿った本をひらくと、ときどきいる小さな虫。「紙魚走る」に対して、上五中七の飛躍が面白い。暗いところをこのむ「紙魚」である。階下の書斎に並べられたあるいは乱雑に置かれた古い書物の世界を縦横無尽に動き回っているのかもしれない。一句のなかの切れが深く、生き生きとした紙魚の姿が見えてくる。 今日はどんなことをしても夜の10時になったらNHKのドラマ「満願」を見るんだ。 三話連続になっていて、一話目は見逃がしてしまったのだけど、昨日見た二話がものすごく面白くて、今日の三話もぜったい見ようって決めている。 連続ものだけど一話一話で完結しており主人公もちがう。昨日主演した安田顕は実に良かった。今日は高良健吾。こちらも悪くないぞ。。。
by fragie777
| 2018-08-16 20:24
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